劇場公開日 2020年6月26日

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「『最後の戦場』でやめるか、『ラスト・ブラッド』まで観るか、お前が決めろ。」ランボー ラスト・ブラッド ao-kさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5『最後の戦場』でやめるか、『ラスト・ブラッド』まで観るか、お前が決めろ。

2020年7月3日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

結論から言おう。前作『最後の戦場』で締めくくっておけば、多くの観客にとって、そしてランボー自身にとっても幸せな結末であったことだろう。何しろ、ようやく長い旅路(It's a long road)に終止符を打てたのだから。だからといって、この続編が蛇足だとは思っていない。むしろ、幾度もの激戦を生き抜いたランボーだからこそ、故郷で静かに穏やかに老後を過ごしていて欲しかったのだ。

しかし、そんな希望は脆くも崩れ去る。またしてもランボーはたった一人で戦争を始めることになる。これまでと違い舞台が戦場でないことに違和感を覚えたが、思い起こせばシリーズを通じて描いてきたものは、戦争ではなくランボーという個人の物語であったことに気がついた。そう、戦地にいても故郷にいても彼の心にはベトナム戦争の記憶が消えずにいるのだ。

だからこそ、後半の大アクションのつるべ打ちには恐怖を感じる。トンネル、音声機器、落とし穴…。なぜランボーがこのような戦術ができるのだろうか?なぜこれほどまでに容赦なく敵を殺していけるのか?全てはベトナム戦争で彼が見たもの、ベトナム戦争で覚えた術。結局、1作目からずっと彼の心は壊れたままであることが見て取れる。

本作だけ観れば、ゴア描写が凄まじいアクション大作と思うかもしれないし、実際スリルも興奮も与えてくれる。しかし、シリーズをずっと観てきた身からすれば、ランボーがランボーのままである姿が嬉しくも悲しくも写ってしまうのだ。だからこそ、前作で終わっておけば幸せな結末だった。だが、運命がそれを許さないのであれば、とことん戦い続けて欲しい。死に場所を探して彷徨い続けるのであれば、最後まで弓を引く手を緩めないで欲しい。リブートやリメイクが過剰な昨今であっても、ランボーを演じられるのはスタローンしかいないのだから。

Ao-aO