「最終話というより、シリーズ後日譚として…」ランボー ラスト・ブラッド キレンジャーさんの映画レビュー(感想・評価)
最終話というより、シリーズ後日譚として…
新作公開も順調に進んでいるが、映画館自体は日曜日でもまだ閑散としてる。
ディズニーでもコナンでもドラえもんでも良いから、早く子供達を映画館へ呼んできて欲しい。
もちろん空いてる方が観客としては良いんだけど、やはり映画館には活気が必要。マジで地方や郊外の映画館は存続の危機。「映画館で観賞派」の皆さん、ヤバイのはミニシアターだけじゃないですよ!
さて、10年ぶりのランボーのスクリーン。
もちろんこの地に集いしは40歳以上のオジサンばかり。
それぞれに思い描くジョン・ランボーを胸に、上映スタート。
これまでは比較的シンプルだったところを、今回は多少段取りを踏んで展開した分、ストーリーの強引さやキャラクターの「あの人、結局何だったの…」「え?最後の仇はそっち?」といった細かな違和感は否めない。
復員兵の孤独を描いた1作目から、悪を倒すアメリカ的でヒロイックな主人公像が際立ったシリーズ2作目・3作目を経て、一転してそれまでの暴力行為を相対化するかの様な残虐描写を踏まえて、「ランボー、帰る」で見事に締めくくった4作目。(まさに、個人的にはここで締めくくったと言って良かったのだが…)
そして5作目の本作。
これまでの、戦場や密林など「生き残るための行為は正義」となるステージ設定とは異なり、「正当防衛」「誰かの生命を守るため」といった暴力正当化のお題目さえない場所(文字通り自分の「庭」)で、主人公によって計画的に繰り広げられる大殺戮には、(もちろんそれまでに受けた仕打ちを差し引いても)正直なところ眉をひそめざるを得ない部分も多い。
ただ、思い直してみるとそもそも「ランボー」ってシリーズは、決して反戦映画でも人権映画でも、(部分的にブレることはあったが…)イデオロギーを訴える映画でも勧善懲悪の映画でもなく、ただ「悲しき境遇に苦しみもがき、生命をかけて抗い続ける男の物語」だったことに気付く。
辛い思いをした分だけ、仕返しも派手にやっていい、という道理はないが、やはり1作目から見守ってきた我々ファンの目には、今回の派手な復讐もまた虚しい彼の人生そのものに映る。
そして、せっかく帰ってきたHOMEさえ…。
本作はシリーズ「完結編」とされているが、穏やかに暮らしたいと願う彼なのに、ラストは「お尋ね者」として逃亡生活が始まる新シリーズの序章とも捉えられるエンディング…
もう彼の年齢を考えると、ファンとしてはやはり「終の住処」を与えてあげて欲しかったという気持ちも強いのだが、これがランボーなのだと言われれば、頷くしかない。
率直に言って、ランボーシリーズとしてのこの5作目は…やはり「本筋」ではない気がする。
とにかく、これだけを観て「ランボー」を語る事は不可能だろう。
是非過去作と合わせて観て頂きたい。
※あと、以前からそんな傾向はあったけど、メキシコの描写ってこんなに極端(まともな人ほとんど出て来ない)でもメキシコ人の皆さんから文句は出ないのかな?