フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊のレビュー・感想・評価
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焦げたトースト
もっと観たい欲に駆られて2回観た。
ウェスアンダーソンなら観なきゃと条件反射で観てきたが、細部に渡るまでのこだわりだとか、人物がフレームインしてくる計算され尽くした画面、正直鼻につくとまで思っていた。
しかし今回はそれが、なんとも癖になる程心地よく目を奪われてしまった。
カッチリと完璧な構図と動きそして淡々としたセリフ、無機質な雰囲気を装いながら、それぞれのストーリーの最後には抑えきれない程の人間味が溢れるセリフがポロっとこぼれる。
このコントラストに不意をつかれ、わずかな表情とセリフだけで心はヒタヒタに満たされてしまう様だ。
個性的でこだわりの強い登場人物がとことん貫く様子に、少しだけマイノリティを味わう事がある私は勇気と安心感をもらった。
シモーヌの本質を感じる愛情とか、
ゼフィレッリの表情と香りに包まれる詩、
命拾いしながも、味について口走るネスカフィエ。
味わいながら観た2回目は絶品だった。
相変わらずピカイチのセンスの良さなのだが…
相変わらずピカイチのセンスの良さなのだが、今回はユーモアのキレがイマイチだったか。
フランスにある架空の街で、New Yorker みたいな雑誌を作ってるという設定それ自体がホント最高で、もうこのアイデアだけで流石のウェス・アンダーソン節!なのだが…
あのオムニバス形式の構成が Amazon で配信していたコンテンツのパロディのようで、もう最初の方から分かる人には分かるのだが… な展開になってしまい…
まあ、そういった作り手の趣味性の偏りの方は良しとしても、肝心なパロディとしての毒っ気の方が… なんともパンチが足りず…
そして、なんと言っても、いかんせん、ストーリーの方がなんとも… なんとも…
あともう一捻りは、なんとも、なんとかして欲しかった!
特にデル・トロのエピソードは、もっと抱腹絶倒で面白く出来たと思うけどな〜
劇場では誰も笑ってなかったよ。
あの如何にもMETなんかにいそうなティルダ・スウィントンの設定はもっとカリカチュアしても良かったのに。
ラストも、これで終わりか〜?と思ったら、本当にそのまま終わってしまった。
まあ、その後に続くエンド・クレジットのイラストも如何にも”The New Yorker”なイカしたセンスの良さではあったのだが…
結局のところ、New Yorker とフランスへのオマージュで終始してしまった感じだ。あまりに好きすぎて、おバカな笑いとしては、あまりイジれなかったのか?
架空の街の美術設定や、いつもの自由に動き回るカメラワーク、レア・セドゥの美しい裸体などなど、映像の方は今回も相変わらず最高だっただけに、チョットもったいなかった。
編集部の自社ビル?の前に止めてあったミニバンの社用車。アレなんか、もっとフィーチャーして活躍させて欲しかったけどなあ〜
あともう、これ見よがしなフランシス・マクドーマンドは、ホントもういいよ。
アンダーソン自身も、ああいうの欲しくて、本人もそれに応えているだけなんだろうけど。全然面白くない。ああいった配役は本来のアンダーソンなら、もっと意外性のある女優を選んでいたはずだ。というか、あのエピソードそれ自体イマイチ”らしくない”というか、ホント捻りもなく一番つまんなかった。
パリの五月革命の憧憬かもしれんけど…
であるならば、もっとサルトルやカミュなどの実存主義や60’sのロックンロールのカルチャーを思いっきり徹底的にイジり倒さないと!やっぱりコメディとしては物足りない…
ちょっと全体的に楽屋オチっぽくなってしまった感じかな。
作っている連中は最高に楽しかったのかもしれないが、観ているコッチの方は「それほどでもないよ」といった感じ。
色々な細かい拘りやセンスの良さは全く衰えてないので、ここは、やはり次回作に期待しよう!といったところか。
あと邦題の方はシンプルに『フレンチ・ディスパッチ』が良かったんじゃない。
あの長いタイトルはアルファベットだとサマになるけど、カタカナじゃあ、全然ピンと来ないよ。
動く雑誌と時間旅行
「ムーンライズ・キングダム」が好きで、「犬ヶ島」は観逃した。はっきりとした自己表現を持つ監督の作品。その割には鑑賞の間口は広いのが特徴な気もするのだが、今作はしたり顔の映画ファンも困惑する様な仕上がりであった気がする。久々に途中退席する人を見たし、したり顔で話す彼氏に困った笑顔の女性もいた。そんな映画に愛おしさを感じた。性格悪いのかな?(苦笑)?
映画を観るというよりは、雑誌を一枚一枚めくる様な時間。少し前の時代を紐解く様に体感出来る、素敵な時間でした。
すき
どんな映画なのかいまいちよく分からないまま、
予告の雰囲気、出演者、何よりこの絵が可愛すぎて
期待値高く観に行きましたが、見事に惹き込まれました。
一言一句聞き逃さないよう、でも映像も本当に魅力的で
ある意味忙しいというか、最近観た映画では一番集中して観た気がします。
空気感、色合い、独特の間、魅力的な俳優陣、
みんなあまり笑わないのに凄く人間味があり愛おしい、
不思議でお茶目な映画でした。
美しすぎる!
街の色、部屋の配色。
雑誌の表紙。
なんと美しい❗️
そして、言葉たち。
無駄な言葉を削り、伝えたいことが伝わるように考えられた言葉たち。
豪華な俳優陣も魅力だし、何度観ても楽しめる映画だと思います。
祖国を去った者、文化を背負い旅をする。
本作はまるでマガジンのページをめくってみていくかのような、
多くの要素とイデオロギー、大量の情報のごった煮を
ものすごいスピードで浴びせられていく映画である。
初見で感じられるのはまずヨーロピアン主義のウェス監督が
前作グランドブダペストホテルの東欧ヨーロッパから
ついに本丸フランスに侵攻したという事、
そして今まで小出しにしてきたやりたいことをすべて凝縮して詰め込んだ
ということが分かる。
その情報量とスピードからなんかよくわからんという評価を下しがちだが、
過去作から一貫して同じテーマが本作にもある。
それは故国(ホーム)を去って文化を背負った人々の話である事。
かくいうウェス監督もテキサス州ヒューストンの生まれでありながら
ヨーロッパの古き良き姿を一貫して描いてきた。
本作は実在する週刊誌ニューヨーカーをモデルにフレンチディスパッチ誌の最終号を映像化したという作品であるが、
文化の担い手がそれを発信し残していく美しさを、ウェス監督が思う存分描いたと言えるだろう。
例えば美術のページの看守シモーヌは移民であることや、ジェフリー・ライトが演じる美食のページのジェフリーライトがふと語る美食をなぜ取り扱うかという点、最後警察署長お抱えの料理人ネスカフィエが大根の毒にやられ死にかけた際に語る言葉、またビルマーレイ演じる編集長もいち早く故国を去っておる点など、アイデンティティのありどころについてを中心に置いている。
グランドブダペストホテルの主人公2人も祖国を去った(追われた)二人だった。
おそらくウェス監督自身がテキサスという土地に、自分の感覚と合わない場所だと感じていたのではと思う。アメリカ南部に位置し、差別が色濃く残り、男臭くカウボーイ色が強い州であるので、ヨーロピアンテイストとは程遠い。
内容。
冒頭述べた通り本作は週刊誌ニューヨーカーをモデルにしたフレンチディスパッチ誌の最終号として描かれる。
内容はオーウェンウィルソンの導入、美術、学生運動、美食で構成される。
マガジンのような作りであるからか、カラー/白黒や画角、アニメーションが人々の感情や場面に応じて切り替わる。
以下各ページを深読み。
・オーウェンウィルソンの導入
フランスの架空の町アンニュイ=シュール=ブラゼを過去と現在で見せたり社会問題を包み隠さず述べる。過去も今もあまり変わっておらず、悪い部分が印象的である。
(文明が進化しても世界が良くなっていないことのメッセージしている?)
・美術
凶悪犯にして天才画家のモーゼス・ローゼンターラーと、看守にして画家のミューズのシモーヌの話。ジャン・ルノワール監督『素晴らしき放浪者』(1932)をモデルにしているページだが、デルトロは画商から無理やり商業の為の絵を描かされ、最終的に刑務所の壁に10枚の絵を完成させる。昨今ブロックチェーンをベースにしたNFTアートやインスタグラム等デジタル上に存在する写真やアート、サブスクリプションに代表されるデジタル上の音楽サービス等実体のないアートの媒体の変化を揶揄しているように感じられた。
・学生運動
シャラメ演じる学生運動のリーダー、フランシスマクドーナンド演じる中立の記者のフランス五月革命の話。学生運動そのものは何を皆争っているのか本質は深く述べられていないが、若者がエネルギッシュに戦っている。(実際はベトナム戦争を発端とした大学教育改革に対する大規模な抗議活動)
議論の為に議論をするというセリフがあるように、我々がコロナ渦で出来ていた対面で熱く何かを語り合い議論するという事のすばらしさがあると思う。
またマクドーナンド演じる独身女性が仕事に生きる事を良い事として述べている点は女性のこれからのベーシックとして強調していると言える。
・美食
ジェフリーライト演じる警官兼貴社がリス料理家ネスカフィエを取材しようとすると所長の息子が誘拐される話。
人種差別問題は各国でいまだに残る問題としてあり、外国人は現地人の何倍も努力してその地位を手にするという事を述べている。なぜ体を張って毒を食べたのかという問いに対し、ネスカフィエが「失望されたくなかった」と答えるのが強く悲しいメッセージだった。
全編を通して感じられるのはバラバラのパーツ(人種、性別、年代)を一つにする、実体のあるマガジンを皆で議論しながら熱意をもって取り組むことのすばらしさ、そして昨今其れが薄れていってしまう嘆きをウェスアンダーソンは語っていたと感じられた。
見終わってから、レコード屋で友人とあれやこれやと語り合いながらジャケ買いをしたくなった。
らしさ全開
正直、内容は十分に理解はできてない。
でもやっぱり、あの雰囲気が好きなんだよね。
間だったり、画面の使い方だったり、役者の表情だったり。
ツボなんだよなぁ。
雑誌を映像化した、という感じで、また新鮮に見ることもできた。
理解するためにまた見ないとw
細部を確認するため、もう一度見たい。
インテリ好みのパロディと遊びに満ちた映画である。同じ監督の「グランド・ブダペスト・ホテル」のように、色々な仕掛けで見る者を飽きさせないが、ボーっとしていると、細部の工夫を見落としそうで、なかなか忙しい映画である。だから細部を確認するために、もう一度見たい。ストーリーも架空の雑誌の読みもの数篇という入れ子構造になっているが、実在の『ニューヨーカー』のような味わいがある法螺話という感じ。服役中の刑務所で絵を描く画家とか、奇妙な設定が多い。学生運動のパロディのような話は、学生運動家の生硬な意味があるようでない語り口を面白く表現しているが、あの時代のフランス映画の女優のような小悪魔的な娘を登場させていて、楽しめる。刑務所のシェフの話も、どこか昔のフランス映画のテイストもありながら、実写とアニメが混合する自由な作り。この映画を作った人の頭はどうなっているかと思う。これは褒め言葉である。雑誌と映画とフランスへのオマージュも感じた。
凄いですよ。でも疲れた。情報量半分でもいいくらい
疲れた。疲れた時に見る映画ではない。そして疲れたのは悪い意味ではない。圧倒的仕掛けの情報量(しかもアート)展開の連打、さらに音楽。正直音楽(これも趣味がいい)がなくても充分頭はフル回転で楽しめるほど。短編1本でも充分な詰め込みよう。
雑誌ね、雑誌とはオムニバス映画のいい束ね方をまた、と思うました。ジャームッシュにモノクロでコーヒー&シガレットって束ね方をやられるのと同じくらいに適してる。
このひとの脚本ってどんなでしょうね。きっと文字だけではどうしようもないほどの視覚音楽でしか伝わらない面白さ。とは言っても実は本作はそれほど前のりできたわけではなかった。情報力はほどほどがいいのだな、と思いつつ、きっとこれは配信時代のリピートにはすごく合ってる気もする。
今シーズン観るべき映画のひとつ
難点は字幕だってことくらい。
画面のあちこちでいろんなことが起こってて字幕見る暇ないんだもん。だからって吹き替えならいいってもんでも無いだろうから語学力のなさを嘆くしかない。
スクウェアの画角で繰り広げられるストップモーション、ロマンス、コメディ、気がつきゃアニメよ。
ハートフルに締め。
レア・セドゥは間違いなくミューズだし、ティモシー・シャラメの色気とシアーシャ・ローナンの青い瞳にやられる。
あ、あと観に行った人友達たちが、一章寝ちゃったとか、二章で寝ちゃったとか、人ごとに違ってて趣味嗜好も分かる映画やったね。
雑誌を懐かしむ
敏腕ライターのストーリーテリングの妙を映像化したという構造のオムニバス映画。そう、面白い雑誌ってこうだったよ、とすっかり雑誌を買わなくなり記事単位でしか読まなくなったことに気づかされる。面白く充実感があった。
センスお化け
結論から言えば、今までウェス・アンダーソンの映画が好きで追っていた人なら充分楽しめる作品だろうし、いけ好かないと思っていたなら今作は特にそう思われるだろうし、初めて観てみようと思ってる人なら、悪いこと言わないから「グランド・ブダペスト・ホテル」か「ムーンライズ・キングダム」あたりを先に観といた方がいい気がする。
私は好きで追っていた方だけど、今作はなかなか疲れた。まぁ、いい意味だけど。
とにかくセンスお化けなのはよくわかったよ。貴方がすごいのはよくわかった。雑誌風オムニバスという遊び心に反して内容がまぁまぁ重めの話ばっかりなのにあくまでさらっとコメディタッチなとこも素敵よ もー!
あとレアセドゥとティモシーシャラメの宛て書き上手いし!モノクロと静止画の映え半端ないし!ベテラン俳優陣の役柄もなかなかだし!カオスを総合して結果なんかいい話だなーってなるとこもウェスさんすげぇよね。
あと今回は黄色推しだったね。
ウェスさんは結構黄色使う印象だけど好きなのだろうか…
なんというか、感動とか面白いとかとまた別次元にあるウェス・アンダーソン作品という一つのジャンルの価値を再確認できた。
アート作品って言う人もいるけど、エンターテイメントもきちんと盛り込まれたアート作品だと思う。
そこのバランス感覚が好き。
独特なユーモアを織り交ぜた物語
映像自体の描写それぞれが1枚の絵の様な雰囲気とユーモアを醸し出してます。
この映画、独立した物語(短編)を雑誌に載せる記事という括りでまとめ、その上その雑誌の編集者を描く二重構造を取ってる点はかなり工夫されてて面白いです。
またダークなお話もこの監督が持ってるユーモアのセンスによりマイルドに中和され、どこか親しみを感じます。
ただ好みが分かれる作品でもあるも思います。
編集長を追悼する映画
映画冒頭で宣言された通りの追悼映画。
編集長が亡くなって、あんなこともあったねぇと回想する記者たちに混ざったかのような。編集長の人柄を思い温かく切ない気持ちになった。
追悼としては、3つ目のエピソードが重要だった。鶏小屋から好待遇で助けてくれた編集長。
脳内ドックイヤーなど、おもろい言い回しも3つ目のエピソードが1番かな。
1つ目はアートの話。
2つ目は学生運動の話。記者の寂しさにぎくっとした笑「僕も君が初めて。彼女を除いてね」に隣の席の人がふふってしてたなあ。
ウェスアンダーソン監督作品は役者の演技まで明らかにウェスアンダーソン監督とわかる。エンドロールまでこだわりを感じる、ウェスアンダーソン作品でした。
追記:グランドブダペストホテルのように刺客に追われたり脱獄したりずっと続く緊張感はなく、本を読むような感覚。雑誌の映画だもんな。
記者の回顧録
忙しない情報量の多さから相変わらずのウェス・アンダーソン節炸裂な映像のオシャレなLook、痛快で単純明快な印象は影を潜めながら観る人を選ぶ感覚、物語は全体的に繋がりながらのオムニバス形式で話に纏まりがない感じに最後まで戸惑う!?
地味にも派手にもウェス・アンダーソン常連の役者陣が至る所に現れて笑えたり和めたりしながらも、それぞれの話にハマれずにソウでもない筈が難しい映画を観ているようにも思われ??
単に映像を観ているだけで楽しめるが監督の前二作を期待するとヨリ小難しさが目立つ。
カンザスでフレンチっていうセンスにキュン
勝手に期待する愚かさを感じた 脱帽である、 闇鍋で 食べてみないと 何が入っているかわからない感じ?白紙答案用紙を提出したくなるような勇気が貰えた
ウェスアンダーソン監督の作品は グランドブタペストホテル、ダージリン急行、天才マックス、 ザロイヤルテネンバウムズ、ライフアクアティック など見てきたが この作品は完全に独立峰として照らされ聳え立っていた。
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