「この雑誌は売れないかも」フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊 コショワイさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0この雑誌は売れないかも

2022年1月29日
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鑑賞方法:映画館

寝られる

1 架空の街の雑誌社が発刊していた雑誌。その最終号を飾る架空の記事を映像化したコメディ。

2 雑誌の編集者や雑誌社のある街の来歴を紹介するところが導入部。人物がどこか紙芝居的で動きやセリフが少なく、多くはナレーションで進行していく。あえて誌面風の映像にしたのだろうかと思ってしまう。このテンポがほぼ全編続く。映像化された3つの記事は、美術、政治、食をテ−マとし、ドラマはいずれも大掛かりなセットを組み、映像はコマ落としやアニメ−ションなど編集や作り方は凝っている。記事の時代背景が何故か50年代から60年代辺りで、人物や状況設定が、囚人の画家だったり学内で当局などと対立する学生運動、警察と暗黒組織との闘いと多様。与太話として徹底していれば面白くなったと思われるが、テンポが独特で、スト−リ展開も芸術映画風なところが急にドタバタになったりとト−ンに一貫性がなく締りがない。そして、残念ながらコメディとして、笑えるところはなかった。もっともこの映画をコメディとして捉えた自分が間違っていたのかもしれない。

3  この映画では、雑誌社内部の色使いや遠近法を活かした画作り、囚人画家の話のドラマ性は良いと思った。また、架空の雑誌の記事の映像化は面白い着想であり、中身はともかくとして映画全体の構造にはウェスアンダーソンの才気を感じた。

4 俳優では、学生役のティモシー・シャラメとジャ−ナリストのマクド−マンドかいかにもそれらしい役どころで印象に残った。

コショワイ