「明るく、悲しく」ハスラーズ andhyphenさんの映画レビュー(感想・評価)
明るく、悲しく
リーマン・ショック後に、ウォール街の金持ちの金を「いただく」物語、ざっくり言ってしまえばまあ、そうなんですが。
ジャネット・ジャクソンの"Control"で幕を開ける物語。前髪ぱっつんでどことなく垢抜けないコンスタンス・ウー(37歳)が半端ねえ50歳(!)、ジェニファー・ロペスに魅了されるところが始まり。ジェニファー・ロペスさん、スタントなしでポールダンスこなしたそうです。マジか。
序盤はまだ、リーマン・ショック前の2007年。姉御肌で豪快なジェニファー・ロペスと、地味だが冷静沈着なコンスタンス・ウーはコンビを組んで荒稼ぎ。良き時代、という感じである。あんな札が舞うの見たことない。
この映画、基本的に「現実」を担うのがコンスタンス・ウーだ。リーマン・ショック後に出産し、母となり、男と別れ、行き詰まり、出戻る。このリアルさはやっぱりコンスタンス・ウーでないと(まあでも格好はゴージャスなんだが)。
そしてJLo。彼女は「現実」を「女」を使ってぶちのめす、輝ける姉さんであり母親である。そしてその「雑な強さ」が破綻へのきっかけともなる。
このふたりが、他の仲間と共に「擬似家族」を築き荒稼ぎするところがこの物語の頂点だ。ただただ間抜けな(役回りを担わされる)男どもと、ゴージャスに、明るく札束を振りまく女たち。JLoのリーダーシップとコンスタンス・ウーのマネジメント力。非常によく回る「犯罪ビジネス」。
しかし、まあ、栄枯盛衰、犯罪をビジネス的に広げたおかげで起こる擬似家族の摩擦。
何が目的なのか見えなくなったときに、「夢」は終わる。彼女たちの「夢」によって、「自業自得」だけとは言い切れない男たちが声を上げたとき。それに気づいてしまったとき。
共感出来るかといえば、正直しづらい。おそらく、私は取材する女性の側に立っちゃうのだ。だから、彼女たちの弱さや、絆を表面的にしか理解できないのかもしれない。
しかし、彼女たちもあっけらかんとしていただけでは、ない。罪悪感は確かにあった。しょちゅう吐く女の子とか。明るい色彩に、影のように悲しみが見え隠れする。激しい言葉の裏に優しさが隠れている。
燦然と輝くジェニファー・ロペスはまさにハマり役。ギラギラして、雑で、強くて、しかし優しい。圧倒的だね。
そしてガンガンのクラブ・ミュージックの合間を縫って流れるショパンよ...。あからさまな使い方ですけど、こういうのも、ありかな。