「「愛がなんだ」へのアンチテーゼと“伝える”ということ」mellow 753さんの映画レビュー(感想・評価)
「愛がなんだ」へのアンチテーゼと“伝える”ということ
ありがちっぽいけどほとんど見かけないシチュエーションと、映画的なのにどこか違和感のあるセリフ回しとで、変化球だけどかなり打ちやすくなっていて、打席に立ちやすい(変な例え)。なんかずっとちょっとありえないから時たま感じるリアリティがやたらに際立つ、わざとらしさたっぷりのリアル。だからそんな奴いねえだろ、と思うのに、生命が宿っている。
特に白鳥玉季の宿りっぷりは破格。ステップの子なんだね。大人びた部分と子どもらしい部分との配合量が絶妙。圭くんの役が口数の少ないタイプの人間なので、思考の整理を彼女との問答で解決してる。
小道具の使い方が荒っぽくてだけど最低限の要素で状況を背景まで説明し切っているっていうのも、彼女の役割と共通点があって、どちらも映画をシンプルに見せる仕事をしてる。おかげで、登場人物の言葉それぞれがスッと入ってくる。
ともさかりえが好きな人ができたと旦那に告げるシーン、ほとんど同じ状況を経験したことがあるので、なんか懐かしくて笑っちゃった。そして明らかにこのシーンは一つの肝。
愛とは赦すこと。全て受け止めること。
「愛がなんだ」の世界線はこちらに近くて、
それをおかしいと言う田中圭が主人公の「mellow」はそのアンチテーゼ的な位置関係。
愛情。と、情。
自分は今泉さんと愛の定義がよく合うな。
分かんない人にはわかんないだろうよ、という諦めの気持ちのような、でもどこか小馬鹿にもしたような。
「好きな人が困っていたら助けてあげたいっていうのは、普通の気持ちじゃないですか?」
「毒だけどね、たまーに」
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