「草食系だけの恋愛群像劇。」mellow お水汲み当番さんの映画レビュー(感想・評価)
草食系だけの恋愛群像劇。
悪い人間が一人も出てこない映画です。
みんながみんな、他人を傷つけることを異常なほどに怖がっていて、愛情表現にも奥手になってしまった人たちの不器用すぎる愛の姿を、田中圭の「お花」という器を中心に置いて、やさしく、柔らかく描いています。
たとえ草食系だと言っても人間である以上、人を愛し、その結果、良い人を傷つけてしまう。
それが人という生き物の宿命。だから哀しいのかも知れません。
善人だけを登場させながら、キチンと力のあるドラマに仕上げるのは、今泉監督の端倪すべからざる実力だと感心しました。
無名に近い役者たちが、パーフェクトの演技を見せてくれるこの映画。
彼らのトレーニングにどれだけ真剣に向かい合い、汗と時間を費やしたことか、今泉監督の愛と努力が透けて見える気がします。
脚本も今泉監督の作品ですが、登場人物が至るところで「え?」「え?」「え?」とだけ言うセリフを乱発していて、この点だけは不快でした。
観客に解釈を丸投げするなよ、と苦言を一つ。
でも、この恋愛映画の欠点は、この一点ぐらいかな。
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