X 謀略都市のレビュー・感想・評価
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ブタペストのさかさまになった街並み
2003年に夫の自殺現場を目撃して以来、パニック症候群に陥り、まともに死体を見ることもできなくなった刑事エーヴァ。父の顔も知らずに育った娘カティスはいじめられ、たまたま暴力を振るったことで相手に仕返しされ、家庭はローン地獄という最悪の状態。現場写真だけでかなりの証拠を見つけることができる能力をも持っているが、犯人と遭遇したら何もできなくなってしまう脆さもある。
多発していた自殺者が偽装殺人であることを見抜き、赴任してきたばかりのペートルの相棒となるが、ちょっと弱々しくて見てられないほど。せめて眉間にしわをよせるのはやめましょうよ。それでもペートルは彼女の能力だけは信じていた。
Xなんちゃらというデモ扇動グループの存在。そして社会主義国だった80年代の事件が交錯するし、アップサイドダウンする街の映像が彼女の心象風景を表すと同時に、価値観の変わった社会の矛盾をも表現していたと感じた。どちらの世の中であっても権力の中枢にいる者のやりたい放題。今でも暗殺集団はいるんじゃないの?てな感じで。
ただし、裏で操る実力者の存在など、すっきりは解決しない。「嘘をつくのが下手だ」という彼女の性格をも把握した上での犯行。まぁ、トップが逮捕されたからいいんだけど、やっぱり怖さは残る。
孤独感
浮遊感あるカメラワークの真意にまでは辿りつけなかった〜
ただあの天地反転の導入には引き込まれます!
社会の閉塞感や社会主義の残したものや資本主義になってからの国が抱えている問題。社会システムに対するメッセージがうまく組み込まれているのだろうが汲みとれず。
文化的土台がないと分かり辛いのはしょうがないとして、ハッキリ言わない所がこの作品のミソなんだと思う。
リザとキツネ〜の時も笑いもありつつ全体的な孤独感と暗さは常に感じる作品だったけれど、、、まあ今回のはずっと暗い。
ただ重苦しい息の詰まる雰囲気と主人公のメンタルが常にリンクするし、その中で重圧と闘いながら洞察力を発揮していく姿は閉鎖社会に置かれた人間模様とその中で生きる苦しさと弱味と強さを感じるなと。
見なくて良いとは一概に言えない。
ふと、思い至ったので追記します。
天地反転の映像。あれは社会主義から資本主義へ変わった事での価値観の反転と、価値基準が変わった事で宙ぶらりんになったアイデンティティか何かの表現かなと。足元がおぼつかない浮遊感と不安感も自分はそれで納得する事にしよ。
何で?
全編通して、静かに映像も薄暗い。肝心の事件解明の部分が明らかにされず、いきなり飛ばされており、ラスト悪徳警官も捕まらず、かなりの消化不良。何でこんな作りなのかわからない。
相棒のシリアス版
最初は、夫に逃げられた母子家庭の女刑事で、唯一の家族である女学生の娘とは険悪で、哀れな主人公というイメージ。
しかし、自殺や事故死の鑑識結果報告に違和感を感じて再調査を進め始めた辺りから段々と引き込まれて行く。
刑事の業務である「正義」というものを出世などに惑わされなく遂行するところは杉下右京を感じさせた。
でも最後の娘の命を選択させるシーンは、もう一捻り欲しかったな。
地味ですが一見の価値はあると感じました。
連続殺人事件を捜査する女性刑事の活躍を描く物語。
地味ですが、秀作だったと思います。
自殺を装った連続殺人事件。それを喝破して捜査を進める刑事達。
連続殺人だけではなく、主人公の親子関係、主人公のパニック障害、要所でインサートされる上下を反転させた街の風景等が、効果的に映画を盛り上げます。
特に、主人公の息遣いは、事件の不気味さ・深淵さを伝えるのに、とても良い演出だったと感じました。
ただ、肝心の事件解決については個人的には興ざめで、より高い評価を難しくした印象です。もう少し現実よりな設定を作って欲しかったと思います。
パニック障害の女刑事
ハンガリーのブタペストが舞台の警察ドラマ。
主人公は同じ刑事だった夫に自殺され、パニック障害に陥る。
捜査能力はずば抜けていたので、不審な自殺や事故死を調べ、連続殺人事件ではないかと追いかける。
主人公のモーニカ・バルシャイが、たまにへなちょこになる刑事を見事に演じている。
よく分からない所だらけ。
先ず、主人公の娘が何の学校かも分からないし、何故いじめられたのか、何故、副市長の娘を殴ったのか理由が分からない。で、副市長の娘に復讐される。この件がよく分からない。
自分の娘に何故父親が自殺したのかを説明しない。
パニック症候群で犯人とおぼしき男に易々と拳銃を渡すか?
旦那が自殺したと見せかけられたのは何故か?
結末がぼやけた。
これがハンガリーの映画なのか。
全編に映しだされる逆さまの街の空撮映像は意外性があって面白かった。
アートなスリラー映画
予告編を見て手に汗を握るサスペンスフルな展開を期待したのだが、本編の方は、アートな映像がゆったりと流れていく。
主人公はパニック障害を抱えていて、犯罪現場をみたり、危機が迫ってくると、自分を落ち着かせるために、深呼吸をしながら数を1、2、3と数えていく。このシーンがきれいな映像とともに、ゆっくりスクリーンに映し出されるので、瞑想サロンと同じくらいのα波が出たと思う。
結局、政界をひっくり返す疑獄事件の全貌が明かされることなくエンディングを迎える。リモコンのチャプター送りを押した時のように、突然、話が進むところが何箇所かあったけれども、これもアートなんでしょうか?
逆さ絵もアート?
ただ、ミスリードは上手い。思わず、えっと言ってしまった。
サンドイッチのバリエーション
優秀な刑事だった旦那が拳銃自殺した遺体を発見してしまったことにより、死体をみることが出来なくなり、内勤をする主人公が、死亡事故として処理された案件に疑問を呈して巻き起こって行く話。
素っ気なく、仕事にもプライベートにもある意味ロジカル、ある意味淡白で、父親を知らない娘との仲もしっくり行っていない主人公。
写真は大丈夫と言いつつもパニック寸前になりながら、提言していた案件に事件性があることを証していく様子は、謎解きサスペンスの答え合わせ的な感じで心地良いけど、同時に複数の案件が関連して不穏さも増してきて引き込まれる。
しかしながら陰謀の全容の見つかり方がかなり急でちょっと呆気ない。
その後の終盤の追い詰められてからのバスタブ案件は、何があったのか勿体つけるけれど、そんな程度のことを時系列弄ったのかよと拍子抜け。つまらなくはないけれど勿体なかった。
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