「あの世で太宰治に観てもらいたい」グッドバイ 嘘からはじまる人生喜劇 momoさんの映画レビュー(感想・評価)
あの世で太宰治に観てもらいたい
太宰治の未完の遺作ということで、原作にほぼ、忠実に始まり、橋本愛演ずる2人目の愛人のところから後は原作がないので、全て創作。
さてどう言う結末なのかは見てのお楽しみ♪
大泉洋ありきの作品です。
だらしなくて頼りなくて女たちは皆、母性本能をくすぐられてしまう感じ、小心者のくせに悪びれもせず開き直った感じはハマり役!
小池栄子のダミ声は原作に忠実に再現されているのでしょうけれど、どうしても「ボク、ドラえもん!」的な発声なので大山のぶ代版のドラえもんが浮かんでしょうがなかったです。
とは言え小池栄子の魅力満載の作品です。彼女のダイナマイトバディと演技力無くしては設定が成り立ちません。原作では細身ですが胸の谷間大サービスショットには天国で太宰治もびっくりしている事でしょう。
緒川たまき演ずる1人目の愛人はお花屋さんという職業で、花言葉を使って気持ちを伝えていましたが、原作通りパーマ屋さんの方がパーマをあててもらっている間の女同士の微妙な空気が面白かったのではないかなあ?
そして、普段は愛人が似合う木村多江が本妻さん。
原作では幼い娘は木村多江の産んだ子供ではなく前妻の子ですが映画では木村多江の産んだ子のように見えました。
水川あさみの女医はカッコよかったですが完全創作の部分ですね。
とにかく短い原作をここまで膨らませた想像力は力技とも言えましょう。特にこれまた原作には全く出てこない戸田恵子の占い師が強引すぎて笑えました。
途中でキャラ変する濱田岳や松重豊はいい味をだして作品のクオリティを上げていました。
暗いイメージのある太宰治作品ですが、最大限に明るい演出をめざしたのだと思います。
ラストシーンは突如ラブコメ調に。なかなか清々しくてよかったかもしれません。
男と女ってやつは、ほんと摩訶不思議です。