再会の夏のレビュー・感想・評価
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第一次大戦当時のフランスが感じられる映画
犬に罪はない、ということなのでしょうね。しかし、第一次大戦の頃って犬を戦場に連れていけたんですね。きっと軍用犬に登録したりとかあったのでしょうけど。
なんか、反戦とか社会性とか、そういうことよりも、時代に翻弄される主人公と、ただただ主人に付き従う犬とを対比させる、ヒューマンドラマだと思いました。当時のフランスの田舎を感じることが出来て、まるでミレーの絵画を見ているように楽しめた感じです。舞台が日本だったらどこになるんだろうなぁ。東北とかなのかなぁ。
嵐の前の静けさ。
嵐の前の静けさ。
この家族に今後押し寄せてくる嵐を全く匂わせずに映画は終る。傑作だと思う。
争いを続ける人間の本性と、争いを作る者に対して、皮肉をたっぷり込めている。
フランスは第二次世界大戦の時には『まやかしの戦い』を仕掛けて、ドイツ軍にパリをほぼ無血開城している。フランス人にとっては、第一次世界大戦の方が、過酷だったと僕は高校の世界史で習った。なるほどね。
うん、思ってたのとは違った
思ってたのと違ったってレビュータイトル見たけど、私も、勝手に想像していた話とは全く違う物語でした。
戦争に行って会えなくなった犬との帰還後の再会かと勝手に思っていたので、犬を挟んでひと組の夫婦が再出発する話だとは、想定外。
タイミング、悪かったねー、
ヴァランティーヌの、身重だから力仕事頼んでた男性が、たまたま裸だったところに帰宅しちゃうって。
男って、ああいうのダメな人多いなーって、若い頃思い出して笑ってしまった。話くらい聞けよ。器小さすぎだろ。
2匹の犬を飼っていますが、人が繰り返して躾けた(刷り込んだ)行為をするのはいたって普通で当たり前、争いの引き金をひかせるなんて、人が愚かなだけ。
いや待てそもそも、戦地に連れて行くことも、それ以前に…戦争自体が…人が愚かなだけ。
せめてあのとき繋いでおけば、あの場所で血は流れなかったのにね。でもそんなことで終わるほど戦争は単純じゃないから、かえって多くの血が流れることになったかもしれないけど。
細かくたくさんの愚かな場面と背景に反して、自然が美しく、動物たちが可愛かった。
思ってたのと違ったけど、違っていて良かった。
犬というスコープを通して見えてくるもの
いろいろなメッセージの込められた作品だと思う。
ランティエと、犬、モルラック、そしてヴァランティーヌとの対話のなかで、戦争からその後の事件までの悲しい事実が明らかになっていく。
愛国心や正義を煽られるが、前線で戦う兵士には、戦争の目的は、実は曖昧だ。
モルラックは、和解のための行進で、敵に噛み付いて、戦闘に発展させてしまった犬に、前線で戦う自分を重ね合わせたのではないか。
モルラックは、当初、状況を理解できなかった犬に腹を立てつつも、実は命令に背いているのは自分達であって、犬は忠実だったことに気が付いた。
そして、終戦、帰還。
原題タイトルの、「(犬に掛けられた)赤い首飾り(勲章?)」の赤は、フランス国旗の友愛を示す色だ。
フランスの田舎の村人たちのドイツ系ユダヤ人であるヴァランティーヌに対する偏見、人付き合いの下手で頑ななモルラックへの偏見、モルラックのヴァランティーヌに対する誤解なども内包し、ランティエは地道な調査を続け、取り返しのつかない命令につき従うだけだった戦時の自らの行為を省みながら、モルラックを解放しようと努力を続ける。
そして、変わらず寄り添おうとする犬。
しかし、ヴァランティーヌも変わらず、モルラックを待ち続けていた。
勲章の赤は、フランス国旗の示す友愛の赤のはずだ。
人は許し合いながら、友愛を育むのではないか。
犬というスコープを通して、人間を見つめようとする寡作だと思う。
今一つ惜しい戦争批判作品
粗筋から思い描いていたようなミステリー要素はあまり無い。
勲章を犬に与えて、国家侮辱罪に問われた兵士。その理由もすんなり自身が語っているし、その件について軍判事が聞き込みを行うのだが、周囲の人々に話を聞いて回る程度で、大した重大事実も出てこない。重要人物である兵士の恋人についても、然程の秘密がある訳でもない。
この物語の主題は、戦争の悲惨さ、非道さを訴えるものだと思う。
人間性を奪われ、命を消耗品として扱われ、上層部の愚かな命令に盲目的に従って、殺し、死ぬ事を強要された、最下層の兵士の怒り。
ならば、最も勇敢にそれを果たしたのは、戦場に付き従った犬ではないかという、強い憤り。
一方、国の従僕として、軍の規範と戦争の正当性を主張する立場である軍判事も、ソンムでの激戦を経験し、内心では国家の過ちを否定できない。
だからこそ兵士に同情的で、彼を放免しようと画策するのだが…。結果が、事件の引き金は、出征中の恋人の不貞を疑った自暴自棄行動でもあった、というオチ。唐突な痴話喧嘩のようなエピソードで、戦争批判のテーマのエッジの鋭さが削がれ、何だかモヤッと、感情の持っていき所がない感じに…。
同時代、同様のテーマを描いたものは数多く、他に良作があるだけに、イマイチ肩すかしな印象となってしまった。残念。
思ってたのとは違った
犬との絆の話が深く描かれるのかなと思ったが、そうではなく、モルラックやその周囲の会話から、モルラックの回想描写がメインとなり、いかに戦争の悲惨さ、意味のなさを改めて理解させてくれるような作品だった。
その為思ってたのとは違ったのかなというのが率直は感想。これもまた素晴らしい映画だが、犬が大好きで、ちょっと犬とのストーリーを勝手ながらもっと期待してしまった為少し退屈に感じてしまった。
文学的な臭いと犬が気になって観に行きました・・
仏軍のランティエ判事(フランソワ・クリュゼ)の視点で疑問を解いていくストーリー。
・犬(名前はギヨーム 犬種はボースロン、ドーベルマンの原種)は留置場の外で主人モルラック(ニコラ・デュボシェル)を呼び続けるのか、それほど強い絆とは?
・モルラックはなぜ投獄されるようなことをしたのか?
テーマとしては観た人それぞれと思うが、私には徴兵された農民の見た戦争の欺瞞性、読書や学問は人を思慮深くさせるがその分悩みも深まる、懐柔させるのは無垢の愛ということか・・。
原題のLE COLLIER ROUGE(赤い襟)は原作の小説の題名でワンちゃんの首輪のようだが映画ではしているように見えない。
(以下ネタバレ→)
それにしても第一次大戦の時代では愛犬を連れて出兵なんてできたのには驚いた、そもそもなぜこの物語に犬が必要なのか考えてみた。
戦場で国が望み、讃えるのは勇猛な犬のような兵に過ぎないと気づいたモルラックの怒りは自分を裏切った妻への失望と重なり人としての自尊心を著しく傷つけられ自暴自棄に陥るのだが、只管待ち続ける愛犬の健気さやランティエ判事の真相調査や慈悲深い説得により立ち直ってゆくのだった・・。多少マッチポンプ的ではありますが愛犬でもあり戦友でもあるギヨーム無くしては平板な人情ものになってしまっていたでしょう。ただ、妻のバレンタイン(ソフィー・ベルベーク)の態度が途中から夫思いに豹変するのは不自然、製作陣の思わせぶりの心理操作を感じさせてしまうではありませんか。
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