劇場公開日 2019年11月15日

  • 予告編を見る

i 新聞記者ドキュメントのレビュー・感想・評価

全70件中、21~40件目を表示

4.0『「A」』『A2』でオウム真理教の元信者を、『FAKE』で佐村河内...

2020年7月24日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

『「A」』『A2』でオウム真理教の元信者を、『FAKE』で佐村河内守を追った森達也監督が次に密着した相手は東京新聞の社会部記者・望月衣塑子。
菅官房長官の会見の席での庶民・当事者目線からの鋭い質問は、記者クラブのなかでも特異な存在に映るが・・・

といった内容で、製作・企画は、日本アカデミー賞最優秀作品賞を受賞した『新聞記者』の河村光庸。
なので、政治的な立場は明らか。

ただし、政治的立場云々はさておいても、被写体・望月衣塑子は素晴らしい。

とにかく行動する、動く、動く、そして、相手に切り込んでいく。
この行動力は、映画そのもの。
映画を撮る時の掛け声は「アクション!」だし、映画を英語に訳せば「Motion Picture」。
つまり、動く被写体を見つけ、それを撮る、という映画の原初的感動に溢れている。

これだけ記しておけば十分。

日本の大手メディアの官との関係、あぶり出される民主主義の危機的実態については、他に記している方も多いだろうから。

コメントする (0件)
共感した! 0件)
りゃんひさ

3.0現代日本のジャーナリズムの一端が垣間見れる様々な人間群像

2020年7月21日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

主人公の自己愛に満ちたドラマリテラシー軽視のフィクション映画「新聞記者」の原案者にして、官邸記者会見で執拗に質問を投げかけて注目された東京新聞社会部記者望月衣塑子の活発な取材と言動を追跡した政治的主張の明確なドキュメンタリー映画。辺野古基地移籍問題、森友・加計学園問題、伊藤詩織準○○事件など近年マスメディアを騒がした題材が取り上げられていて、その点では興味深く観ることが出来る。政治理念を明確にした監督森達也の視点が望月記者寄りではあるが、映像がもつ客観的表現力のみが真実に近づくことを改めて確認できる。映像リテラシーを持って鑑賞出来れば、それなりの面白さを感じることは容易いのではないだろうか。
それにしても登場する関係者らの一筋縄ではいかぬ容貌含めた人間性に対して、望月記者の正義感や真実追求の一途さの危うさを感じる。彼女を利用できる間は親しく接し味方にしようとする人間に囲まれた状況が見えてくる。それを承知の上で真実のジャーナリズムに辿り着けるとしたら、一度は大きな挫折を味わわなければならないであろう。それとも最後まで使われてしまうのか、それだけは人間観察の意味で関心が残る。

頭がいい人ほど嘘がうまい。嘘がうまい人ほど他人を騙せる。人を騙してお金儲けをする人が本当の悪人である。本当の悪人は、故に頭がいい。それに打ち勝つためには、騙されない賢さを身に付けるしかない。
嘘と真実を見極めるために自分で勉強することが最も大切なことである。いい映画もその勉強の題材になると信じている。

コメントする (0件)
共感した! 1件)
Gustav

4.0ギリギリの戦い

2020年7月20日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

イデオロギー抜きで、国民の税金の使い道を検証しようとするが、邪険にされてしまう。
政治家は相変わらずだが、問題は未だに続く記者クラブで、日本のマスメディアに不信感を持ってしまう温床になっている。
全体として天に唾している思いが強い。

コメントする (0件)
共感した! 0件)
いやよセブン

3.0まぁ、イチ新聞記者のドキュメンタリーでした。

2020年6月20日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

知的

望月芽衣子氏に密着したドキュメンタリー。
沖縄県辺野古赤土問題から始まり、森友学園問題や沖縄自衛隊基地問題など以前色々な騒がせた話が詰まっていた。

反自民勢力側の望月氏なので映画内容も現在国を握っている自民党に批判的であるのは仕方ない所。
望月氏の新聞記者としての行動力や頑張りは褒めたい所はある。(別映画「新聞記者」にて頑張らない新聞記者を観せられたので尚更である。)

しかし、内容がTVにて報道されていた以上のものがこの映画には無く、私には少しがっかりした映画であった。
(例:森本学園土地問題でも土地評価額9億5600万、学園購入金額1億3400万。その差額だけがクローズアップされたが、そもそも産業廃棄物が埋まった土地なんて、事故物件アパートの様にいわくつきであり、建築物を建てるにはかなりのリスクが生じるいわくつきの土地にてかなり評価が低いはずなのに、何故「土地評価額9億5600万」と言う当初の数字に疑問を持たないのか?)

内閣に突進する望月氏
やるのは構わんが少しショートカットし過ぎてないかい?
いきなり官房長官。下に存在する各省庁の人々に突っ込んだ内容が無いし。
同じスタイルで私ならまず各省庁をぶっ壊しに行きますけどね。

新聞記者という立場を少し脱線したやり方も少し好かんし、いつも思うのだが「そういう理想があるのなら政治家(国会議員)になりなさい。」と思う。
貴方のやりたい事は議員になってもやれるのだから。
やれる事増えると思うよ。絶対。
(ならずにそんな事やってるから、菅官房長官にもあんな態度取られる訳だし)
新聞記者側に立って街角演説する反自民勢力もヘタレに見えたし丁度いい。

望月氏は講演会最後にて「参院選もよろしくお願いします。」と語っていた。
平等な考えなる新聞記者たる者が、そこは語って欲しく無いな。
(それじゃどこかの宗教新聞と同じだ。そもそも新聞&記者が左やら右やら、自民やら反自民やら偏っているのがおかしい)

コメントする (0件)
共感した! 17件)
巫女雷男

0.5ワケわからん質問?自分語りで皆の時間を使う記者

2020年5月15日
スマートフォンから投稿

先日、コロナでピリピリしてる大統領が中国系の記者に煽られて激昂したことがニュースになった。
私のイソコさんへの認識は、大統領を庇った人たちとよくにていることが分かった。また、その中国系の記者のことを『中華版イソコ』と表現する人がいて、このキーワードを見たときに極めてしっくりきた。
このタイプの記者たちは、事実だの真実だのは二の次で、自分の能力で権力者をいかに動かしたかという実績に重きをおいているように思えてならない。
この映画を見るうちに、イソコさんは圧倒的な体力を上のような迷惑行為に余すことなく投じて支持を得てきた人なのだと再認識できた。
イソコさんが菅さんを激昂させたことを誇らしく思ってるヒトは、一度中国系の記者が同じよーなやり方で大統領が激昂した記事の反応でも読んできたらどうだろう。あっちはガチもののジャーナリストに対する反応がたくさんかいてあるよ。

コメントする (0件)
共感した! 5件)
遺品整理と断捨離の鬼

4.0一人称単数の意見

2020年3月27日
PCから投稿

一人称単数の考え、意見を大事にしないといけないと森監督。
確かにケガ人が◯◯◯人とか、
◯◯は◯◯人でしたとか、
理解している気になってはいけない。
仰る通り。

全篇を通して何度もオーバーラップしていた映像が、パリ解放の時の画像の加工という事が後半で明らかになる。

親ドイツの人たちが、
民衆によって私的に裁かれた。
検察も警察も法律も憲法も信用しない。
自分たちで裁いた人たちの画像だ。

その意味とは?

貴重な一人称単数の意見だ。

コメントする (0件)
共感した! 0件)
蛇足軒瞬平太

4.0iの意味は

2020年3月24日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

単純

興奮

知的

森達也がFAKE以来のドキュメントで時代を問う。森達也は今回は東京新聞の望月記者を通して、沖縄基地移転問題、森友加計問題、伊藤詩織さんレイプ事件、官邸の記者クラブ様々な問題を切り込む。映画新聞記者は正直面白さを全く感じない陰鬱な作品だったが、本作はポジティブで個が突出していて空気を読めない(いい意味ですよ)望月記者を密着しているので全く飽きずに興味深く観賞できました。
ここまでたくさんの疑獄がありながら長期政権を維持できるカラクリやら出来上がってしまった官邸主導による官僚支配がよくわかる。そして司令塔である菅官房長官と対峙する望月記者の凛々しさ。
この作品を巨大劇場有楽町のピカデリーで上映されたのが驚いた。せいぜいシアターイメージフォーラムかポレポレでしょう。メディア圧力も緩んできたのかな?希代のドキュメンタリー監督森達也の渾身の一撃。ノンポリの若者に観てほしい作品だ。

コメントする (0件)
共感した! 0件)
トシくん

4.0体制に立ち向かう女性記者の屈しないエネルギー

2020年2月26日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:試写会

キネマ旬報 ベスト・テン 第1位映画観賞会&表彰式 にて観賞。

ドキュメンタリーは、当然に作り手の意図が反映しているのだが、写し出されている映像は少なくとも本物だということが重要。
(演出する反則は別として)
まず、望月衣塑子記者のバイタリティーに敬服する。
新聞社の記者って会社員ではないのか?
ここまで仕事にエネルギーを注げているか、自問自答の答えは「降参」だ。

彼女が、現内閣に対して単に批判的なのか、体制側の不都合な事実に容赦なく切り込んでいるのか、観る側の思想によって判断は異なるだろうが、彼女の質問にまともに答えない官房長官の姿は実態。
意図的に切り取られ編集されていることを割引いても、不誠実さは拭えない。
これは、国会での安部総理の答弁と同じだ。
国民に対して「余計なことは詮索せず、黙って国の運営は任せておきなさい」と言わんばかりではないか。

籠池夫妻や、伊藤詩織さんを出すあたり、安部派の神経を逆撫でする意図が見え見えで、それなりのメッセージが伝わる。

コメントする (0件)
共感した! 6件)
kazz

5.0苦虫百匹、質問百項。

2020年2月24日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

笑える

怖い

興奮

第93回(2019年)キネマ旬報ベスト・テンで文化映画第一位の作品。
劇場公開「新聞記者」の原作者である、東京新聞の望月衣塑子記者の
日常に密着したドキュメンタリーなのだが、取材活動がかなり面白い。

常に突撃姿勢で質問を投げる望月記者の前にはだかるは、菅官房長官。
この二人のv.s.が何より笑えるし考えさせられる。いつも苦虫を噛んだ
顔の菅さんが、記者を前にすると苦虫一匹が百匹の顔になり、あーあー
またその質問かよ。うるさいなーしつこいなー。いい加減にしてくれ。
の表情でいっぱい。空気を読み、忖度をし、権力に逆らわぬ新聞記者
が書いた記事のどこに真実がある?と思うくらい孤独な闘いが浮彫に。

今作は彼女を決して英雄視はしていない。いつも大きな鞄をゴロゴロ
転がして両手に大荷物であちこちへ移動するが、まさかの方向音痴?
だったり、夫の方が料理が上手いのよ~と笑い手作り弁当を食べる姿
など、愛嬌溢れる普通のおばさんとしての姿も映し出す。行き詰まる
取材や過剰規制の在り方に森監督が疑問を投げかける場面も忘れ難い。

今作では、伊藤詩織氏、籠池夫妻など、渦中の人物も次々と登場する
ので、その素顔とメディアでは語られなかった発言に注目すると良い。
望月記者を通して、メディアが置かれている今の現状が分かってくる。

コメントする (0件)
共感した! 4件)
ハチコ

5.0右か左かではない

2020年2月18日
iPhoneアプリから投稿

ℹ︎、私はどう考えるか、です。
映画のテーマは、右だの左だのとこだわることの危うさについてです。
大事なのは右や左の複数の視点に絡みとられることではなくて、一人称単数としてのℹ︎=主語を持って、視点を変えてみることなんだろうと思います。
この作品は、望月さんやいまのメディアの現状を踏まえた上で、ℹ︎としての私はどう考えるかを問うているのだと思います。
選挙演説を前に、右と左にまとまって言い争う姿。それを彼女はどう見ていたのでしょうか。ラストの彼女の表情がこの作品のテーマを物語っているようでした。
ここのレビューで言い争っている姿は、あのシーンそのもののようで、第2幕を見せられているようでもあります。
集団化することで、自分たちの正義や善意が他者を虐げる暴力になってしまうことがある。ナチスの迫害を目の当たりにしていたはずのフランス国民が、ナチス政権が終わった途端にドイツ人女性を迫害してしまったように。この映画を観たℹ︎私は、せめて同じ轍を踏まないように意識していたいと思う。

コメントする 1件)
共感した! 2件)
けんじ

5.0ザ・ニュースペーパーとのツーショットがめちゃ面白い!

2020年2月13日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

 『新聞記者』を観る前にと望月衣塑子著の「新聞記者」を読んでみた。思っていた望月像とはかけ離れていて、世間で言われるリベラルなんて思想はまったく感じず、あくまでも中立を保ったまま記者魂を貫き通した女性との印象だった。この映画も彼女の素顔や日常を追いかけるドキュメンタリーであり、森達也の意見なんてのは最後に語られるだけでした。

 だからこそ、その質問攻めにする望月衣塑子の純粋さが伝わってくるのだし、報道の自由、国民が知りたい権利、メディアの堕落など、日本が抱えている諸問題を直接訴えてくる映画だったかと思います。

 この映画の大まかな内容は、辺野古基地建設問題、伊藤詩織さん準レイプ事件、森友学園問題、加計学園問題など。辺野古では赤土が10%を超えるか否かで菅官房長官に質問攻め。さらに、宮古島新基地建設での爆薬庫が住民に知らされずに建てられようとしている事実。住宅街があるにも関わらず、世代も変わり老人ばかりいる地域に金を積んで解決しようとしている実態もあった。

 森友に関しては、籠池夫妻も映画に出演し、人の好さをアピール。しかも、原発反対、改憲反対などと、まるでリベラが主張する姿に驚きと笑いがあった。彼らの教育方針には全く賛同できないが、大阪のおっちゃん、おばちゃんも首相夫人に裏切られて開き直ってるところが印象的だった。

 森達也監督もかなり姿を晒しているのですが、これは明らかにマイケル・ムーア監督から影響を受けているのでしょう。突撃取材にも似た官邸前での警察とのやり取り、そりゃ無理だってわかってるのにやってる微笑ましさ。しかし、その目的は官邸記者会見に出席して望月氏をどうしても撮りたい願いの現れ。ドキュメンタリー監督としての意思表示なのだ。

 色んな問題が山積していますが、長期政権になればなるほど政治の腐敗が進むことは歴史が証明しているという点。政治家、官僚、メディアもみんな乗っかってしまえといった風潮と、敵対するものは排除する思想。こんな時こそ報道の力で闇を照らそうとしなければならないのに、望月衣塑子が孤軍奮闘している構図であり、記者クラブの誰もが追随しない悪循環。さらに、闇の部分では自殺者も出るのは世の常だし、忖度しなければ命がないともされる世の中でもある。

 この作品のインパクトが強すぎて、権力を監視することが報道の役目という予告編により気になっていた『さよならテレビ』をちょっと後回しにしてしまいました。とにかく記者は政治的無色にならなければならないのは作品中にも語られていた。政権交代が行われたとしても、その新しい権力を批判するのがジャーナリストの使命なのです。彼女がいなければ、官邸記者会見はいつか大本営発表と化していたことだろう・・・

コメントする (0件)
共感した! 11件)
kossy

5.0近畿財務局OB出演

2019年12月27日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

官邸に嫌われないように取材している記者ばかりだろうな実際。嫌われると情報をもらえないようだから。でも本当はそれではいけないだよ。もし太平洋戦争中に本当の状況が国民に知らされていたら東京大空襲も沖縄戦も広島、長崎の原爆もなかったかもしれない。真実を求める気持ちが記者の原点ということを体を張って示してくれた映画。自分の足と目で確かめた情報をもとに質問をぶつけるが事実無根と突き返されてしまう。しかし結果はあとから覆り政府が謝罪する場面も。
今回の伊藤詩織さんの件も出てきました。近畿財務局OBが出てきて森友問題について話したことは衝撃。これはこの映画でしか観ることはできないでしょう。官邸記者クラブや会社からは面倒くさく思われても外国の記者から認められているイソコ。家庭は大丈夫なのかとかなり心配してしまう。若い人にも是非見て欲しい一本。☆ひとつの評価者の方は何を期待して見に行かれたが疑問。ドキュメンタリー映画を見るからにはだいたいどのような内容、メッセージが含まれているかを調べて観に行くはずだが、アンチの方が評判を落とすためにわざと付けているのだろうか?

コメントする (0件)
共感した! 2件)
hanako

3.5とてもよかった

2019年12月25日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館
ネタバレ! クリックして本文を読む
コメントする (0件)
共感した! 1件)
吉泉知彦

0.5全くふざけている

2019年12月22日
スマートフォンから投稿

わざわざ見に行くほどの物ではなかったな。おさるさんみたいにキーキー盛ってるおばちゃんが、まわりに迷惑かけることが正義だと自己陶酔にはまってしまってるのを延々とみせられる感じでそれなりに苦痛だった。ホント、へこたれない正義って迷惑だなぁと再確認できた。あと監督しゃしゃり出てきすぎ(笑)

コメントする (0件)
共感した! 5件)
Runa

5.0事実を知る所からしか始まらないのだけれど

2019年12月15日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

テレビで放映してくれれば、わずかな視聴率でも多くの中間層の目にも触れるのに。望月衣塑子ファンと森達也ファン、もしくはアンチしか見ない映画では、現状を動かす力としてあまりにも微弱にすぎる。ま、もちろん、それができるのなら、彼女を取り上げた、こうした内容のドキュメンタリーなど、作る必要などないのでしょうが。
芸術性を追い求めるためや楽しませるための映画ではなく、事実を広く知らしめるための映画。身近な知人には、宣伝したりもしたのですが、なかなか・・・。

コメントする 1件)
共感した! 1件)
マツドン

4.0「わたし」の映画

2019年12月10日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

どういう経緯か分からないが製作・配給ともに劇映画「新聞記者」と同じ。しかしこちらは望月衣塑子氏本人に密着したドキュメンタリーである。
ドキュメンタリーをフラットに観ることは決してできない。ドキュメンタリー監督は被写体を決めた時点でその感情に当然、沿ってしまうからだ。どんなに中立に撮ろうとしても、観ようとしても絶対に不可能だ。それはそれだけ被写体たる主人公に抗えない「撮りたさ」「特異点」があるからだろう。
そしてそれ以上に、この「i」という映画においては「対戦相手」に直で接触することが不可能だ。政治家に接触できないって異様な社会だなと思うが。
望月衣塑子という人は、ものすごく早口で強そうに見えるが、基本的には「民衆の代弁者」として行動している。おかしいと思ったことを問う。しかし質問は遮られて官房長官は素気無い返答。権力って、こういうときに効くんだな、と思う。
正直、結構多くのひとが政治に興味を持たず、自分の生活が平穏であればよい(そこに政治が関わるという意識があんまりない)と感じる社会では、彼女のような人は多くの人に熱狂されない。「あのひと、何やってんだろね」という冷笑で終わる。熱狂されても「頑張ってね!」で終わる。いや頑張るのはどちらかといえば彼女じゃなくて、我々なんだろう。
しかし、政治に強い興味を持ち行動を起こしたとして、それが全然、現状の政府に効いていないことも確かである。それはやはり政治にそこまで関心のない「サイレントマジョリティ」の影響だろう...。
ということをつらつら考えながら観ていた。望月氏は闘う人だが、彼女もまた、少し感情に囚われている。あれだけ目をつけられたらそれは当然なのだろうが、その感情的な部分が難しい。「自分はどんな状況でも、権力に疑問をぶつけていく」と本人は勿論、理性と正義を持って考えている。けれど、どこかに「あいつを倒してやる」という感情がやはり見えるのだ。それがいいことなのか、私には判断がつかない。あの魑魅魍魎みたいな政治の世界では。感情を揺さぶる戦略に踊らされているようにも見えてしまうのだ。怖い。
最後のアニメーションと写真、森監督のナレーション。あれは「望月衣塑子」の映画であれば不要だったと思う。最後の独白は望月氏のものであるべきだし、ないのならあの表情ひとつで、映画的には十分だった。
しかし、森達也というひとは、恐らく「i」を途中から自分の映画にもしている。望月衣塑子と森達也が、ある種融合するかのように並び立つ。だから入れるしかなかったのだろう。それが森監督の「i」なのだろう。
人はひとりでは生きていけないが、自我を失ったらそこで終わる。そういう意味で最後の言葉が響く。「彼女の物語」ではなく「私の物語」。
しかし、東京国際映画祭で原一男監督が指摘していたが、森監督は本当に映画的な画に頓着しなさすぎだな...と改めて思った。味があるといえばまあそうだけど。
籠池夫妻の奥さんがどら焼きを皆に「ほら食べ」って差し出すシーンで笑ってしまった。イデオロギー云々以前に彼女は大阪の気のいいおばちゃんであった...。

コメントする 1件)
共感した! 4件)
andhyphen

3.0どうしたもんだか

2019年12月3日
iPhoneアプリから投稿

我々日本人は組織で生きることを基本としてきたから?今の日本はどこに行ってもこんな社会しかないような気がするのだが。どれだけの人が未来に夢を持てているのだろうか?宮古島の住民の「どこに話をもっていけばいいのか?」本当にそうだ。ごく一部の訳の分からない秩序に守られた幸せは多くの国民が辛苦によって支えられている。

コメントする 1件)
共感した! 0件)
emukocyan

4.0新感覚の社会派ドキュメント

2019年12月3日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

官邸の裏側や報道の実態を鋭く切り込んだドキュメントで冒頭のシーンから一気に引き込まれて釘付けになった。メディアの現状と在り様を見せつけられ考えさせられる。
そして何と言っても望月記者のジャーナリストとしての熱意と行動力には仰天。ドキュメントではなくフィクション映画を観ているような感覚になった。
このような見事な映画を作り上げた森監督の手腕も素晴らしい。今後このような新感覚の社会派ドキュメントが増えることを切に願う。
2019-266

コメントする (0件)
共感した! 7件)
隣組

5.0今が崖っぷち

2019年12月2日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

今の政権とその支援者たちは、自らは傷付かずに利益を得る為に戦前の大政翼賛体制を目指しているように見える。本作は、政権関係者だけでなくマスコミ、あるいはわたしたちに対しても向けられている警鐘である。

コメントする 1件)
共感した! 5件)
こばりん

4.0FAKEよりも好き

2019年12月1日
Androidアプリから投稿

望月記者のキャラが立っていることもあるが、最近の事件を振り返るとともに、話題の人物が色々出てきて(吉田豪もチラッと)テンポもよいので、佐村河内氏を題材にした前作FAKEよりも楽しめた。
助演男優賞は半ギレの菅官房長官で決まりなんだけど、森監督が「疑問等があれば尋ねるのが記者の仕事なのに、なんで望月記者を撮っているんだろう」と、政権側に遠慮してかパソコンのキーを叩くことが仕事の記者クラブの連中への疑問や怒りが込められているように思う。
NHKのニュースしか見ない方こそ、見てほしいなぁ。
しかし、チャイルドシートがあるのに、抱っこしては意味がないっすよ!

コメントする (0件)
共感した! 6件)
矢吹 貴