「記者クラブに阻まれる森監督」i 新聞記者ドキュメント ローチさんの映画レビュー(感想・評価)
記者クラブに阻まれる森監督
劇映画の方はいまいちのれなかった。『新聞記者』というタイトルなのに、主人公の記者が自分で情報を取ってこれない。内調のリークに頼りっきりでそれで本当に権力の監視としての役割を果たせるのかと心配になった。ジャーナリストを描いた作品の醍醐味は、やはり記者が足で情報を稼いで、点と点をつないで真実にたどり着くというプロセスにあるのではないか。
その点、このドキュメンタリーの主人公、望月氏はアクティブに全国を駆け巡り、自らの力で情報を稼いでくる。現場で見て、聞いた実態を官房長官に質問という形でぶつけているのだ。劇映画の方もそういう姿をもっと描いてほしかった。
本作は、そんな望月記者の官邸との戦いと平行して、記者クラブの壁と戦う森監督の姿も映し出す。望月氏は官房長官の壁に阻まれるが、森監督はその手前の記者クラブの壁に阻まれる。こういう二重構造をしっかり見せるのは上手い。単なる政権批判にとどまらず、メディアの構造問題も見事に浮き彫りにしている。
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