「此の親にして此の子あり! 前2作と比べると、マイクのMADさが控えめで寂しい…。」エンド・オブ・ステイツ たなかなかなかさんの映画レビュー(感想・評価)
此の親にして此の子あり! 前2作と比べると、マイクのMADさが控えめで寂しい…。
最狂のシークレットサービス、マイク・バニングがアメリカ合衆国を脅かすテロリストと戦うポリティカル・アクション映画、『エンド・オブ』シリーズの第3作。
度重なる激戦で心身共に限界を迎えていたマイク。
己の進退に悩む中、またしても大統領共々テロに巻き込まれてしまう。
さらにその上、あろうことかテロリストの一味としてFBIに拘束されてしまう…。
○キャスト
マイク・バニング…ジェラルド・バトラー(兼製作)。
アラン・トランブル(ついに大統領に就任!)…モーガン・フリーマン。
『ワイルド・スピード』シリーズ並に順番が分かりづらいこのシリーズも3作目。
ちなみに原題は『Angel Has Fallen』。
Angel=守護天使って事の様なんだけど、ジェラルド・バトラーの顔はどう見ても天使感ゼロ。天使というよりバーサーカー。
『1』はホワイトハウス、『2』はロンドン。
閉鎖された環境でのマイク・バニングの孤軍奮闘こそが『エンド・オブ』シリーズの面白さだったが、この『3』では趣きが一気に変わり、マイクの逃走劇が主となっている。
マンネリ化を防ごうとしたのかも知れないが、サスペンス・アクション映画としてはありがちな逃走劇という展開を、『エンド・オブ』シリーズで観たくはなかった。
やはりマイク・バニングには、ナイフ一本でテロリストどもをぶっ殺しまくって貰いたい。
過去作の様に、テロリストが任務を遂行する時のプロっぽさが薄かったのも本作の不満点の一つ。
テロの描写がドローンで爆撃するだけというのは、如何にも面白味に欠ける。
冷酷なテロリストの恐ろしさを描写してこそ、マイクの凶暴さも輝きを増すというものなのだが…。
そのマイクの凶暴性も、本作ではかなり控えめ。
心身共に弱っているという設定のせいか、これまでの様にテロリストを拷問したりジョークを言いながらナイフをブッ刺したりはしない。
このマイクのMADさこそが、『エンド・オブ』シリーズの一番ユニークなところであり面白さだったのに、それを捨ててどうすんのよ?
マイクの代わりに狂人っぷりを発揮するのは、マイクの父親・クレイ。
ほぼホームレスな孤独爺さんのクレイだが、内に秘めた狂気性はマイクを凌ぐ。
あの爆薬の量は、普通に内乱罪とかで捕まりそう。
クレイ爺さんのテロリスト爆殺シーンや、人をぶっ殺してからの義理の娘と孫に対しての自己紹介の件はめちゃくちゃ笑った🤣
クレイ爺さんはほとんどお助けキャラみたいな扱いで、話の本筋には絡んでこなかったが、もっとこの人をフィーチャーしていれば映画の面白さも増していただろうに。
総評としては、「普通のアクション映画になっちまったなぁ」と言った感じ。
『エンド・オブ』シリーズ特有の何かが一切無かった。
そこそこ楽しめはするのだが、だからと言って絶対観るべき映画かと言われると…。
つまらなくはないけどねぇ。
…モーガン・フリーマンとプーチン大統領が仲良く並んでいる映像が見られるという意味では、一応観る価値はあるかも。
大喜利の様になってきたシリーズの邦題。
次回は『エンド・オブ・ウェスト』。最終回は『エンド・オブ・ワールド』。これで行きましょう!
※アラン・トランブルの声が坂口芳貞さんじゃなくなっていた…。もうこの頃には病気療養中だったのですね😢
R.I.P💐