劇場公開日 2020年4月10日

  • 予告編を見る

ワンダーウォール 劇場版のレビュー・感想・評価

全23件中、21~23件目を表示

3.5力のない正義は無力。正義のない力は圧力。

2020年7月12日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

築105年の京宮大学近衛寮。言わずと知れた京都大学吉田寮がモデル。変人の巣窟とよばれ、敬語禁止、ジェンダーフリーのトイレ、全員一致が原則の会議、など学生自治によって運営されている。端的にいえば、馬鹿な学生ばかりなら犯罪の温床になるだろう。しかしそこは、かれらこそ本邦における頭脳の雄山、憂慮は無用だ。むしろ、安寧と堕落にむさぼる快楽こそが彼らの敵。その危惧は、存続交渉の彼らの態度に現れている。かつての学生もこんなヤワだったのか?ってくらいグダグダだ。たぶん、先日、映画で観た三島と討論を交わした学生たちを覚えているからであろう。退寮要求に無関心な学生もそりゃいるだろう。だけど、せめて何人かは一本気な強弁者はいなかったのかと歯がゆい。戦略の見えない抗議に苛立つ。厭だ厭だと駄々を捏ねてばかりじゃなくて、せめて建築関係や自然環境や心理学等々の学友を巻き込んで代案を出せないのかとジリジリした。裏返せば、すでにもう無理だと諦めていたのだ彼らは。利益を求める大学の進める方針に抗うつもりがないのだ。堅苦しい大人たちと隣り合わせに生きている、自由を謳歌する若者たちに過ぎなかったのだ。

鑑賞後、人間の幸福にとって必要な何かって何なんだ?って漠然としながら、久々に渋谷の宮下公園の横までやって来た時、変わり果てた宮下公園の現状を目の当たりにして驚いた。数階建ての商業ビルとなり果てた姿を見て、これじゃない、と思った。屋上に緑地があるが、そうじゃない、と思った。宮下公園は、木陰で一息出来て、側には空き缶拾いのオッチャンが座り込んでいて、気が休まるんだけどそれでいて夜はうら寂しい、そんな渋谷の異空間でなきゃだめなんだよなあ、って。ああここにも経済至上主義の波が、と思いながら、それは僕個人の勝手なノスタリズムであることも自覚した。そうか、近衛寮もこれを求めていながら、世の趨勢に逆らうことの愚を悟ったのか、彼らは。

コメントする (0件)
共感した! 2件)
栗太郎

4.5ノスタルジックな魅力満載

2020年6月28日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

泣ける

幸せ

萌える

見たい映画が見つからないので鑑賞。
来週からは邦画も新作がどんどん公開です。忙しくなります。

映画はNHKで放送されたドラマと聞いていたのでそれほど期待していませんでした。60分ですし。
京都大学の吉田寮はテレビで紹介されていた物をみたことがある程度。

スタートから、昭和のノスタルジックな建物と、キャラのある学生たちに魅了されました。
私も、学生の時は学生寮に入っていたので、懐かしい(T_T)

思えば大人になったもの。
冒頭は甘々の学生よりも大学側に共感。
あるセリフから逆の考えに。とても熱いものを感じた。演奏シーンではなぜか涙が。

映像も音楽も演技も味があって良かった。

コメントする (0件)
共感した! 4件)
だるまん

3.5もどかしくて切なくて大好きだ

2020年6月18日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

京都大学の吉田寮をモデルにしたという京宮大学の学生寮・近衛寮のお話し。100年以上の歴史を持つこの寮に老朽化による建て替えの話が出て久しい。

建て替えを希望する大学側と現在の建物を残したい寮側の意見は平行線をたどる。学生課の受付にできたガラス張りの壁。寮生たちの思いを拒絶する壁だった。

言葉にするのは難しいが、そして現実的ではないかも知れないが、『失うべきではないもの』がある。そんなことを思い出させてくれる愛おしい作品。何かもどかしくて切なくなった。

大好きだ。

コメントする (0件)
共感した! 5件)
エロくそチキン