Redのレビュー・感想・評価
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身勝手で浅い
原作は知らない。最初に監督の名前のクレジットがローマ字で表示され三島由紀夫(yukio)と思って見てたら、最後三島有紀子(yukiko)だった。勘違い。どおりで内容が薄く、中途半端と納得。
今の生活に本心で満足していないとしても、相手がこの先どうなるかわからない中、子供捨ててまで出ていく主人公の考え方には共感できず。
最初から合わない相手とは結婚するな、したなら覚悟が必要。たとえ結婚後にいろんな意味で合わないことがわかっても、DVでもないし、火遊びで納めるか、子供が成人してからにしないと子供が可哀想すぎ。
濡れ場も女性監督だからか情緒的に表現しようとしたのかもしれないが中途半端で長い。
救いは相手が結婚後に出会ったのではなく、結婚前に好きで体を重ねた人ということくらい。でも10年もたったら気持ち変わるでしょう。
なにか重厚な作品と期待していたものの、殊更映画にするまでもない内容でした。
日本人の色彩感覚と、女と男の物語のコラージュ
作中に出てくる本は、谷崎潤一郎の「陰翳礼讃」だ。
それは、関東大震災の後、谷崎潤一郎が移り住んだ関西(確か、神戸だったかな?間違ってたらすみません)の家で、日本人の美意識について考察するようになり、西洋の合理的で、夜でもすごく明るい室内ではなく、もっと蝋燭や行燈のような炎の明るさと、その作り出す陰翳に美的感覚を見出そうとしたり、伝統工芸など他の様々な日本の芸術的な感性や色彩感覚にまで言及したエッセイのような作品だ。
僕は、ボロボロになるまで持ち運んで読んだこの文庫本が宝物だ。
ちょっと話は変わるが、その後しばらくして、谷崎潤一郎は、あの名作(まあ、僕が大好きなだけなのですが)「細雪」を執筆する。いとはん、とか、こいさん、とか船場言葉で呼び合うやつだ。
僕は、陰翳礼賛がなければ、細雪はなかったのではないかとさえ思うのです。
戻ります。
それで、この映画では当初、建築関係の仕事に従事しているという物語の流れで、この本がエッセンスとして使われたのかなと思っていた。
しかし、この映画は、実は古来から日本人に根差す色彩感覚を男女の物語とともに紡いでいることに気付く。
日本人の色彩感覚は、四つの色、「暗(くろ)い」、「碧(あお)い」、「白い」、「朱(あか)い」から構成されていたとされている。
夜の闇、夜が明けかけて少し青みがかった空、白い太陽の日差し、そして、朝夕焼けの色だ。
碧は緑も含み、朱は黄色もカバレッジしている。
水墨画のような白黒の雪国の世界。
僕は東北の出身だが、白い雪は何故か、黒以外の色を呑み込んでしまう。
山中の中で暖かい灯りを燈すドライブイン。
雪国の夜のドライブインの灯は、揺らめく行燈の明かりのようだ。
目の見えないドライブインの父親は何を示しているのか。
ボルボは紺。
塔子は要所で青いものを身につけていたようにも思う。
洋服もブラも。
鞍田と塔子は古いボルボで走り続ける。
昼も夜も、水墨画のような世界の中も、宵闇の中も、移ろう色の中をボルボで走り続ける。
そして、朝焼けを浴びて、生きましょうと…言うが…。
生きるとは、愛すること。
この映画のフライヤーにあるキャッチだ。
生きることは、愛すること。
鞍田が吐血した時、Redは血の色かと思った。
しかし、朝焼けに照らされる二人を見て、Redはこの日本人に根差した色なのだと。
生きようとする色なのだと思った。
そして、愛することは、情熱的な赤でもあった。
本当に苦しいほど人を愛さないと、生きてるという感覚を感じとることはできないのか。
物語全編に亘って、様々な場面で夏帆さんの演技が冴えてたと思う。
僕は、ちょっと示唆的で、現実感から少し距離を置いたような構成が気に入りました。
色彩とのコラージュなんて勝手な僕の想像です。
陰鬱礼賛と合わせてプラス0.5です。
昭和世代にウケる作品かな
不倫をテーマにした映画です。今の社会では倫理感が強いのでおそらく不倫に対して肯定的な意見を持つ方は特に若い方を中心として少ないのではと思われます。基本的に昭和世代にウケる作品だと感じました。私は結構好きなほうです。しかし夏帆はこういう幸薄い役柄多いよね。観客は女性が結構多かったです。むしろ女性向けの映画なのかもしれない。
【一人の女性の虚実の人生を”結婚の意味”を絡めて、故ジェフ・バックリーの美しくも哀しい”ハレルヤ”の歌声に乗せて描き出した作品。観る側に”夫婦の絆とは何か”という問いかけをしてくる作品でもある。】
ー 序盤、塔子(夏帆)が雪舞う中、電話ボックスから電話をしている。口が動くが声は聞こえない。男が中で待つ車が近くに停車している。ー
・そして、車に戻りカーステレオから”ハレルヤ”が流れる。消そうとする男を塔子は制する・・。
”あ、この映画 バッドエンドではないか・・”とふと思う。
・序盤、塔子と夫、シンちゃん(間宮祥太朗:こんな役も受けるようになったのかと感慨深い。)との関係性が描かれる。
シンちゃん、塔子に対し、NGワード、行動連発でイラっと来るが、本人に自覚がないのが、如何に甘やかされて育ってきたのかが良く分かる。
が、三島監督にしては、類型的な描き方をしてしまっているな・・、と思いながら鑑賞。
・そこに現れる、且つての恋人蔵田(妻夫木聡)。
・表面上は可愛い娘もおり、幸せそうに見える塔子だが、作り笑いの毎日。
薬指に嵌めた指輪はサイズが合っていない。(ように見える。頻繁に指輪が映し出される・・。)
・夫に相談し、蔵田の務める設計会社に勤務することになり、蔵田との関係も程なく再開し、のめり込んで行く塔子。
蔵田は数年前に”血液の癌”にかかり、妻とも離縁し必用最小限のモノとともにコンクリート打ちっぱなしのヒンヤリとした質感の部屋に住んでいる。
(モノの中には、ジェフ・バックリーの”GRACE”や谷崎純一郎の”陰翳礼賛”(初版本か?)が含まれている。)
・蔵田が担当していた、新潟の酒屋の蔵のリフォームを蔵田の体調悪化により、任され、塔子に想いを寄せる小鷹(柄本佑)と訪れるが大雪に閉ざされてしまう二人。
・電話で、話す塔子とシンちゃん・・。
そこに、唐突に表れる蔵田。呆然と見つめる塔子。
そして、冒頭のシーンが詳細に再現される・・。
・劇中、時折登場人物が呟く、寸鉄人を刺す台詞が印象的である。
・塔子の母(余 貴美子)は、シンちゃんの実家での塔子の娘の誕生パーティーに呼ばれるが、シンちゃんの両親の言葉の数々に嫌気がさし、退席する。
彼女の塔子に向けた台詞が鋭い。”あんた、心から人を好きになったことがないでしょ。”
小鷹の塔子に向けた台詞。”塔子さん、いつも一人で生きている雰囲気だもの・・。”
・彼らの言葉が後押ししたのか、塔子はある決意をする・・。
<しかし、矢張り親であるのならば、娘が泣きながら呼んでいるのに背を向けて、一人歩き去る姿は許されないのではないか?
塔子自身にも、責任はある筈だし、そのために子供が犠牲になるのは居たたまれないなとも思ってしまった作品。
多分、このラストの塔子の選択は観る人の現実生活の状況により、解釈が分かれるのではないかと思った。
映画全体の醸し出す負の雰囲気は嫌いではないし、新潟の峠の茶屋を営む夫婦(片岡礼子 酒向芳)の姿と塔子とシンちゃんの姿の対比なども効果的だと思う。
観る側に”夫婦の絆とは何か”という問いかけを「幼な子われらに生まれ」に続いて問うてくる、三島監督の姿勢の揺らぎ無さも良いと思った作品である。>
<2020年2月21日 劇場にて鑑賞>
ラブロマンス?
自分を好きな人ではなく
自分が好きな人を選ばないと
表面上の幸せだけでは満足できないという事ですね。
夏帆ちゃんのエロい演技は良かったと思います。その時の表情はステキでした。
内容は賛否両論ありそうな作品です。
禁断と謳ってる時点で寒い
初日鑑賞。すごい観客が少ない。
まず、不倫や愛憎劇の描き方が古い。小説の文体がどうとか監督が言ってるのをパンフレットで見たが、イラッとするくらい自分に酔ってる感じがする。
森田芳光「失楽園」は渡辺淳一の愛の物語を、映画的なアプローチで「浮雲」のように人間哲学にまで落とし込んだ傑作だが、この映画は悪い意味で、原作の世界観を自分の大好きな映像で映像化しましたってだけの映画にしか思えなかった。
理由は一つ、パンフレットにあるように監督三島有紀子自体のものの考え方が非常に古いのと、概念がパワハラじみている。小説が大好きなのはわかるが、映画に落とし込むのに、自分があるようでなさ過ぎる。蜷川実花にも言えることだけど、映像全般(ルック)に自分の美学が行きすぎていて、肝腎要の映画を観に来ている我々が「?」とならざる得ない。
SEX描写は、昨今激しいのがあり過ぎて、美術的には美しく見えたけど、少ししつこい。火口のふたり はひつこいとは感じなかったから、この人の場合、やりたいからやってんだろう。
台詞での説明がないのが好感を持てたくらい。でも演出が劇的過ぎて結局±0になっちゃう。
この人は「幸せのパン」なんだと思った。
原作未読。ありふれた話だった
ドロドロして無いだけで、今は無き不倫物昼ドラを観てる感じだった。何か凄い事起きそうで、大した事起こらない。ただ痛々しい不倫してるだけ...ありきたりな話。
主要男女の顔つきが元々幸薄そうゆえに、最初から最後まで幸せ感がずっと感じられず、幾度もある黙り込みシーンでは痛々しさが倍増。
子供はあまり可愛く無く、セリフ回しは大根過ぎ。何故この子?と。
柄本起用も何か空振りで役に合って無い。
マザコン夫役だけは、何かピタッと合ってたかな。
長めなだけで陳腐なベッドシーンにもあくび連続だった。
ストーリー展開は、いったりきたりでダラダラな展開から、結局相手の死って。不倫はロクな事ないよ、な、教訓お説教話ってか?実に古臭く薄っぺら。
何だろ?全く自分の腹に入らない、薄っぺらでつまらない映画だった。
物語より役者で語る映画
とにかく主演の夏帆の演技が圧巻。大きな目の奥から滲み出る、そこに生きる女性の機微がビンビン伝わってくる。
あまり多くを説明しないストーリーと、多くを語らない登場人物たちが織りなす人生の揺れ動きを丁寧に描いている。
妻夫木聡の佇まいだけで哀愁を漂わせる無言の演技にも惹きつけられる。
そのふたりの名優の芝居を観るだけでも価値のある映画だと思う。
試写会で監督とプロデューサーのトークも聴くことができたが、自分で書いた脚本の大事なシーンも役者の表情だけで想像させることができるとカットしたそうだ。
それほどまでに俳優たちを信じその存在だけでメッセージを伝えることに挑戦した作品。
誰にとってもいい人なんて存在しない。自分にとっての普通が、誰かには優しさになり、他の誰かには冷たさになることもある。
三者三様の善と悪を抱えた男の間で、自分の愛し方と生き方を悩み貫いた女性、それぞれに共感し、人それぞれの価値観の違いを自分に置き換えて見つめ直すことができる。
そして、これでもかとまでに上映時間を(おそらく撮影時間も)かけたベッドシーンと、その変化は見どころ。(ヘタなAVより興奮する笑)
幸せとは。自分の生き方とは。
原作未読。それぞれのキャラクターがハッキリしていて、ピッタリすぎる配役驚き。
滴、波、ラジオ、暴風、クラシック、カッター、ハンバーグなど音の印象が残る。水平線、大きな窓。布、トンネルの光、夕日の赤。
鑑賞中から観たあともずっと心臓をぎゅっとつかまれてゆさぶられてる感じ。
幸せとは、自分とは、考えさせられる。
男性陣の誰に惹かれるか
自分だったらどんな生き方を選ぶか
観た人と色んな論議ができる作品。
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