劇場公開日 2020年2月21日

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「物語より役者で語る映画」Red 映画野郎officialさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0物語より役者で語る映画

2020年2月18日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:試写会

興奮

とにかく主演の夏帆の演技が圧巻。大きな目の奥から滲み出る、そこに生きる女性の機微がビンビン伝わってくる。
あまり多くを説明しないストーリーと、多くを語らない登場人物たちが織りなす人生の揺れ動きを丁寧に描いている。

妻夫木聡の佇まいだけで哀愁を漂わせる無言の演技にも惹きつけられる。
そのふたりの名優の芝居を観るだけでも価値のある映画だと思う。

試写会で監督とプロデューサーのトークも聴くことができたが、自分で書いた脚本の大事なシーンも役者の表情だけで想像させることができるとカットしたそうだ。
それほどまでに俳優たちを信じその存在だけでメッセージを伝えることに挑戦した作品。

誰にとってもいい人なんて存在しない。自分にとっての普通が、誰かには優しさになり、他の誰かには冷たさになることもある。
三者三様の善と悪を抱えた男の間で、自分の愛し方と生き方を悩み貫いた女性、それぞれに共感し、人それぞれの価値観の違いを自分に置き換えて見つめ直すことができる。

そして、これでもかとまでに上映時間を(おそらく撮影時間も)かけたベッドシーンと、その変化は見どころ。(ヘタなAVより興奮する笑)

もの語りたがり屋