「こういう柄本佑が見たかった」Red asicaさんの映画レビュー(感想・評価)
こういう柄本佑が見たかった
柄本佑がいい。
二人の間を一歩引いて見てる感じとか。
「火口の二人」よりずっと色っぽい。
あらすじ紹介にある「なんの不自由もない暮らし」って。
まさか。
大きな家があれば不自由ないって言う?
しかもDVなんかより、あからさまなマザコンより
ずっとずっと始末に悪い。
でも言わない妻も妻。
聞き分けのいいふり、大人のふり
いいなりで暮らしている日常。
本音は何も言わず、望まれるままに摩擦を避ける事だけに終始する日々。
だとするなら妻もまた夫に対して非道。
何が不満なのか想像する事が出来ない夫にとって、妻の行動はまったく寝耳に水だったろう。
母親の育て方が間違っているわけだが
だからと言って、物語に登場しがちな紋切り型の最悪な人格の馬鹿親ってわけでもない。
この映画の最も違和感の出るポイントは幼い娘と塔子の関係。
そこには姑との同居で子育てするのとワンオペでするのとでは手間の掛かり方が違う以上に、自分の責任範囲が分割されるという状況が影響してくる。
いくら夫が神経数本抜けてようが、無遠慮で横暴で身勝手でそれを無自覚である点を含めても
ママ帰ろうと泣く娘の手を離す、この場面に対する違和感は(たとえこの子役が子役感満載だとしても)男女ともに拭い難い。
それは
夫が言う 押し付けがましい母親の役目 への反動、、、
それだけではない。
「ママと暮らそう」
そう言えないのは自分の罪深さを自覚しているから。
そしてそこには、同居の義母との子育てが少なからず影響する。
自分がいなければ死んでしまうだろう状況で育ててない子育てなのだ。
女も全員が男への恋慕に勝る母性を持っているわけではない。
保険金のために我が息子の頭を押さえて海に沈めた女が昔、佐賀にいた。
最後に助けを求める相手は母親でしかない少年はその命を母親に奪われた。お金と引き換えの、それも男に狂った母の手で。
そんな狂気はない塔子の行動は、塔子の側からの描写では視聴者の同情も引き、母もまた女であり人間である事を感じさせるけれど、
実は幼い娘に残す傷は思うより深い。
asicaさん、コメントありがとうございます。
見てからしばらく経つと、色彩の印象しか残っていません…
今日『愛のコリーダ』を見てきたのですが、凄かったですわ。