「10年の残酷」ゾンビランド ダブルタップ 津次郎さんの映画レビュー(感想・評価)
10年の残酷
10年。前作から俳優としての位置が動いている。
ハレルソンは安定の個性派。エマストーンはトップ女優に格上がり。
アイゼンバーグのギークはやや飽きがある。オタクっぽさが常套な役回りになってしまったゆえの飽和を感じた。
ブレスリンはさいきん見なかったが、肉を帯びて普通が増している。オーラはないが素朴な感じは好ましい。
そこへ人気者のドゥイッチが投入されている。
超軽い。全身ピンク。だらしない英語。スーパーなバカっぽさ。淫乱。いい。
タラハシーいわく「脳みそがないからゾンビも食わねえんだ」。
ドゥイッチは全米の人気アイコンである。いわば華。
すなわち、この映画の残酷度は、ゾンビの殺戮にあるのではなく、10年経って微妙に後退したり進展したりした、俳優の人気度が見られること──にある。
リヴィングデッドから50年有余、ロメロが亡くなって3年。
ゾンビ映画は襲われるホラーな位相から、いつしか、やっつける楽しさに変換したと思う。本作も楽しさを担っているのは、殺戮そのもの。死んでいる前提をもっているものを殺しまくる爽快感がアクションを担っていた。
ジョークも決まる。これがスベってると言うなら日本映画は全編大滑走である。考え抜かれた台詞と間合い。状況ジョークだと思っていたくだりが伏線になる、みごとな顛末。楽しかった。
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