「霊感商法と信仰宗教についての本質がここにある気がします」虚空門 GATE マエダさんの映画レビュー(感想・評価)
霊感商法と信仰宗教についての本質がここにある気がします
そこに集まるのは、国籍も学歴も職種も関係なく、
純粋に世界の神秘を追い求める者たちの集いである。
彼らの目は真剣そのものである。
その中心には、自分には特殊な能力を持っていると
豪語する人物がいる。
彼は断言する、軽々しく平然と、それはある、と。
自分は特別な経験をした、と。
その言葉は、強靭である。
科学と論理と情報とビジネスが支配する現代社会において、その言葉と態度は、どんな証拠よりも、信じるに値する凶器なのである。
人々はそれにすがりたがる。
集団の中心に坐るカリスマは、人々にそれっぽいなにかを感じさせるような錯覚に陥らせて、至極曖昧な現象を我が物にする。
この手法は、古今東西関わらず、人類が誕生してから現在に至るまで、なんら変化していないのかもしれない。
上記が僕が本作から掴みとった感覚である。
ただ、本作はオカルトを扱った怪作のフリして、中盤からは見応えのある人間ドラマだ。
登場人物について、後半落胆する事実が発覚する訳だが、この人らはもうその道に人生捧げて生きてきたわけだ、死ぬまで現代のリアリスト達と闘い続けるほかないだろう。
肩身は狭そうだが、居心地は悪くなさそうだ。
いやむしろ、淡白な生活と消費活動にあくせくしてしまっている現代人より、よっぽど充実しているように思える。
ドキュメンタリーの本質ここにあり。
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