「小ネタ」シティーハンター THE MOVIE 史上最香のミッション U-3153さんの映画レビュー(感想・評価)
小ネタ
若干チープさが漂うも、フランス映画の新たな側面を観た感じで新鮮だった。
一応「映画」という形態ではあるものの、日本で言うところのB級深夜ドラマっぽい仕上がりに見える。アメリカのホームドラマのようなノリというか、明るさがあった。
そして、下ネタの多さに驚く。
隙があったらぶっこんでくる。ぷっと吹き出すものもあれば、国民性の違いから失笑するものまで。お色気パートも健在だ。
最初の方のアクションも大味な印象は拭えず、こおいう料理に仕上がったのかと、素材からの変遷を憂う。
ところがだ。
最後まで観るとその印象は変わった。
見せ所を心得ているというか、原作のテイストをよく理解しているというか…紛れもなく「シティハンター」なのだ。
下ネタを含む小ネタのオンパレードからの、唐突に始まるお色気シーン。
ほぼほぼ本筋とは関係ないところで際限なく盛り上がるおちゃらけシーン。
一体話しはいつ進むのかと、読み進める読者を不安にさせるほどの広がりだ。
だが、ところがだ、
一度、撃鉄が上がる音が聞こえたなら、
一度、空気を切り裂く銃弾の風切音を感じたなら…物語はガラッとその様相を変える。
盛大な落差に戸惑いつつも「スイーパー・冴羽獠」から目が離せない。
その落差が、いわゆるラス殺陣だった。
それまで大味だったアクションは、この落差の為か!?窮地に陥った冴羽獠の本気を見せつけられる。
カオリとのラブロマンスもしっかり挿入され、カオリの慟哭も獠の哀しげな笑顔も、原作のテイストに溢れてる。
ラストのストップモーションは、連載時のトメのコマのようだ。
そしてあやふやな記憶が蘇ってくる。
高低も緩急も自在に演じ分ける名優・神谷明の声が蘇ってくる。
ああ、そうだ。僕らが読んでたシティハンターはこんな感じだった、と。
茶目っ気たっぷりの下ネタに失笑し、見目麗しい女性の色香にドキッとし、スイッチが入った獠の視線にゾクッとし、切れ味鋭いコマ割りとそのアングルにゾクッとしてた。
この作品にはそのDNAが継承されてた。
パラレルワールド的な「シティハンター」をご堪能あれ、って感じだった。