スケアリーストーリーズ 怖い本のレビュー・感想・評価
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見やすいホラー
ホラーが苦手な人でもわりと見やすいホラー映画だったように思えた。
高校生の子供達が中心となって呪われた本と戦う事もあってかわりと見やすく、ストーリーも理解しやすく世界観に入りやすかった。日本の作品で例えると昔アニメでやっていた学校の怪談みたいな印象を受けた。
化物たちは海外特有の気持ち悪さはあるが、一応主人公側のメンバーは殺される事なく消し去るという形で呪われてしまった為、グロテスクな描写もなくその点も見やすい。
ストーリーとしては過去に人間に、そして世の中に恨みを持って他界した女性の呪怨がこもったノートが現代に蘇り、そのノートに書き込まれたストーリーが事実となり、そのストーリーに書かれた人物が消えてしまうというお話。
ただノートに書かれたストーリーをなんとか防ぐこともできた物もあったので絶対的なものではないらしい。
上にも書いた通り主人公側のメンバーがノートに名前を書かれた事によって世の中から消されてしまった。
しかし殺された描写もなければ、死体として見つかってもいない。
最後主人公のゾーイが消えた友達を諦める事なく見つけ出すという覚悟を決めたシーンで終わる為、続編は期待できそうだ。
時代背景も1970年前くらいと古い設定にしてあるのもそのためか。
冒頭でも書いた通りこの作品はホラーが苦手な人でもとても見やすく楽しめる作品に思える。逆にホラーが好きな人にとっては物足りなさを感じてしまうようにも思える。
手軽にホラー作品が見たい方にはとてもオススメだ。
"The Hearse Song" と "Scary Stories" どちらが子供達は怖がるかしら?
Stories heal............ Stories hurt.
if we repeat them often enough, they become real.
They make us who we are.
They have such power.
This I learned on the very last autumn of her childhood.
1968年のハロウィンの夜。映画「IT」にも登場した1980年代のBMXの父’スティングレイ’に乗って、幼馴染みのオーギーとチャックがステラと会う約束をする。いじめっ子のトミーをへこまそうと彼の愛車のマッスルカー ’Pontiac Catalina’ にしたことが彼の怒りをかい、逆に追われる羽目に。彼らが逃げ込んだ先は、午前中に町のシェリフに職質され、どこに行くのかと聞かれたときに ”Following the harvest.” なんて悪びれてうそぶいた何処から来たかもわからない青年レイモンの車に3人が逃げ込んだのはいいが....そのトミーの悪態ぶり!
You're not gonna try and run away like Mommy too, now,
are you, Stella?
レイモンのおかげでひとまずは、難を逃れたステラ達はレイモンに町はずれにある邸宅跡の廃墟に行くように誘う。その地下室で見つけたものが、裏表紙に書かれた ”The Book Belong To Sharah Bellows” と署名入りでステラ曰く、”It's her book of scary stories.” だという本。そんな曰く付きにしか見えない古いハードカバー製本された本であったが、彼女はその本を3人には内緒で1人家に持ち帰ってしまう。彼女が本のページをめくるとサラによって書かれた物語があり、その各物語にはページの頭に章を表す文字が...そしてページを振り返るとそこには、赤褐色のインクで書かれて、まだ書きたてのように濡れている ”Harold” の文字があった。何故かその話の中に載っている人の名前が、あのいじめっ子と同じトミー...えッ?
この映画のプロデューサーが、グリム童話の「カエルの王様」やディズニーが描く異類婚姻譚と一線を画す映画「シェイプ・オブ・ウォーター(2017)」でアカデミー賞4部門を受賞し、過去には、多くのアクション・着ぐるみ映画を製作してきたギレルモ・デル・トロ と’モルグ’という特殊な場所を詳細に調べ、あの何とも言えないリアル過ぎるほどリアルな解剖シーンを演出した怪奇映画「ジェーン・ドウの解剖」の監督アンドレ・ウーブレダル がガツツリと手を組んで制作した映画なんて期待しないほうがおかしいし、まして期待以上の映画作りが待っていると映画を見る前から想像してしまう自分がいる。
この映画のシナリオは、過去の次元のサラがいた時代では、廃墟であった邸宅が鮮やかな色彩あふれた場所として甦り、その地下にある小部屋に監禁され、同じべロウズの家族からサラが受けた惨い拷問とも呼べる地獄の世界をサラ自身が書き留め、その物語を壁を通して、外にいる子供たちに読み聞かせたという逸話から、今度は現代の次元に戻り、ステラを含めサラの地下室部屋に入った人間全員を主人公にした恐怖の物語がサラによって、また新しく書き綴られていき、それらすべてが間違いなく現実となる恐怖を描いている。ギレルモ・デル・トロが製作に加わているという事は、そこには必ず擬人化をはるかに超えた奇妙奇天烈な怪人・怪物が登場し、何も言わず、変な仕草をしながら、また動物的息遣いをしながら襲ってくる......さてサラと最近公開された”It”に出てくるルーザーズクラブのような男3人。どうする?
1968年アメリカ。アメリカの事を知らなくともこの映画を観る者には、直接関係はないが....アメリカとしては、今まであった社会常識や親子関係、この映画でもステラの母親が父と娘を捨てて出て行ってしまう経緯やアットホームなものばかりでなく、映画界ではシドニー・ポアチエがアカデミー賞を獲る映画に立て続けに出演をし、その反面、黒人の血が一滴でもあれば黒人とみなす法律ジム・クロウ法が撤廃されても青年レイモンのように職質されてしまうダブルスタンダードの存在。その他音楽やヒッピーを含め歌姫のジャニス・ジョプリンが公のトークショーなんぞにボヘミアンファッションに身を包み、半分泥酔状態で登場したり、その彼女がフェスティバル・エクスプレスという一大音楽ムーブメントの後、数か月後に夭折している。そして何と言ってもアポロ計画で月にでも行こうともしているアメリカ。その激流と呼ばれた時代の中でも一番の事が、この映画の冒頭からベトナム戦争と第37代大統領ニクソンが劇中のテレビニュース中継に度々登場し、戦争が、泥沼化する様子を暗に示している。アメリカの分岐的時代.....。余談、amazon.comのレビューでは一部の人が、この映画の事を左翼のプロパガンダ映画と揶揄する人もいたが....."フローティングペン"なんてのも....
この映画の元となったのが、色々なサイトで紹介されているように子供向けの本の作家として知られるアルバン・シュワルツが執筆した”怖いお話”シリーズの中の同名の子供向け物語とされている。付け加えるとするなら、映画に登場する怪物はその本の挿絵を日本製の墨で描いたステファン・ギャメルによるキャラをインスパイアともオマージュともされたものと推察できる。
ステラとレイモンとの出会いの場となったドライブインシアターで上映されていたのが、ゾンビ映画の金字塔「Night of the Living Dead(1968年アメリカ公開)」で、そしてラストのシーンは、どこかスタンリー・キューブリック監督の映画「シャイニング(1980)」の2つの次元の交差具合を思い出させる。そして、オルゴールから流れる曲 ”The Hearse Song” の曲の事を知れば、少しは、恐怖が増すか?
エンドロール・クレジットになると♪Hmm, hmm When I look out my windowで歌いだされる Lana Del Rey's による ” Season of the Witch” という気だるい曲が始まる。
.........この映画の幕が閉じる。
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