「北斎の伝記としては弱い」HOKUSAI すみれ7878さんの映画レビュー(感想・評価)
北斎の伝記としては弱い
この作品は北斎自身の芸術や生涯にあまり重きを置いていないように感じられた。では、どこに重きを置いているかと言えば、北斎を取り巻く社会状況、江戸時代の芸術の抑圧である。蔦屋もやられ、歌麿も捕縛され、柳亭に至っては殺される。そういう理不尽。その中で自分の絵を描き続ける北斎。そういう部分は個人的には芸術的な視点ではないと思う。社会に対する怒りや不満のようなものが重点的に描かれており、それは北斎の思いと重なっていたというのが制作側の主張だったのだろうか?私としては芸術家としての北斎の内面・感性を作品と共にもう少し見せてほしかった。
(追記)
この映画の中で最も良かったのは蔦屋だと思う。「世界に出て、見たこともないもんを見て、店をやって、自分の目が確かだと証明してやる」っていう彼のかなわぬ夢はとても清々しく、彼の生きざまそのものだと感じられた。「面白いものは、誰が見たって面白い!」。蔦屋さん、ほんとその通りだよ。天才絵師が世に認められて活躍するには、こういう才能の人も絶対に必要だね。
脚本家の無知と不勉強で妄想が暴走した映画でしたね。
ロクに調べもしていないのを棚に上げ「北斎の若い頃の資料が少ない」を言い訳に「絵から自分勝手に憶測したイメージのみで物語を作っている」から、人物の年齢や活躍した時代もぐちゃぐちゃです。
そもそも江戸幕府は「芸術を抑圧」したのではなくて、大飢饉時に「贅沢を戒めた」結果の「遊女・歌舞伎役者絵」の制限ですからねぇ。
これを観て「伝記・史実」と思ってしまう観客は多いと思います。
フィクションとは言え、人物の生きた年代や年齢を大幅にねじ曲げ架空の出来事ばかりで構成するのは問題があると感じました。
蔦屋は物凄く良かったですね!
すみれ7878さん ご感想の その部分が 本当に北斎が感じてたかは甚だ疑問に思う私です!北斎は純粋に絵を描く事に心を傾けていた芸術家だと思っていたので、この映画の描き方に大変違和感がありました!北斎の作品を見ても 映画に描かれるような反骨精神や風刺的な要素は見受けられず、北斎は好奇心と探究心と遊び心を持った絵師だと思います。