ジョジョ・ラビットのレビュー・感想・評価
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第2次世界大戦下の子供の視点からのナチスドイツ。 ナチスに心酔して...
少年の目を通して見るナチスの栄枯盛衰
『ライフ・イズ・ビューティフル』と『アンネの日記』をミックスしたようなお話なのに、テイストは『イングロリアス・バスターズ』に近い。全体を通して、タイカ・ワイティティの味付けが行き届き、極限状況や絶望をすごく薄めてある。そして、乾いた笑いや大人との関係性が、時に美しく、時に哀しく胸に響く。それは必ずしもリアリティだけが観衆の心に訴える手段ではない、という監督のこだわりに思える。
たとえばジョジョだけに語り掛けてくるヒトラーは実体として存在していながら実は少年の心の声を強調するためのスピーカーに過ぎない。ナチズムという運動体が少年の心にどのように届いているのかを表現するためのひとつの手段なのだ。監督自らがヒトラーに扮し、当時の子供たちがいかに戦争によって歪んだ価値観を植え付けられていたかを一瞬で説明できるうまいやり方だ。まるでピノキオにくっついてくるジミニー・クリケットだ。少年にとってはヒトラーは悩みをなんでも打ち明けられる親友で、最も遠い存在のはずが、すごく身近にいる。
そしてユダヤ人に抱いている誤解や偏見も、あくまでコメディのテイストで語り掛ける。ユダヤ人の少女に「どうして角が生えていないんだ?」と、大真面目で質問する少年を怒ったり呆れたりすることなく「まだ子供だから。20歳になったら生えてくる」なんて軽口で片付けてしまう。非常にデリケートな問題を、鮮やかな切り口で見せ、一つのファンタジーとして成立させてしまう手腕は見事だ。
その細部にわたるまで実に様々な味付けが行き渡っているのがわかる。少年のセリフはドイツなまりっぽく聞こえる英語を使うが、サム・ロックウェル演じる出世コースを外れてやさぐれている軍人はこてこてのヤンキー英語を喋っているように聞こえる。大けがを負ったジョジョの傷跡も、あえて痛々しさを出さないようひっかき傷程度にしか映してない。母親とのファンタジックなつながりや、家族構成も必要最小限にしか描いていない。それなのに、靴ひもを結んであげるシーンでは思わず涙が溢れてしまうほど残酷で哀しく美しい。
アカデミー賞にノミネートされたスカーレット・ヨハンソンの、これほど豊かな表情の母親ぶりもとても新鮮だった。それを引き出したのも、監督の功績の一つと言えるだろう。結末のあっけなさだけはもう少し何とかしてほしかったが、とてもよく出来た少年の成長物語を見ることができた。満足だ。
2020.1.27
劇場版優しい世界
盲目的にアドルフヒトラーを崇拝する10歳の少年ジョジョが自宅に隠れ住んでいたユダヤ人の少女エルサと出会い、少しずつ変化していく様子を描いた愛と勇気に満ちた感動作。
第92回アカデミー賞において脚色賞を受賞した今作は人類史上最悪の出来事を信じられないほどポップでカラフルに描きつつコミカルでシニカルな演出で表現された予想外な感動作だった。
中でもひときわ存在感を放っていたのがジョジョの母ロージーを演じたスカーレットヨハンソンだった。
かつての優しかったジョジョに戻ってほしいと切に願う母役として愛に溢れた演技を見せる一方、反ナチス運動を根気よく続けていく芯の強い女性像も見事に表現し、近作にあたる『マリッジストーリー 』と同様に彼女の一つのキャリアハイを堪能できる素晴らしい存在だった。
またジョジョの上官役のキャプテンKを演じたサムロックウェルも素晴らしい演技を披露していた。
戦前から退いた高慢な指導官の印象を最初は持っていたが、話が展開するにつれロージーに頭が上がらなかったり、実は優しい一面もあったりと人間味溢れる存在でジョジョの成長を不器用に見届ける人物を好演。
オスカーを受賞した『スリービルボード』のディクソン同様に彼の代表作と言える存在感だった。
また監督兼俳優としてアドルヒトラーを演じたタイカワイティティも独特の存在感だった。
常にコミカルにジョジョの良き友として居続けた一方、ジョジョの思想が次第に自らの思想と離れていくにつれ、顕著になっていく怒りの姿勢と命令口調の怒号で隠していた本物のヒトラーの素顔を垣間見せる演技が見事だった。
MCUデビュー以降引っ張りだこの彼が賞レースでも戦える作品を送り出してきたことも印象的だった。
長々と書いてしまったがトーマシンマッケンジーが最高に美人だからとにかく見てほしい笑。
あとヨーキーに友達になってもらいたい笑。
シリアステーマのコメディ
重い題材を扱っているのに明るい力をもらえる映画
熱狂的なナチ信者のジョジョは、母親が家に匿っているユダヤ人と関わっていく中で、それまでの自分の考え方やナチスに対して疑問を持つようになっていきます。
この作品では、ナチス支配下でのドイツ国民の心情や行動が伝わりやすくなっていました。重い題材扱っているにも関わらず、映画の印象が明るいのは、ジョジョの空想の友達のヒトラーや、所々の微笑ましいシーンなどの、親しみやすい演出が多かったからなのではないかと思います。
周りに流されず、自分の正しいと思ったことを信じる強さがジョジョにはあり、その姿に力をもらえます。個性豊かな登場人物たちが作品を彩り、様々なメッセージ性がありました。「何を信じるべきか」、現代の世界情勢にも繋がりのある内容で、まさに今見るべき映画だと感じました。
ショッキングなシーンが忘れられないかも
教育現場で使える名作
ラスト30分の急展開
それまでコミカル調だった雰囲気が一変。
徐々に見え隠れしていた不穏な雰囲気から「嘘でしょ!やめて! 」って言いたくなるシーンが急にくる。
それでも、悲壮感を極力排除して、冒頭からたくさん散りばめられた伏線を一気に回収されるので、確かにカタルシスを感じられる。映画.com公式の評価どおり!
いい映画。色んなエッセンスが詰まってる。
しかしスカヨハの魅力すごいな。
強い母のシーンはどうしても、ブラックウィドウが変装してるように見えちゃうけど。笑
そしてゲームオブスローンズで大変だったあの人は、なんかふくよかになってて、呑気?な感じで安心してしまった。
そしてドイツ語でなく英語なのが、なんか終始違和感。。あえて?
最後は大尉ー!って号泣。
誰もが自由にダンスできる世界がいいよね。
もしもの時には、自分の子供にもジョジョやエルサのように、たくましく希望を捨てずに、心に正直に生きていってほしい。
ほんとに愛おしい映画でした!
誰かの靴紐を結んであげる
ファンタジックでユーモアたっぷり。だけどこれは戦争の話で。不思議な感覚でした。重く悲しいというよりは考えさせられる。何について?どんなふうに?一度観ただけでは理解しきれずもう一度観ました。
まだ咀嚼し切れていない部分もありますが、これは幼い少年の気付きと自立を描いた成長物語でもあるのかなと思いました。
戦争万歳!ヒトラー万歳!敬愛するヒトラーとの妄想でのおしゃべりが好きで、立派な兵士になる事を夢見てやまないジョジョ。ユダヤ人には角が生えていると信じて疑わないジョジョ。
だけど、実際にユダヤ人少女と出会ったり、大切な人の突然の最期や、街の空襲を目の当たりにして、わかってきた事。幼い彼が自分の目で耳で心で、見て聴いて感じた事とは?
身も心も戦争に支配されていたジョジョが、自身の体験を通して、自分で考え判断できるようになった。母の語る愛もダンスも拒絶していた彼が、エルサへの愛を自覚し、二人で踊る姿は、何ものからも解放され自由に自分の足で歩んでいける事の喜びを表しているのだと思いました。
靴ひもを結んでやる温もり
ヨーロッパ征服を目指すナチスドイツにとって、ユダヤ人排斥・大ドイツ主義は国是であり、国家に洗脳された少年の憧れがヒトラー・ユーゲントなのもまた当然な時代に 10歳のジョジョが懸命にグループに馴染もうとする姿を、抵抗運動に身を潜める母親だって否定できないのは、あの戦争で軍国少年を見る隣組の呪縛に縛られた日本の母親と同じ悲劇だ。
その母親役のスカーレット・ヨハンソンの眼差しが哀れにも温かく印象的だ。銀幕露出度が多い中で、ヨハンソンのエポックメーキングと言えよう、彼女が息子の靴紐を結んでやる動作が、この映画のキーポイントである。
(中略)
少年の家に匿われていたアンネの日記的少女との関係がルネ・クレマンの「禁じられた遊び」に引けを取らない、エンディングの名場面に昇華される。
愛は最強
登場人物1人1人のキャラ立ち、ファッション、世界観、何を取っても素晴らしい。
11歳で主人公を演じたローマングリフィンディビスの演技には荒みきった社会で毎日を送る私の心を浄化してくれた。
サムロックウェル演じるクレンツェンドルフ大尉の男気、スカーレットヨハンソンの演技、そしてユダヤ人の少女を演じたトーマシンマッケンジーに私が心を射抜かれたのはなんら不思議ではない話だ。観ていただければ分かる。
【ナチス】というジョークでは済まされないテーマをメルヘンチックな皮で包み込む奥深く
油断ならない作品。
子供の純粋さを利用して巧妙に忍びよるプロパガンダの恐ろしさが、このメルヘンチックなドラマから痛いほど伝わってくる。
しかし観た後に何とも言えない心が温まる作品。
鑑賞は1人映画だったがエンドロール中に隣の知らない女性の手を握ろうとしてしまう衝動に駆られるぐらいだからこの映画の素晴らしさを分かっていただけるだろうか。愛は最強。
ハイルヒトラー!!
89点/100
できることをする
イマジナリー総統に励まされながら立派な兵士になることを夢見るジョジョ少年から見た戦争
あまり戦争映画ぽくなくて見やすい
子供部屋には贔屓のスポーツ選手のようにちょび髭のおじさんのポスターが飾られ、ユーゲントの訓練もサマーキャンプのよう、序盤はまるっきりジュブナイルの方法論で進む
でもそこかしこに暴力の気配は漂っていてラストのアメリカ軍侵攻のシーンに効いてくる
この映画が他の戦争映画とかなり違うのは単にコメディ色強めなだけじゃなくて戦争の悲惨さを表現する方法として人の悪意をコントラストに使っていないことだと思う(うさぎを殺すことを命令してくる指導役はどっちかと言うとスタンドバイミーとかの歳上いじめっ子枠だしゲシュタポが来るシーンもあっさり)負の側面を極力削ぎ落としているからこそ、どこにでもいる普通の人々が戦争という地獄のようなシステムに呑み込まれている悲しさがある
知人の祖父に戦争中捕虜だった体験を伺ったことがあり(場を設けたとかではなく何かのひょうしにちょっとした昔話なような感じ)
「隊の皆敗けると思ってたからな~すぐ降伏したわ、バターとか食わせてもらって行った時より太って帰ってきたわ」みたいなことを笑いを交えて話して頂いた顔が、「ボクたち間違ってたのかもな、もうナチスじゃいられない」と敗走しながら、それでもさして悲惨さもなくつぶやくヨーキーと驚くほど重なる
大河的超大作にはもしかすると出せないような手に触れられるようなリアリティを自分には感じられた
たくましい少年ジョジョ
※ウサギを殺せと追い詰められるシーンを見ていてもう、ウルウルきてしまう。
※少年とエルサ、少年と母親、少年とキャプテンK、少年とヨーキー、その関わりや、会話がなかなか良かった。
※こんな奇麗な母親欲しいなと思いました。羨ましい。しかし、まさか母親が死ぬストーリー。自分の母親が、いきなり街角で首つり処刑されて死体になって吊るされているなんて。悲しすぎました。
※ドイツの当時の様子がよくわかりました。
※ジョジョの成長していく様子や、恋に目覚めていく様子が微笑ましかった。胸に蝶がパタパタ面白い。
※キャプテンKはナチなのに、ユダヤ人をかばうし、ジョジョにお前の母さんはいい人だったと話して、軍服を脱がして逃がす。
最初にジョジョに怪我させたときにも母親に恨まれるとつぶやいていたけど、やっぱいい人だったんだ。男気。ドイツ人もナチに洗脳されたふりをしていた人もたくさんいたのかな。ドイツ人も完全に悪者にしないし、人間の奥深い部分を様々な部分で感じさせてくれる映画でした。
※最後に母親が話していたようにダンスする。良いラストシーンでした。
※戦争は本当に馬鹿げている。よくわかるいい映画です。
ジョジョ
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