「ドイツ版ポケットの中の戦争」ジョジョ・ラビット ジョイ☮ JOY86式。さんの映画レビュー(感想・評価)
ドイツ版ポケットの中の戦争
ガンダムファンなら誰もがこの作品を連想せずにはいられないだろう。
少年の視点から見た戦争…という展開はまさにこれだ。
しかしポケットの中の戦争と異なるのは、現実に起きている終戦間際のドイツ領内の地獄絵図とは違い。その大半が少年の妄想が入り混じった"ポップな戦争"が描かれている点だろう。そしてイマジナリーフレンドのヒトラーと少年の掛け合いを軸に、コミカルに描かれている点も非常に個性的だ。
少年の目線を貫いているからこそ、現実のナチズムの残虐性はほどほどに、ポップで明るくストーリーは進んでいき、クライマックスまでスムーズに見ることができる。
この点は戦争を題材とした作品として賛否われるところであろうが、私は評価したいと思う。これは戦争を軽視しているわけではなく、あくまでもあの時代に熱狂した当時のドイツ少年に向き合っての演出だったのではないかと思う。
戦争を悲劇として扱うのは簡単だが、そうではない別の切り口で戦時下の日常を描いたことにこそ、本作の真の価値がある。
…などと小煩い事をグダグダ語ったが。
ようはエンタメ作品をとしても戦争映画としても非常にバランスの取れた作品なのだ。
単純に一本の映画として非常に面白く、それでいて見終わった後にしっかり余韻に浸れる。
これで十分だと思う。良作だ。
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