「「コメディは観客を寛大にしメッセージを伝えやすくする」」ジョジョ・ラビット いのゆうさんの映画レビュー(感想・評価)
「コメディは観客を寛大にしメッセージを伝えやすくする」
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時は第二次世界大戦下、主人公のジョジョは、ドイツで立派な兵士を志す10歳の少年。彼には空想上のアドルフという友達いるのだが、彼のアドバイスに振り回される日々を送っている。そんなある日、母親と2人暮らしの自宅に、誰かがいる気配を感じたジョジョ。おそるおそる覗いてみると、そこにはユダヤ人の少女・エルサが匿われていた。エルサとの出会いは、ジョジョの人生を少しずつだが、確実に変えていく。やがて戦争は深刻化していき、ジョジョは大きな別れを経験することとなり、、、。
本作は監督、演者の魅力に溢れる一作、これに尽きる。第二次世界大戦下のドイツという悲惨な歴史を、魅力的なキャスト、そして品のあるジョークで包み込むことで、誰もに愛される作品となっている。作品中には笑いもあり、感動もきちんとある。個人的には後半、連合国軍に侵攻され、突如市街地が戦場と化し、ジョジョがその現場から必死で逃げる場面に、ひどく胸を打たれた。たった10歳の子どもに、こんなに悲惨な経験をさせてはいけない。子どもの可愛らしさと、戦争の悲惨さの対比が切なく、胸が苦しくなる場面だった。監督の一番のメッセージが、そこに込められているような気がした。
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