劇場公開日 2020年1月17日

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「何となく嫌なものを感じた」ジョジョ・ラビット 藤崎修次さんの映画レビュー(感想・評価)

3.0何となく嫌なものを感じた

2020年2月4日
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あくまでもコメディーだと理解したうえで観に行ったつもりだが、
これでもかというくらいのHeil Hitlerの連呼やハーケンクロイツが至るところに登場して
ナチス礼賛を前面に押し出してこられると、重い気分にならざるを得ない。
ネオナチの台頭や不寛容の時代と言われて久しいが、何故いま? という感じ。
平日の日中の鑑賞にもかかわらず、満席だったのは驚いたが、自分を含めて大半のお客さんは
「話題になっているようだから観てみよう」という軽い気持ちでの来場だろう。
がしかし、終演後に退席する際の足取りが、皆重たく感じたのは気のせいか?

物語自体はアンネフランクもどきのエルサと外面だけナチスかぶれの心優しいジョジョ少年との交流を
描いたもので、そこの部分の描き出しは良かったと思う。
とりわけ、届いてもいないエルサの彼氏の手紙を彼女の気持ちに寄り添う内容で創作して読み上げるジョジョ少年の姿などは
ベタだとは思いつつも、心温まる良いシーンだった。

また、ゲシュタポと共にユダヤ人狩りのために訪ねて来たクレンツェンドルフ大尉がエルサの正体に気付きつつも
見逃してくれたのも、暗いストーリーに救いを与えてくれた。

いずれにしろ、政治性の強い映画と見るか、単なるコメディーと見るか、ヒューマンドラマと捉えるか
受け手の感受性に委ねられた作品だと思う。

藤崎修次