「少年よ!その愛で、性善説を否定しろ!」ジョジョ・ラビット 野々原 ポコタさんの映画レビュー(感想・評価)
少年よ!その愛で、性善説を否定しろ!
国策による煽動、吹聴と
実際に見て、触れ合って、経験し感じたこととの
矛盾に揺れる少年のこころ模様を機微にとらえた傑作!
戦争をユーモラスに、滑稽に描くことで
戦争の無意味さ、馬鹿々しさに変換して
作品に込めたメッセージを際立たせていることに感激しました!
ヒトは、知らない他者に恐怖する。
だから、優位な立場をとろうとして高圧的に
ときに、非情なほどの暴力で抗おうとする。
無知である自分を肯定するためだけに…
盲目的に何かを信じることは、けして悪いこととは思わない。
それがヒトのちからになり得るのだから…
でも、一方で危ういちからにもなってしまう…
強要され偏った思想が、ヒトを盲目にさせるのだと思う。
世界で名の知れた著名人の多くが
ユダヤ系人種であることから
どれだけ聡明で優秀な人種であったか
今やわたしたちの知るところでしょう。
そのことに、恐怖心と劣等感にかられ
アドルフ・ヒトラーはユダヤ人を悪意をもって
弾圧、迫害したのかもしれない…
ユダヤ人に限らず、今の国が国として成り立っている
その背景には、かつて他民族との紛争の歴史があります。
その歴史の陰には、失なわれた民族と文化があります。
悲しいけど、これが現実なのです。
情報で溢れる今のこの世界で
今のわたしたちは、他国のことをどれだけ知っているのだろう…
当時のヒトは、他国のことをどれだけ知っていたのだろう…
自分が知らないことを棚にあげ、偏見と悪意に変えて
他人のことをみてしまってはいないだろうか?
戦争も差別も、要約すれば
他人を知ろうとしないことから始まっているのではないだろうか?
無知であることを恥じることはない。
だが、知ろうともせず無知であり続けることこそ
恥じるべきである。 …と、わたしは思うのです。
情報を選び取り、経験し、見分ける目を、
リテラシーを身に付けることが
今の世界で、わたしたちができる、最善のことだと
わたしは思います。そう願います。
あと、大人の子供との接し方の大切さも感じました。
〈子供のこころは白いキャンパス〉
大人がより良く導いて、
自分の手でちゃんと絵を描かせてあげたいですね。
今回、一際わたしの注目を惹いた俳優、
〈トム・ロックウェル〉さん!
同じ日に『リチャード・ジュエル』を先に観賞しましたが
本作の役が一段と増して、男前に見えた!
超絶カッコよす!!