劇場公開日 2022年5月13日

「ウルトラマンへの敬愛に溢れた作品」シン・ウルトラマン 悶さんの映画レビュー(感想・評価)

4.5ウルトラマンへの敬愛に溢れた作品

2022年5月21日
PCから投稿

【鑑賞のきっかけ】
昭和の時代には、「怪獣ブーム」と呼ばれる時期がありました。
1954年の「ゴジラ」以来、劇場映画では、様々な怪獣登場作品が作られましたが、それをTVシリーズとして制作し、「怪獣ブーム」を牽引したのが、1966年に放送が始まった「ウルトラマン」。
このTVシリーズは、現在も続いていますが、初代「ウルトラマン」に影響を受けて映像作家になった二人の大物、庵野秀明と樋口真嗣が作り上げた新作ということで、「ウルトラマン」の全話を何度も繰返し視聴し、楽しんできた人間としては、必見の一作でした。

【率直な感想】
<満足度はかなり高いです>
期待していたとおりの出来栄えに、満足できる作品と思っています。
この作品を一言でいうと。
「ウルトラQ」全28話、「ウルトラマン」全39話を2時間の枠に圧縮して、素早いストーリー展開で、高速で駆け抜けていく作品、と感じました。
「ウルトラマン」の新作なのに、何故、「ウルトラQ」が入っているかというと、そもそも、TVの「ウルトラシリーズ」の第1作は、「ウルトラQ」(以下、「Q」と称す)であり、その第2作として、「ウルトラマン」(以下、「マン」と称す)が制作されているからです。
つまり、本作品は、Q・マンの両方を原作として、新解釈を加え、「シン・ウルトラマン」として成り立っている訳です。
実際、TVシリーズでも、本作品でもそうですが、まず、最初に「ウルトラQ」のタイトルロゴ(例の渦巻き状のものがウルトラQの文字に変化するもの)が流れ、続けて、「ウルトラマン(本作品では、シン・ウルトラマン)」のタイトルが流れます。
このため、作品世界としては、繋がっているということです。
作品世界として繋がっていると言えば、本作品は、「シン・ウルトラマン」のタイトルが現われる直前、「シン・ゴジラ」のタイトルが映ります。
そして、竹野内豊が、本筋とはあまり関係がないのですが、両作品に同じような役どころで出演しています。

<Q・マン、両作への思い入れで、感想は分かれる>
この作品は、とにかく、Q・マンからのシーンの再現が連続。
Q・マンに登場の怪獣や宇宙人(外星人)は次から次へと登場するし、数々のシーンの再現か、と思える部分も連続していく。また、印象的だったセリフも再現されている。

この作品は、ネットで、「賛否両論」という表現が散見されていました。
ネタバレと思い、鑑賞前には、深く記事は読んでいませんでしたが、ある再現シーンで、「これか!」と思いました。
それは、確かに再現シーンだけど、21世紀の現代では、どう再現しても、初めて目にする観客は、「違和感」を感じるだろうな、と思えるもので、そういう意味では「サプライズ」でした。
しかし、このシーン、重要な場面なのです。

<子どもがウルトラマンから離れるとき>
これは私の体験なのですが、Qは、ある程度大人の視聴者を意識していたようですが、マンについては、物心ついて、小学校の中学年くらいを越える頃から、素直に楽しめなくなっていきます。
それは、成長とともに、次第に大人目線になってくるからなのですね。
ウルトラマンって・・・「なぜ、宇宙からやって来て、自分の身を削ってまで人類を守るのだろう?」「巨大パワーがあるのに、3分で力尽きてしまうのは、なぜ?」「カプセルが光ると姿形が変わりつつ、巨大化するけど、どんなメカニズムなのか?」
そんなことを考えるうち、次第に、ウルトラマンへの関心が薄れていく…。

でも、本作品は、東宝や円谷がそれなりの予算を投じて完成した作品であり、ターゲットとして、子どもだけでなく、そんな「疑問を持った大人たち」も入っていることが想像できます。
実際、ウルトラマンと怪獣たちとの戦闘シーンも楽しいですが、ストーリー全体が、上記の「オトナのギモン」に答える構成になっているところに、ワクワクさせられました。
賛否両論と考えられるシーンも、ウルトラマンへの疑問を解消するために必要なシーンとして盛り込まれていると私は考えています。

<エンドロールにも注目>
本編終了後、流れるエンドロール。
その「モーションスーツアクター」(いわゆる着ぐるみの中の俳優さん)の中に、ある名前を発見し、とても嬉しかった。
本作品の事前考察のYouTube動画で、予想されていたことなのですが、本当に、この人が…永年の夢を果たしたのですね。

【全体評価】
Q・マンの両方の全話を、何度も観ている人にとっては、間違いなく傑作と思います。
もちろん、全話を観ていていなくても楽しめるように配慮されていますが、感銘の受け方が違うような気もしています。
個人的には、高評価させていただきました。

悶
猫たんさんのコメント
2022年5月28日

悶さん(*^^*)こんばんわ~♪
レスありがとうございました。
また皆さまと楽しくお話しが出来て嬉しいです☆彡
悶さんのレビューを観る前に読みたかったと思いましたw。
ウルトラ愛が深い~。
☆ ☆
悶さんも大河ドラマ観てるんですね。
山本耕史さんのクールで落ち着いた演技イイでよね。
本作でも味わいのある演技でついついマネをしたくなる猫です(笑)
流行ってるみたいですよね(≧▽≦)
ウルトラQはあまり覚えていないので(と言うかあまり観ていないかも)
観たいな~と思ってます。

猫たん