「“人生を決めるのはLIVER(生きてる人)”というダブルミーニングが肝(キモ)だった。」盲目のメロディ インド式殺人狂騒曲 kossyさんの映画レビュー(感想・評価)
“人生を決めるのはLIVER(生きてる人)”というダブルミーニングが肝(キモ)だった。
終わってみると、アーカーシュの周りには悪人だらけだったというオチ。まともなのは彼とソフィーだけだった。そして冒頭のウサギを狩るシーンが、忘れていたのにここで繋がるか~!という驚きによって、ちょいとだけ加点。とにかく、しみじみと盲目の振りをしたり、ソフィーと恋に落ちる絶妙な心理描写、殺人現場で平静を装うことの難しさなど、前半は魅せるところがいっぱいあったのに、中盤からはコメディタッチ、さらには不法臓器売買という裏社会まで覗かせる社会派サスペンスになったりで、ごった煮状態になっていたのです。ベートーベンの運命とかビックリさせるところでの効果音BGMとして使ったり、落ち着きがない編集もあったり(笑)。
そんな全体を考えてみると、芸術性を高めるために盲目の振りをする道を選んでしまったピアニストの不幸。スティービー・ワンダー、レイ・チャールズ、辻井伸行など天才肌のミュージシャンも多いし、視覚に囚われないで音を探せば素晴らしい曲も生まれるかもしれない。だけど、見えちゃってるんだから、やっぱり本物には近づけないですよね。しかも売れてしまえば佐村河内氏のように詐欺にもなる可能性だってあるんだから世の中難しい・・・
このインド映画、もうひとつの特徴がテロップによる説明が多いこと。動物は虐待してないとか、臓器売買を肯定してないとか要らないですよ。エンドロール時に流れる、インド映画でのピアノシーンをコンピレートとしたフィルムなんて『ニューシネマ・パラダイス』まで想起させてくれるし、そこでまた加点。普通に楽しめた!といった評価になりました。
kossyさんへ
インド映画と言えば、エンドロールならぬオープニングロールまでありますが、この映画のオープニングロールの長い事長い事w
そこにKAWAIの名前がありましたが、「蜜蜂と遠雷」で松岡茉優が弾いていたのもKAWAIだそうです!