hisのレビュー・感想・評価
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偏見とは何か、繊細に描かれている
同性愛映画に抵抗がある人こそ観るべき映画です。個人的には打ちのめされるほどよかった。
今泉監督作品が2週続けて見られるとは。
とはいえ、、、正直、男性である私は男性の同性愛には抵抗があります。少し嫌な思い出もあるので。女性同士の同棲愛にはまったく抵抗はないのですが。
今週末は色々と見たい映画が多いので、色々タイミングを考えると、この映画を公開日のレイトショーで観るのがベストだったのですが、果たして、公開日のレイトショーを男1人で観て良いものか、、他の順番でみる方がいいのか考えてしまった。
結果、映画館には女性の方が多かった。そりゃそうだ。氷魚さん目当てと、もしかしたらBL好きかもと妙に納得。
(これも偏見ですが)
映画には男性同士のラブシーンがあります。素直に、気持ちが良いものでは無い。それは変わらない。
同時に、同性愛のキャラが、真っ直ぐに気持ちを言うシーンが何度かあって、涙が止まらなかった。
自分にはどれだけ、偏見や差別があるのか、気が付かされた上で、「偏見をなくそう」とか「差別が悪い」という一方的な押し付けではないような気がして、とても良いメッセージだと思います。
「同性愛者の自分たちが1番傷ついて弱いと思っていたけど、実は、、」という所がとても良い。
いじめも差別も偏見も、加害者が一方的に悪いと思ってしまったら解決しない、本当の相互理解という意味が分かったような気がします。
あと、もし、女性同士同性愛で、男性1女性2の話だったら、みえかたがまったく違うな、、、とも思った。結果、自分には偏見があるのだと気付かされた。
これを見て、気持ちが悪いとか、理解できないという人がいても、それはそれで理解出来る。万人受けするとは到底思えないし、周りの人に素直に勧められないけど、とても良い映画だった。
派手さはないし、とても淡々と描かれているけど、テーマやメーセージは重い。これを普通に描かれている繊細さが今泉監督っぽい。
不思議な映画。
生きていける未来
なんの予備知識もなく、他に見たい映画がなくて鑑賞した『愛がなんだ』でいきなり顔面パンチを喰らったように唸らされ、その次は期待たっぷりで観た『アイネクライネナハトムジーク』であの練り込まれた原作をこう料理したのかと唸らされ、迎えた今回の『his』。製作していたのも知らないほどに予備知識無し、けれど期待はMaxで公開初日の金曜日に鑑賞。
うーん、やっぱりまた唸ってます❗️
主要人物の男女3人+女子児童ひとり、やたら人懐っこい五右衛門(あの飼い主なのでたぶんゴエモンではなく漢字名)。いずれも私にとっては名前も知らなかった人達とワンチャンでしたが、心からエールを送りたくなりました。
誰にだって
わけがあって
今を生きてる
私にだって
わけがあって
ギターを弾いてる
あいみょんさんの楽曲(小松菜奈さんと門脇麦さん主演の『さよならくちびる』の中でコンビ名ハルレオが歌ってました)でそんなフレーズがありました。
3人の男女ともそれぞれ、ひとどころか家族にも言えないような〝わけ〟があって、およそ望んでた形とはまったく違ってる〝今〟を生きてる。
個人的に抱いているだけの偏見や差別的考えを、あたかも世間一般的な〝常識〟や〝良心〟の代表者であるかのように振る舞う人間の醜さは、これまでも色々な映画で描かれてきています。そしてまた相手方の欠点を抉り出すこの映画の弁護士のような責め口についてもどこかで見たことがあります。
私が唸ったのはそのあとです。
和解を求める渚の妻への謝罪のシーンです。
訴えている内容は、ありきたりといえばありきたりなのですが、『自分の居心地の良さを優先し、かつ、それを壊したくなかったことで(具体的には子供と仲良しなのは自分だけという状況を失いたくなかった)、妻が頑張る姿や良いところを見出だす努力をしなかったこと、いや、本当は見えていたのに見ないふりをしてきてたであろうこと』を正直に告げたことです。
弁護士2人、特に戸田恵子さん演ずる女性弁護士の口撃が凄かったのを見せつけられた直後のことだったので(松本若菜さんは演じなくても本当に泣いちゃったのでは、と思わせるほど)、その対比が余計際立ちました。
他人の欠点をあげつらうことに多くの言葉を使うことに比べて、他人の良いところを見つける少しの言葉の愛おしさと優しさと慈しみ。
この劇的な転回によってそれまでの夫婦のしこりの感情が雪解けして一気にめでたしめでたし、としないところも、この監督の凄いところだと思います。現実世界と同じで、一時的な感情や感動はどんなに強いものであっても長続きしないし、それで単純に解決することなどはないということもしっかりと描き切っているのです。
でも、それぞれの〝わけ〟をそれぞれが理解し、到底納得などはできないことであっても、それでも現実的に受け止めることができれば、なんとかそれぞれが生きていける未来はやってくる。明るいかどうかも定かではないけれど、たぶん、いや、確かに生きていける未来。
そんなことが十分伝わってくる、観てよかったと心から思える映画だと私は思います。
何とも中途半端…
日本のメジャー映画でゲイを描くのはこの辺りがやはり限界なのだろうか?先ずメインキャラクターにリアリティーが無い。ゲイカップルの間にあまり恋愛感情が感じられないのだ。「愛がなんだ」ではあんなに男女間の微妙な感情を巧く描いていたのに。妻にしても夫がゲイだと本当に分からなかったのだろうか。二人の間のセックスはどうだったのだろうか。こういうところをちゃんと描かないとキャラクターに説得力が出ない。最初におじいさんが理解してくれた辺りは良かったのだが、後は周りがあまりに容易く受け入れるのが却って嘘臭い。しかも後半は重点が親権争いに移ってしまって、“Any Day Now”(邦題『チョコレート・ドーナツ』)のパクりかと思ってしまう。ゲイの恋愛模様だけで最後まで引っ張れなかったのだろうか。今の日本の環境では欧米レベルのLGBTQ+映画はまだ無理としても家族ものに逃げないで欲しかった。
愛について考えた
どうも主人公が寡黙過ぎて、周囲の状況から受身に回っているのがどうも気になった。
一転中盤で理解者のおじいさん(鈴木慶一さん。嬉しい登場!)の通夜での告白が山場で、ここまででも相当な作劇上の山場になるものを、後半親権を争う裁判までもつれ込むものだから・・
全くの焦点ボケとなってしまった。地域でのカミングアウト等
必要なのかと思ってしまいましたが、いかにも日本社会のブラックホールにボールを投げ込んだ勇気は買えるという程度の評価しか考えられない。
親権の裁判については、外国の方には理解しがたい、日本的決着でこれも評価は高くは出来ないなぁ。ああ残念!
日本映画の進化なる
前半の、素人と見間違う演技で進むストーリー。
ここは依然と進化せず…
特にキスシーンは、相変わらず恥ずかしい場面となっていた、、、
しかしながら後半から、ギュっと心を掴んでくる!
ここにこの映画の意味がある!!
欧米のLGBTQテーマの映画は、社会も含めてどんどんアップデートしているのに、
日本の社会は未だにここか??!と腹が立つ。
ここが日本映画の進化だ。よくぞテーマに選んでくれた。
ありがとう
(キスシーンだけの演技指導したくなりました)
単純なはずなのに、複雑になってしまうこと
単純なはずなのだ。
お互いが好き同士で、一緒にいれたらそれで幸せなはずなのだ。
だけどこんなにも複雑になってしまうのは、当事者ではない第三者からの無神経な一言だったり、自分が大切にしていることを押し付けてしまう気持ちだったり…。
人の恋愛なんだから、放っておけばいいのに!と思うのもまた、浅はかな考えなのかもしれない。
特に、子どもや結婚という制度になると。
この映画を観た方は分かるかもしれないけれど、たぶん、「子どもにあんなシーンを!」と偉ぶったような批判がもしかすると、あるかもしれない。
だけど、間違いなく、必要なシーンだと思うし、空の素直さは渚の真っ直ぐさなのだと思う。
レイの弁護士のような人、たくさんいるんだろうなあ…。
生々しさだったり、社会の中で過ごすリアルさだったり、今出会ってよかったと思える映画でした。
PS.ドラマをやっていたこと、レビュー読んで初めて知りました。ドラマも観たい!
「歳を取ったら、男も女も関係ない」by吉村房子(根岸季衣)と吉村美里(松本穂香)のおばあちゃん!?
完成披露試写会にて鑑賞。
立見が出るほど、映画と出演者への関心度の高さを感じる。
前作ドラマから映画の公開を心待ちにし、
予告、記事、インタビューなどあらゆる前情報を入れてから迎えた完成披露試写。
情報を入れ過ぎたかも…、という余計な心配は、
センセーショナルな「えっ!?」シーンから吹っ飛び
最後まで世界に引き込まれ、胸が詰まるシーンの連続に涙が何度も頬を伝う。
ドラマからの伏線と言えるかもしれない、本、好きな人の香り、
映画での、卵、絵本、手紙、自転車の使われ方にもぐっとくる。
主演の2人が試写を観終わったあと、その手ごたえに握手をした…というラストシーンで涙を流し切った。
♪神様 どうか お願いだから♪ 主題歌マリアロード(Sano ibuki) エンドロールを聴きながら
彼らが選んだ道の行き先が、優しい世界とつながっていてほしい。
それぞれがただ、幸せになってほしいと願いながらも
沢山考えさせられ、勝手に彼らのこの先を心配してしまった。
LGBTQというテーマ、それだけではなかった。
人間愛、子育ての在り方、そこに繋がる母娘関係、
地域移住とコミュニティ
離婚裁判の無常、無力感まで考えさせられた。
誰も悪くない、
ただそれぞれが、もがき苦しみながらも、
人を愛し、一生懸命生きているだけ。
だけど、人とも社会とも噛み合わない現実が辛く厳しい。
受け入れる、皆で育てる、地域や性別世代を超えた色々な人が関わることが出来る、転んだらみんなで助ける。
そんな子育ての新しい可能性を見せてくれたようにも思う。
出演キャスト皆さんの魅力と見逃さないで欲しいシーン。
井川迅:宮沢氷魚くんの言葉少ない表情演技が尊い。
田舎暮らしをしていても消せない美しさが、白川町の優しい自然の中に儚く、溶けてしまいそう。
渚が現れた戸惑い、静かだった世界が乱される焦燥感。
空ちゃんや緒方さんとの関わりで、閉ざされていた心の扉が開いていく、狩猟シーンの表情が見もの。
役者として初体験だったという濃厚なキスシーンから朝日に立つブリーフ姿が、脳裏に焼き付いてしまった。歯磨き粉味verも重要。
日比野渚:藤原季節くんのダメンズをはるかに超えた、くずなんだけど人間味溢れる愛されキャラの魅力は、彼自身の魅力、彼も主役なんだと思わされる強烈な演技力。
舞台挨拶で語った、2020年の抱負は「我慢」、劇中の渚にも通づる言葉。
胸えぐられた法廷シーンは、渚の決断によって一気に許された。
日比野空:紗玖良ちゃんの純粋に父母を想い、更には迅をも気づかい、主要キャストをつき動かす言葉の影響力‼︎7歳のお芝居全てが天使!!
日比野玲奈:松本若菜さんの、母として、妻として、女として、彼女の苦悩、親子関係は身につまされ深く深く共感。シングルマザーにはサポートと心のケアが不可欠。
迅との秘密の共有、転んだらみんなで助ける、それがこの作品の最も重要なシーンだったのかもしれない。
吉村美里:松本穂香さん、「わたしは光をにぎっている」では銭湯でお湯沸かしてる鈍臭かった娘が、移住推進課としてシャキシャキ人の為に働いて、氷魚くんに告白までして、勝手に感動。移住推進課の存在を初めて知る。
美里さんが語る、「年寄りがおしゃべりな理由」もイイ。
緒方さん:鈴木慶一さんの存在が、優しい社会のお手本。
「誰かに出会って影響を受けるのは人生の醍醐味やで」
「誰が誰を好きになろうとその人の勝手やで。好きに生きたらええ」
吉村房子:根岸季衣さんの「歳を取ったら、男も女も関係ない」
観ているこちらが一番救われた。
キャスト名を見直してみて、実は吉村美里ちゃんのおばあちゃんだったのか!?
水野弁護士:堀部圭亮さんと桜井弁護士:戸田恵子さんの法廷シーンはきつかった。
「一旦、裁判という場に巻き込まれた人間は自分の未来がどうなるかを如何ともしがたい」というカフカの「審判」の意味を考えさせられながらも、
ベテラン俳優陣の存在感とセリフの重みが胸にしっかり刻まれ、様々な場面で救われた。
二日連続、今泉監督作品を試写で観れた幸運。
ありのままの自分の正直な気持ちを伝えることの大切さを再確認。
mellowを観た直後だから、今泉節は薄い!?と感じたのは理由があったことを、舞台挨拶で話されていた。
「脚本家のアサダさんとも沢山やり取りをして、見る人によっては、気にする人にはこれでも気になるんじゃないかと、気になる部分を直して相談しながらやりました。」
それでもやはり、見逃している今泉ワールドの細かな演出を、探しに行かねば!
聞き逃した音、まだまだあるはずのドラマからの伏線。緒方さんの飼い犬五右衛門の演技。
何回観るかな?
観る前以上に、また観たい、追い続けてきて良かったと思える作品に出会えて良かった。
年末紅白の舞台でも、MISIAがLGBTサポートの意味をもつレインボーフラッグが掲げられ、氷川きよしが「ありのままの姿で」龍に乗った。時代が来たな~と思う2020年。
当初3館だけだった上映館が、全国ロードショーへ広がったことも優しい世界への大きな一歩と信じて。
この作品に関わる皆さん、応援しているファンの拡散力にも感謝したい。
好きだけではどうしようもない
最初のシーンからいい意味で見事に裏切られました。この先どうなるのぉって興味が湧いたし、要所に大事なキーワードが散りばめられてた感じでした。
迅くんが告白するシーン、法廷シーンは切なく苦しくて胸の奥、目頭が熱くなりました。
法廷シーンで玲奈さんが追い詰められた時、同じ働くシングルマザーとして観てるのが辛かった。でも渚くんのとった行動ですごく救われました
美里さん、緒方さん、弁護士さん役の戸田さん、白川町の人々みんなの気持ちが温かかく、純粋な空ちゃんが癒しになりました。
普通
普通じゃない
一般論
特殊な
弱い立場の人
考えるべきWord。
映画を通してあらためて確認することかできました。同性愛、ゲイカップルの物語ではなく、辺りで日常に起きている物語。
今泉力哉監督初の男性同士の恋愛映画
完成披露試写会で鑑賞。
今泉力哉監督作品初の男性同士の恋愛映画。ゲイであることを隠して岐阜白川に生活している青年・井川迅が、高校時代に愛を育んだ男性・日比野渚とその子供・空と共同生活するこになった繊細な関係を描いたドラマ。
鈴木恵一さん演じる緒方さんが迅に言った言葉や空ちゃんがお父さんの渚に言った言葉が心に沁みました。
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