「ラストの軽いジャブ、謎の選曲」フェアウェル ニコさんの映画レビュー(感想・評価)
ラストの軽いジャブ、謎の選曲
中国では今でも命に関わる病を本人に告知しないことが当然のようにあるということに驚いた。ただ、振り返れば日本も一昔前まではそのような風潮が主流だったので身近な感覚のようにも思えた。
幼い頃両親に連れられてアメリカに移住した主人公のビリーや、日本に移住したおじ、日本人の彼女がいるいとこなど異文化に親しんだ人物の視点を複数置くことで、この「嘘」の描写が賛美にも批判にも寄らず、「嘘」をつく側もつきたくない側も根底にナイナイへの強い愛情がある点は同じということを浮き彫りにする語り口は好感が持てた。
比較的オーソドックスな物語の流れに油断していたら、一番最後の数秒で自分の先入観に軽いジャブを食らわされるような映像が現れてびっくり。
余談だが、披露宴で日本人彼女といとこが随分渋い歌を歌うなあと思いエンドロールを注視したら「竹田の子守唄」だった(字幕は”komuriuta”と誤字になっていた…)。名曲ではあるが、曲の成り立ちも含め、披露宴で今の若者が歌う設定にとてつもない違和感を覚えた。監督は何故この曲を選んだのだろう。
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