「【ささやかなドンデン返し】」フェアウェル ワンコさんの映画レビュー(感想・評価)
【ささやかなドンデン返し】
このちょつとインターナショナルな家族に軽い気持ちで会いに行ったらみたらどうだろうか。
家族や知人、友人を癌で亡くした人も沢山いるだろう。
僕は、父親を癌で亡くしている。
肺の小細胞癌で、判ってから3ヶ月だった。
ただ、80過ぎの父親は、精密検査の結果を自分独りで車を運転して聞きに行って、家族を連れてくるように言う医者に、自分は癌なんだな!と問い詰めて、結果を確認してから、もう寿命だ!と言って自宅に帰ってきたそうだ。
それまで病気らしい病気をしたことがなかったので、狼狽しただろうにと思うが、よく事故も起こさず帰ってきたなと感心した。
僕は、あまり父と折り合いが良くなかったが、お墓は母親が亡くなってから、僕達の便利なところに作るので良いからと、とても因習に拘る父親とは思えない合理的な言葉を聞いて驚いたのを覚えている。
肺の小細胞癌は喫煙者に特徴的な癌とも言われているが、お見舞いに来る親戚や友人などに、喫煙は止めろ、アフラックに入った方が良いぞと言っていたと聞いて、なんともモヤモヤした気持ちにもなった。
父は、ヘビースモーカーだった。
ここからネタバレを含みます。
↓
僕はナイナイは、理解していたのだと思う。
自分の夫もそうして見送ったのだ。
気が付かない方がおかしい。
おまけに、深刻な顔をした子供や孫やらが大挙して集まって来るのだ。
だから、気が付かないふりをして、皆をそれぞれの場所に見送ったのだ。
中国では、癌だと分かると、恐れで死んでしまうのだと言っていたが、そんなことはない。
密かに理解して、元気のように振る舞い、頑張っているのだ。
ビリーは、見送ってから泣くナイナイの姿を車の後部ガラス越しに見て、それに気が付いたのだ。
だから、それに応えようとして、ニューヨークの街で、ハッ、ハッと。
しかし、ちょっとしたドンデン返し…、ハッ、ハッの数も一段と増えていて…。
このちょっとだけインターナショナルな家族に皆が映画館に会いに行けたら良いのにと思う。
たしかに、ビリーを見送る時のもう会えないだろうと悟った様子、見送った後のナイナイの泣く姿は、自らの病状を知っていただろう、ちょっとしたドンデン返しでしたね。 さらに6年?経ったいまも生きてることが最大のドンデン返しですね。
そもそも良性の影って誤魔化しきれてないしw