「【”反ユダヤ思想による、ユダヤ人陸軍大尉に処された真実に基づかない罪。”証拠捏造、文書改竄、法廷での虚偽の発言、軍上層部の愚かしき姿。今作で描かれる事は、現代でも起こっている事なのである。】」オフィサー・アンド・スパイ NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【”反ユダヤ思想による、ユダヤ人陸軍大尉に処された真実に基づかない罪。”証拠捏造、文書改竄、法廷での虚偽の発言、軍上層部の愚かしき姿。今作で描かれる事は、現代でも起こっている事なのである。】
ー 19世紀末、フランスで実際に有った「ドレフュス事件」の映画化である。
ドイツに機密を漏洩したとして、スパイ容疑で終身刑になったユダヤ人陸軍大尉ドレフュス。(ルイ・ガレル)
だが、対敵情報活動を率いるピカール中佐(ジャン・デュジャルダン)は、ドレフュス大尉の無実を確信し、対処を上層部に迫る。
しかし、上層部は、国家的スキャンダルになる事を恐れ、逆にピカールは左遷される。
全てを失いながらも、尚、信念を貫くピカールは、ラボリ弁護士、作家エミール・ゾラらに支援を求める。
だが、行く手には、腐敗した権力や、反ユダヤ勢力との過酷な戦いが待っていた。-
◆感想
・冒頭、”この作品は実在した事件、関係者を描いている”と文字が流れる。
そこからの、自らも反ユダヤ思想を持つ、ピカール中佐が、事件の真相に近づいていく過程は、スリリングで面白い。
・軍の上層部や、防諜部の旧弊的な思想を持つアンリ少佐らも、あらゆる干渉にもめげずに、真を追求していくピカール中佐の姿は、見応えがある。
ー 投獄されても、真実を追求する姿には、敬服する。-
・残念だったのは、登場人物が多く、物語の把握に脳内フル回転で対応するも、ややボケてしまった箇所が幾つかある事である。
・ポーリーヌ(エマニュエル・セニエ)と、ピカールの不倫関係は、この作品に必要だったのであろうか。
ー マア、監督がロマン・ポランスキーだからねえ・・。奥さんを出演させたかったのかな?いや、違うな。ピカール中佐も、一人の人間だったという事を示したかったのであろう。-
<現代の日本社会でも、隠蔽や証拠捏造、文書改竄は、政治、経済社会で普通に行われている事は、御承知の通り。
国会での不毛な論戦の数々・・。
今作は、過去の出来事ではない。歴史は繰り返すのである。>