「オフィサー・アンド・スパイを見て感じたこと」オフィサー・アンド・スパイ コショワイさんの映画レビュー(感想・評価)
オフィサー・アンド・スパイを見て感じたこと
1 スパイ行為により投獄された男を巡り、上層部に抗いながら真実を追求する軍人の姿を描く。
2 映画は、スパイ容疑で有罪となったドレフュスの軍籍剥奪の公開披露の場面から始まる。とても絵画的で重厚な場面づくりとなっている。そしてその雰囲気は最後まで崩れず史実の映画化としてやや重たいものの格調高く進んでいく。
3 事実を隠蔽し、証拠を捏造していく軍部上層部の憎々しい醜悪な姿。それに対するピカ−ルの高潔な姿は、絵柄としての対比は明確すぎるほど戯画的となっていた。そして軍部という組織の人間でありながら信念に基づき対峙する中佐の心意気やカッコ良さ、知識層の後ろ盾を得て司法に舞台を移す賢明さに感情移入してしまった。
4 中佐は、ユダヤ人を好まずドレフュスの逮捕に職務上関わっていた。その一方、ドレフュスの無実を信じ、妥協することなく組織に徹底的に楯突き、投獄までされる。それでも挫けない。何故にそこまでするのか?行動原理は全くもって理解し難い人物である。私生活では、未婚で政府高官の妻と不倫関係にある。ポランスキーは、この人物を史実にそってあるがままに捉えていたように思う。そして、映画的にはラストの中佐と不倫関係にあった女性との会話は、味のあるシ−ンであった。
5 本作は、終局に向けて急転直下のあっけなさではあったが、ポランスキーは途中のダレることのないドラマ仕立てや巧みな人物造形、サスペンスの醸成に冴えを見せた。
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