オフィサー・アンド・スパイのレビュー・感想・評価
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冒頭から目に飛び込む「水」の存在
「水の中のナイフ」にかこつけるわけではないが、個人的にポランスキー作品に触れる際は「水」の要素に警戒している。その意味で、まずハッとさせられるのは、本作の冒頭にてドレフュスが大勢の市民の目に晒されながら剣を叩き折られる屈辱的な場面において、広場の地面がなぜかじっとりと水に濡れていたことだ。今から考えると冤罪事件としての危険信号は既にこの時点から高鳴っていたのかもしれない。と同時に、本作が突きつけるのは、何もこの事件が過去の遺物ではないということ。為政者が国家ぐるみで真実をねじ曲げる行為はいまなお世界で深刻化しているように思える。その暗雲を切り裂き、正義と真相を追い求め続けるためにはどうすべきかーーー。19世期のドレフュス事件を知らない人にとってはわかりにくい部分もあるだろうが、この神経質なまでの緻密な作り込み方がたまらない。知らないうちに侵食されゆく恐怖や不条理感もポランスキー映画らしい。
ユダヤ人差別の根深さ
ヨーロッパにおけるユダヤ人差別の根深さを感じる映画。はるか昔にイエス・キリストを迫害した民だからといって、なぜここまで嫌われるのかよく分からない。キリスト教圏の人間でないと分からない感覚か。ちなみに第二次世界大戦時のナチス・ドイツによるユダヤ人虐殺に対して、ドイツ人の多くは無反応だったと本で読んだことがある。このことからも、ヨーロッパにおけるユダヤ人の認識が窺える。
恥ずかしながら、ドレフュス事件がきっかけとなりシオニズム(ユダヤ人の国家建国)の運動につながったというのを、この映画を観る前にネットで調べて初めて知った。
後半では、ピカールやエミール・ゾラと言った面々が、ドレフュスの冤罪解決に向けて行動を起こす。見返りがある訳でもなく、そして自分の身に危険が及ぶ可能性があるのにもかかわらず、冤罪を隠蔽しようとする軍を告発するその勇気や覚悟は、生半可なものではない。
あと、同監督の『戦場のピアニスト』でも思ったことだが、ヨーロッパの街並みや自然が美しく撮れていて、そこも見どころ。史実がベースなので仕方がないかもしれないが、ラストはすっきりしない。
軍内部の差別と腐敗を弾劾したピカール中佐とユダヤ人の冤罪被害者ドレフュスが遺したもの
ユダヤ人故に国家反逆の冤罪によって11年の耐え難い試練を体験した陸軍砲兵大尉アルフレド・ドレフュスの事件を、彼の元教官で防諜部長のジョルジュ・ピカール中佐の正義感と不正追及の立場から、国家的大スキャンダルの史実を丁寧に描いたフランス映画。原作はイギリス人のロバート・ハリスの『An Officer and a Spy』(2013年)で、軍内部の腐敗を扱う内容から“将校とスパイ”の意味になると思うが、映画の題名は「J´accuse ジャキューズ」=私は弾劾する、が用いられている。これはピカールからユダヤ人差別の闇深き冤罪を知り、義憤に駆られた文豪エミール・ゾラがリベラル派新聞の表紙全面に公開状を掲載した記事の大見出しになり、この言葉は以後、告発すべき事件に度々使われる常套句になったと言います。監督は公開年に86歳を迎えたロマン・ポラスキー。1962年に「水の中のナイフ」で長編デビューしてから57年ものキャリアを積んでいる。流石に若い頃のような演出の鋭さは無く、老練な落ち着きと静かに構えた安定感が特徴の地味な歴史映画に仕上がっています。ピカールも含め19世紀末のフランスにおいて反ユダヤ主義が蔓延り、リベラル派市民と対立する世情が時代背景。そんな中11歳で陸軍学校に入学し大尉にまで昇格したドレフュスが優秀であったにも関わらず、35歳の1894年12月に軍事機密漏洩のスパイ容疑で有罪となる。
1895年1月5日の軍籍位階剥奪の公開儀式の長いファーストカットが、ドレフュス大尉が置かれている状況を想像させる。国家反逆の大罪に対する軍の権威維持と、唯一のユダヤ人ドレフュスの軍人の尊厳を蹂躙する見せしめ。多くの軍人が整列して注視し、門の外では市民が非難と野次を飛ばす。ところが防諜部長に就任したピカールが別件の調査で得た資料からドレフュス裁判の証拠となる書類の筆跡に酷似するものが見つかり、更に裁判で重要だったはずのドレフュスの機密書類には頭文字の“D”しか符合しないお粗末さに唖然とする。未公開の裁判を傍聴する立場だったピカールが、その記憶と実際の調査で辿り着く事実を探る中盤までのサスペンスフルな展開には充分見応えがあります。直属の上司であるゴンス将軍に全てを報告しても、忘れろと命令される。その前に彼は軍の上層部の腐敗を理解し、最も信頼するボフデッフル将軍に情報を最初に持っていくが、願いも虚しく見方にはなってくれない。筆跡鑑定の精密な分析始め防諜部の実態の興味深さに、役人の官僚体制に見られる絶対服従で隠蔽される事実とわが身可愛さの器の小ささ。組織の権威とは何かを考えさせる、普遍的な人間の愚かさが浮き彫りになります。
ゴンス将軍と部下のアンリ少佐の上下から対立して孤立無援になったピカールを更に追い詰めるのが、ドレフュスの密書が新聞にリークされて詰問されるところです。要は事実を突き止めたピカール一人を悪者にして左遷させ、事件終結を計る大臣と将軍たちの策略だった。捏造の実行犯はスパイの手法を知り尽くしたアンリ少佐に違いない。この絶体絶命の危機を救ったのが出版界とユダヤ組合のドレフュスの兄、そしてエミール・ゾラでした。事件から4年経った1898年1月、当時のフェリックス・フォール大統領に公開状を発表する形になり、冤罪事件として後世に遺ることになった訳です。日本では1930年に大佛次郎が最初に紹介したとあります。映画の世界では、何とジョルジュ・メリエスが1899年に短編映画にして、ハリウッドではウィリアム・ディターレが1937年に「ゾラの生涯」でドレフュス事件を扱っています。(その後イギリスでケン・ラッセルがテレビドラマにしています)この戦前の映画は、偉人の伝記映画の名匠ディターレのアカデミー賞受賞作品として有名で、名優ポール・ムニがゾラを演じ、ドレフュスを演じたジョセフ・シルドクラウトがオスカーを得ました。ゾラの視点からみたドレフュス家族の苦難が描かれ、ギアナ沖の離島ディアブル島に幽閉された悲運を強調したヒューマニズム映画になっています。このアメリカ映画と比べると、脚色していない事実の段階を丁寧に描いた記録性のためか後半が説明的に終わって、ゾラが登場しても目立つ場面は無く、敏腕弁護士ラボリの活躍も控えめです。そのため暗殺されるシーンにそれ以上の感興はありません。ゾラが国家に対して名誉棄損の罪に問われて有罪となりイングランドに亡命した逸話や、1906年の忘れられた頃に漸く無罪を勝ち取り、ドレフュスが苦難に耐えた兵士としてレジオンドヌール勲章を受章し、大臣になったピカールに面会するラストシーンがもっと盛り上がって欲しかった。このラストの昇格を直談判するドレフュスと法改正しなければ無理と受け付けないピカールの会話は、映画冒頭の試験で点数操作したのではないかと詰め寄るドレフュスと否定するピカールのシーンを想起させます。当時の反ユダヤ主義が主人公ピカールの中にもあった事実は否定できないのです。
全体として後半の脚本の迫力不足が惜しまれるが、俳優陣の充実は素晴らしい。ピカールを演じたジャン・デュジャルダンの貫禄のある軍人振り、何処かショーン・コネリーに似た雰囲気があって親近感もある。意外だったのは、ベルドリッチの「ドリーマーズ」や最近作「グッバイ・ゴダール!」に主演したルイ・ガレルの渋さでした。ドレフュスの孤独と怒りを感じさせる演技力に感服しました。ピカールと決闘するアンリ少佐を演じたグレゴリー・ガドゥボウも肥満体の体格を生かしたキャラクターとして役柄をこなし、将軍たちのベテラン俳優陣にも隙が無い。ピカールの愛人ポーリーヌ役のエマニュエル・セニエはポランスキー夫人故のキャスティングであろうが、個性の強い有閑マダム風の貫禄があって適任でした。それとラボリ弁護士のメルヴィン・プポーは、フランソワ・オゾンの「ぼくを葬る」以来です。改めてフランス俳優陣の演技力の高さを感じました。撮影はポーランド出身のパヴェル・エデルマン、薄曇りの空と淀んだ空気感の灰色掛かった色調が当時の時代再現として終始一貫していて良かったと思います。
(この事件を取材したハンガリー生まれのテオドール・ヘルツルは、ユダヤ人に対する偏見と差別に衝撃を受け、ユダヤ国家建設を願うシオニズムの提唱者となり、20世紀半ばのイスラエル建国につながったとあります。歴史の勉強を兼ねて色々調べると興味深いことにつながるものです。これも映画の良さですね。ヘルツルが1860年生まれとは、ボヘミア生まれの作曲家グスタフ・マーラーと同じです。ユダヤ人として疎外感を感じながら音楽界で名声を築いたマーラーのことも思い浮かべてしまいました)
ユダヤ系ポランスキー監督のアイデンティティが勝ち過ぎたか…
ガザ地区での戦争のニュースを
毎日のように目にする中、
ユダヤ人が“約束の地パレスチナ”を目指す
切っ掛けの一つになったという
“ドレフュス事件”を扱った作品として、
また監督が「ローズマリーの赤ちゃん」や
「戦場のピアニスト」等、
たくさんの名作を提供してくれた
ロマン・ポランスキーということもあり、
「ゾラの生涯」に引き続いて初鑑賞した。
見事な作品と感動しながらも、
いかにも作り物ストーリー的な作風の
「ゾラ…」を観た直後ということもあり、
ピカール中佐を主人公とするこの作品は、
史実とは全く同じでは無いとは思うものの、
それでも「ゾラ…」よりはかなり実話に近く、
あたかもドキュメンタリー作品でも
観ているかのような感じさえもあった。
ラストシーンでこそ、
軍の中枢に入ったピカールが
体面重視の判断をする皮肉り描写で
締めくくってくれたが、終始、
淡々と実話を追ったかのような作風は、
ポランスキー監督らしからぬ
ドラマチック性に欠けた印象を受けた。
この作品、ヴェネツィア映画祭では
銀獅子賞・批評家連盟賞を受賞。
しかし、1世紀近い製作年度の比較に
意味があるかは分からないが、
日本ではキネマ旬報ベストテンで第76位。
同じ“ドレフュス事件”を扱って
アカデミー作品賞受賞と、
キネマ旬報で第16位の評価を受けた「ゾラ…」
と比較すると、日本では
それほど評価は高くなかったように見える。
ポランスキー自身が
ユダヤ系ということもあり、
結果的にアイデンティティが勝ち過ぎて、
エンターテインメント性には欠けた作品に
なってしまったのではないだろうか。
「戦場のピアニスト」「ゴーストライター」のロマン・ポランスキーが1...
「戦場のピアニスト」「ゴーストライター」のロマン・ポランスキーが19世紀フランスで実際に起きた冤罪事件“ドレフュス事件”を映画化した歴史サスペンス。作家ロバート・ハリスの同名小説を原作に、権力に立ち向かった男の不屈の闘いと逆転劇を壮大なスケールで描き、2019年・第76回ベネチア国際映画祭で銀獅子賞(審査員グランプリ)を受賞した。1894年、ユダヤ系のフランス陸軍大尉ドレフュスが、ドイツに軍事機密を漏洩したスパイ容疑で終身刑を言い渡された。対敵情報活動を率いるピカール中佐はドレフュスの無実を示す証拠を発見し上官に対処を迫るが、隠蔽を図ろうとする上層部から左遷を命じられてしまう。ピカールは作家ゾラらに支援を求め、腐敗した権力や反ユダヤ勢力との過酷な闘いに身を投じていく。ピカールを「アーティスト」のジャン・デュジャルダン、ドレフュスを「グッバイ・ゴダール!」のルイ・ガレルが演じた。
差別と冤罪
19世紀フランスで起きた冤罪事件ドレフュス事件をユダヤ人のロマン・ポランスキーが描いた力作。
フランス陸軍将校ドレフュスは身に覚えのないスパイ容疑をかけられる。その裁判は軍法会議で非公開で行われ、彼の有罪を立証するはずの証拠資料はずさん極まりなく、中には明らかな偽造証拠まで含まれていた。
いったいなぜこうも裁判で彼がたやすく有罪とされてしまったのか。それは彼がユダヤ人であり、当時欧州での根深いユダヤ人差別が反映されてのことだった。現に彼の無実を信じて戦ったピカールでさえ反ユダヤ主義だったくらいだ。
有罪となったドレフュスが投獄された後、防諜機関に配属になったピカールは真犯人はドレフュスでないことに気づくが、軍上層部は軍のメンツにこだわりいっこうにとりあってくれず、逆にピカールを情報漏洩の罪で告発する。
ピンチに立たされたピカールだったが支援者の力を経てドレフュス事件再審へとつなげる。
そして裁判の行方は反ユダヤ主義、軍部への不信と国全体を巻き込んだ大事にまで発展してゆく。その様は実に見ごたえがあった。
当時、欧州でのユダヤ人差別の根深さが背景にあるものの、冤罪が起きるシステムはどの時代、どの国でも同じだ。先入観、偏見が必ず出発点となっている。そしてその偏見からやがて証拠捏造という不正にまで発展し、冤罪が生まれる。
日本で起きた冤罪事件狭山事件は容疑者が部落出身者であり、はなから捜査機関は容疑者を犯人ときめつけた。捜査当時発見されなかった証拠が後から発見されるという不自然さからでっちあげが大いに疑われた。そして同時期に起きた袴田事件も証拠が後から出てきたことで、裁判所は証拠捏造の疑いが強いと断罪した。
驚くのはドレフュス事件は19世紀に起きた事件。しかし袴田、狭山事件は20世紀の日本で起きたということだ。そしてこの期に及んで検察は袴田事件の再審で有罪立証すると述べている。
そもそも被告人側が検察側が握っている無実を証明する証拠の開示を請求できる制度は日本にはない。すなわち被告人が無実を証明しようにもその証拠を検察が握っている限り無実の立証は困難なのだ。だからこそいまの日本では冤罪事件が絶えない。
戦後、袴田事件のような死刑判決まで出た冤罪事件は発覚しただけでも5件に及ぶ。冤罪と疑いがあるままに死刑執行された事件もある。
このような冤罪事件はけして他人事ではないだけにこの国で裁判にかけられるのだけは避けたいものだ。
教科書での数行の話が、、、
世界史の教科書に記載があった程度の知識しかない状態で鑑賞。観た直後は、そう単純な話でもないのだなあと感じましたが、そう深い話、複雑な話でもないのだなあと学びました。
以下、雑感
・組織は誤謬性を有する、無謬性を前提にしちゃダメだ。組織防衛が真実に優先されるようでは崩壊する。組織だけならまだねえ・・・。
・ユダヤ人差別の描写が弱いかなあ。いや、一通りやってましたけど、事件、顛末に大きな影響を与えたところなんで、変に当時のフランス人を庇っても仕方ないんじゃないかな・・。
・字幕監修が内田樹大先生でびっくり。
・序盤、演出上の理由でしょうけど時系列を変えていたりします。そのせいか、予断がはたらいて、場面場面の話のつながりが分からなくなるときがままありました。
なお、鑑賞後に改めてドレフェス事件を調べていたら、本作との齟齬が結構あるようです。
「間違っている」という一言を言う勇気
スパイの汚名を着せられたユダヤ系フランス人将校を救うべく立ち上がる、フランス人情報将校の苦闘を描く物語。
実際にあったドレフュス事件を描いた作品ですね。スパイ映画でもなく、サスペンス映画でもなく、冤罪を生み出した当時の社会や軍の不条理を描いた社会派ドラマでした。
ユダヤ人に対する偏見や差別が世界的に根強いことはしっていましたが、フランスでもここ迄強い差別意識があったことに驚きました。ナチス時代のドイツを観ているようで、その根強さに空恐ろしくなります。
間違いを認めたがらない軍の頑迷さ、間違った仲間意識の強さ、そして反ユダヤの社会。そんな悪条件の中だからこそ、立ち上がることが出来た主人公に尊敬の念を持ってしまいます。そして、それに協力する弁護士、マスコミや文化人達の存在も羨ましく感じます。
映画としては、サスペンス色を期待した私としては、少々物足りなさを感じます。
また、かなり割愛した作品になっているので、薄味だったり、分かり難さを感じてしまいます。
私的評価は普通にしました。
ドレフュス事件
知りませんでした。またひとつ、歴史の勉強ができました。
あんなにいい加減な捜査で有罪になって、離島に島流し。辛い獄中生活、なんとも気の毒。
こんなところでもユダヤ人差別があったんだ、と、、、。まだまだ知らないことがあるんだなあ!
100年ちょっと前の出来事
ロマン・ポランスキー監督の作品
19世紀フランスの軍隊で本当に起きた冤罪事件を
重厚な映像と演技によって取り上げたもの
さすがポランスキーです、物語へ引き込まれ感が半端ない。
主役のジャン・デュジャルダンの演技も素晴らしかった。
100年ちょっと前の出来事で昔のようでそんなに昔でもない。
こんなことがあったなんて、胸が痛みます。
史実物だけど、個人的にはイマイチ
約100年前の、軍内部の話。
全部史実ということなので、「誰が悪い」「正義が勝つ」
敵内容の裁判物じゃなかったので。
そこが物足りなく。
最初の30分見たところで、ピンと来なかった。
以後ずっとピンと来ないまま、終わってしまった。
軍法裁判という特殊な環境下で裁かれる恐ろしさを感じる。 真実よりも...
軍法裁判という特殊な環境下で裁かれる恐ろしさを感じる。
真実よりも軍のメンツを優先する上官。
そんな上官に逆らって調査を進めるのは命懸けのことだっただろう。
ただ、最初の1時間くらいはかなり退屈だった。
後半は結構見応えがある。
最終的にすっきりしたハッピーエンドではないというのも実話っぽくていい。
真面目と生真面目な男の話
2022/06/14@TOHOcinemasシャンテ 有楽町
ポスターの2人が対立するのかと思ったら違うんかい
前情報として実話だからこそ痛快などんでん返しはないと知っていたけど、たしかにもやっとした終わりかただった
とはいえ主人公の2人はそれぞれの正義を貫き通したのでよかった
不憫なのは殺されてしまった弁護士
これも前情報で知っていたが本当に決闘をしていた
ウテナ思い出した
ラストシーンに対して「お礼も言わず階級のアップを要求するなんてユダヤ人は図々しい」というような感想を見たが、人種に関わらず正当な要求であるので図々しくないです
最後2人が親交を深めなかったのは少し切ない
「ユダヤ人だから評価を下げている」
「差別的感情は入れないようにしている」
「それがすでに差別だ」
って会話にハッとした
ロマン・ポランスキーの映画 ノンフィクションです
「戦場のピアニスト」で有名なロマン・ポランスキーさん。
ピアニストのタイトルに引かれて、戦場だけど素敵な話に違いないと思い込んだ若き日の自分。
映画鑑賞後は、これが現実に?、と信じられず。原作本ではなく、戦場のピアニスト本人が書いた本を日本語に訳したものを購入して読みました(翻訳本なので今はプレミア価格本になっています)。
そこには映画以上の恐ろしい現実が書いてありました。ちなみに戦場のピアニストの息子さんは日本人と結婚して日本に住んでいます。
そんなこともあり、何となく「戦場のピアニスト」繋がりで、今回のロマン・ポランスキーさんの映画もチェックしてきました。
ノンフィクションですが「戦場のピアニスト」ほど恐ろしい描写も無く、ストーリーが淡々と進みます。ユダヤ人迫害もですが、それ以上に冤罪の恐怖を感じます。
冤罪は日本でも普通に多くあるので、怖いな~と感じました。
取り調べで辛くなり「自白強要で有罪」となった人の多くの冤罪被害者は、「裁判で無罪が証明される」と思ったと言っています。
ですが、少なくとも日本の裁判は起訴された時点で99.9%有罪確定が前提です。
つまり、「有罪を確定するための裁判」となっています。そのため起訴された時点で有罪確定なんですよ。裁判は有罪を確定する場所なんですよね。魔女裁判か?という状況です。
最高裁判所の扉は重く、有罪の確定判決に対する再審請求は、ほぼ通りません。
再審を通してしまうことは「裁判官が間違った判決を出した」という事実につながるからです。再審を通す人は退官覚悟のようです。
ユダヤ人だから冤罪にされたという映画の背景ですが、冤罪というものを考える映画でもあります。
エンタメ的要素はありませんが、重厚な雰囲気もたまにはいいものです。
考えるということが苦手な旦那の教育も兼ねて二人で見てきましたが、なかな考えさせられる映画です。
ロマン・ポランスキーさんも週刊誌で色々書かれるような件もありましたが、彼の人生の背景にユダヤ人迫害という辛い経験があったことも影響しているのでしょうか。
辛い経験は人格を壊してしまいます。
人種差別や迫害、戦争などが無い世の中になってほしいですし。
冤罪なども無い世の中であってほしいです。
警察も、裁判所も、事件を終わらせれば仕事は1つ処理済みになります。
現在の日本でも冤罪が非常に多いことを、映画を見て思い出しました。
いい内容なので、ぜひ。
エンタメにし過ぎないことに好感
知識が無かったからちょっとキツかった。だからなのか公式サイトの内容が充実してる。
エンタメに出来るストーリーだけど話を淡々と描写していて好感持てた。
重厚な空気感に引き込まれる
信念を貫くピカールをジャン・デュジャルダンが好演。佇まいが美しい。
ポーリーン( エマニュエル・セニエ )がポランスキー監督の奥様だと鑑賞後に知り、驚くとともに、奥様に対する深い信頼と愛情を感じた。
防諜部の描写が興味深い。
絵画のように美しい色彩と重厚感は、巨匠ポランスキー監督ならではの一作。
-その後、二人は二度と会うことは無かった
映画館での鑑賞
暗くて魅惑的な建物の中、部屋の中マニア御用達
ポランスキー印(じるし)とは何か?
ある特徴的なディテールにそれは出ている。暗ぼったい建物の中を魅力的に描くという点だ。
螺旋階段の踊り場に玄関のあるアパート。これはポランスキーの映画、『テナント』や『ローズマリーの赤ちゃん』や『反撥』や『ナインス・ゲート』にも出てくる。こういうフランス、ヨーロッパならではのアパートが今回もたくさん出てくる。
ポランスキーは間違いなくアパートマニアだ。
あと、通りからアパートの建物に入る前のデカい扉。
扉に入ると大家か守衛がいる。
デカ扉と大家か守衛もセットでポランスキーの映画によくでてくる。
軍の防諜部の建物だって螺旋階段、守衛も映す。
螺旋階段の手すりや壁の色や模様階段に敷かれた絨毯などが、異様で猥雑な闇の深い感じ、かつクライブ・バーカーのホラー小説の世界のような魅惑的なムードを醸し出している。
部屋の中は暗い。黒を基調にした木製の家具、調度品が並び小綺麗で、生活感があり、阿片窟のような?リラックスできそうな雰囲気が漂っている。
フランスの暗くてこ綺麗で不気味なアパートが大好きな人は最高に楽しめる。
機密情報省の中も、書棚や資料棚に溢れて、飽きない。
資料を納めた沢山のポスト口は素晴らしかった。
筆跡鑑定の事務所の写真棚も素晴らしい、写真棚から資料棚、そして結びを解いた後に出てくる沢山のゴミ屑のような資料。ペリペリパリパリ音を立てながら、ボロ紙の資料を几帳面に扱う様はなぜか心地よい。
ポランスキーは、常に建物や部屋のなかを魅惑的に美的に描く点でほんとにいつも素晴らしい。ある特定の建物や部屋の中を描いているだけなのに、想像が膨らんでパリ全体がものすごく魅惑的な街のように思えてしまう。空から俯瞰した街並みははっきりいうと出てこない。石畳の道路とちょっとしたカフェや酒場、法廷や将軍の部屋といったあくまで建物の内側が専門なのだ。それなのにパリは楽しくて魅惑的な街に思えてしまう。
社交の場である演奏会場では、ポランスキーもチラッと出ていた。部屋の中の綺麗な調度品として。部屋の中のディテールの一部として。
建物や部屋の内側こそポランスキー映画の醍醐味であり、この映画はその点をもって最高の映画である。
88歳監督の作品は観なければ・・
若い・・
新鋭監督の作品を鑑賞するのは
嫌いではない・・私。
「水の中のナイフ」を見たのは、
ロマン・ポランスキー監督の
『ローズマリーの赤ちゃん』
『チャイナタウン』
『テス』
『戦場のピアニスト』
『ゴーストライター』
『おとなのけんか』
この辺りを鑑賞後に見ました。
ロマンポランスキー監督作品・・
意外にも、観ている作品が多いと
あらためて、気づきましたが・・
私は、「ナインスゲート」『ゴーストライター』
がお気に入り作品でしたが、
本日『オフィサー・アンド・スパイ』は、
先ず話の内容を置いといても、素晴らしい。
役者さん達の声に音に音楽・・画像だけでも
心地よく眺めることが出来る作品。
その中に、歴史的な話がありますが
先ずは、一人でも多くの方に、この作品に
触れて欲しい思いが一番です。
鑑賞後の私のコメントは、正直難しいのですが
私は、アニメ 「魔法少女まどか☆マギカ」
を筆頭に
アニメが好きなんです。
『オフィサー・アンド・スパイ』鑑賞も
ストーリー的には、
アニメを見る感じで鑑賞してましたので、
難しい問題は、なんとなく頭の中で変換・変更で
紡ぎながらの鑑賞になりましたが・・
大変満足させて頂きました。
そして、その後すぐに
町山智浩さんの解説を読み
さらに、
またこの作品を推したくなりました。
是非是非 一人でも多くの方に
観て欲しい作品であります。
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