「人間の残虐性の証明」異端の鳥 kossyさんの映画レビュー(感想・評価)
人間の残虐性の証明
最近目の衰えが顕著でたまりません。この作品もずっと“島”だと思っていて、パンフ購入の際も「いたんのしまのパンフください」と言ってしまった(恥)。だから、最初の章で「マルタ」と出てきたのでマルタ島かと思ってたよ・・・(恥恥)
構成はマルタ、オルガ、ミレル、レッフとルドミラ、ハンス、司祭とガルボス、ラビーナ、ミートカ、ニコデムとヨスカという9章立てになっていて、イジメに遭ったり、悪魔の子とされたり、残酷なグロシーンと遭遇したり、一人のアバズレ女や自殺のシーンに遭遇したり、とにかく波乱万丈な逃亡劇。ユダヤ人家族がナチスから逃れるために少年ヨスカだけを叔母の元へと疎開させたが、叔母の死によってあちこち彷徨う展開なのです。
単純にユダヤ人迫害の作品だと思ってたのですが、ナチだけではなく、東欧のどこか(ポーランド近辺)の地元住民にも迫害され、忌み嫌われるヨスカ。ドイツ軍駐留、ソ連軍野戦、そして暴徒化したコサック兵たちの襲撃。どう見ても、戦争による残虐性は全ての国の軍隊、そして民衆にまで及んでいた。
虐待につぐ虐待、残酷・エログロを経験した少年が辿り着くところはどこなのか?意外にも助けてくれたドイツ兵(ステラン・スカルスガルド)や司祭(ハーヴェイ・カイテル)の優しさによって、キリスト教に改宗し、さらに聖人と化すのではなかろうか?と想像力を掻き立てる。しかし、その可能性はことごとく粉砕されてしまいます。ついに性的虐待まで受けてしまったヨスカはその男をネズミが蠢く穴倉へと突き落としてしまうのだ。
ついに暴力性が備わってしまった少年ヨスカ。やはり悪魔に魅入られたのだろうか、それとも戦争による暗雲垂れ込めた殺伐さの中の必然だったのか。性の目覚めも加わり、人を殺すことが無味乾燥になる世界を体験し、人間性悪説さえもうかがわせる。そして戦争に正義なんてない!という主張さえも見え隠れするのだ。
“鳥”を表しているのは地中に埋められた少年がカラスにつつかれるイメージ以外にも、ペンキを塗った鳥が仲間から疎外されたり、軍服の鷲にだって共通性がある気がする。そして色を塗られたことも、東欧人の中のユダヤ人のメタファーだったり、キリスト教やナチスやソ連共産党の色に染まらない少年の逆説的な意味にも感じ取れたりする。
言葉がスラヴィック・エスペラント語という風変わりな言語だったり、ずっと白黒映像がリアルすぎると感じていたのがデジタル撮影ではなくフィルム撮影のシネマスコープだったりするからだとパンフで教えてもらった。フレーム内の人物の構図も斬新。ちょっと夢に出てきそう・・・
Kossyさん
有難うございます。
日曜日、又、出勤になってしまったので(半日ですが・・(涙))、会議の後、会社近くのミニシアタ―に多分、行きます。観たいのは、「靴ひも」「生きちゃった」「旅愁」です。
そこで、判断します・・。
では、又。
今晩は
今作、とても面白く”内容はシビアですが”鑑賞しました。が、パンフは購入せず・・(もう、映画のパンフ、何冊あるか分からず・・、本も、CDも・・、で最近は基本購入せず・・)。
私の勤務先の近くのミニシアターで今作が絶賛上映中で・・、パンフ買おうかなあ・・。
では、又。(読み応えありますかね?)
んでね、最近、バクラウって映画観たんですよ。
そしたら、あの目をくり抜いた親父役の、ウド・キアが出てきたんです。
ぬぉーって感じで、この映画も思い出しました。
バクラウも機会があったはみて下さい。