「2020年ベストムービー!⭐️⭐️⭐️✨」異端の鳥 stoneageさんの映画レビュー(感想・評価)
2020年ベストムービー!⭐️⭐️⭐️✨
これを観ずに死ねるかっ!…正にそんな一本。
今年最も必見な作品でしょうね!
ホロコーストの恐怖あるいは他者排斥を扱った作品…でも、ユダヤ人の大量虐殺もガス室も出て来ません…出て来るのは、ヨーロッパのどこぞの国の、閉鎖的な寒村と人々、そしてシャーマンとか兵士とか…エトセトラ(笑)
少年が話す言葉は、チェコ語?ポーランド語?
作品は、一人の少年が非道で理不尽な大戦下の世の中で、失われていく自分のアイデンティティを取り戻す…そんなお話(と言っても、まだ自我の確立もままならない年端もない少年が、人格すら否定される世界で、人間性を失って行きます)。
少年は、幾つもの季節を乗り越えて、長い長い、本当ぉ〜に!!気の遠くなる様な、なが〜い!!旅路を続けます…そこは正に地獄なんですけどね…。
少年にとって、地獄とは、正に自分自身が内に秘めていた(あるいは期待していた)"善"なるものへの裏切りの連続、もしくはそんな世界なんでしょうか…。山羊に嫉妬する場面は、本当に異様でした。
ラストの、バスの中のシーンは秀逸でした。
ジワッと来る、泣ける場面でした…長い旅路の末、少年は正に"自分"を取り戻すのです…
…あかん、
ラストシーンをまた思い浮かべると、また泣きそうになる(笑)
名作!!!
(追記)
観賞後、数日経って思うことは、この作品のテーマというか、より比重があるのは、ナチによるユダヤ人迫害とか異分子排斥というよりも、もっとストレートに"児童虐待"の告発にあるのかなと思って来た(ナチを告発するのに、ナチの中にも良い奴はいた…的な描写は必要ないと思うし…)。
つまり、あの寂寥とした風景やモノクロ映像は、虐待された者の心象風景だと思うのです。
一度は少年を捨てた、あるいは捨てざるを得なかった父に対する不信感、そして怒りは、父の身体に刻まれていた"番号"を少年が発見した時、全てが寛解します。
最後に少年の深く傷ついた心が救われたと感じるから、観ている私たちはとても感動したのだと思います。