「東欧発の作品の力強さを感じた」異端の鳥 kさんの映画レビュー(感想・評価)
東欧発の作品の力強さを感じた
夜と霧、シンドラーのリスト、戦場のピアニスト、ライフ・イズ・ビューティフル等、ナチス迫害を逃れる市政の人々を描いた作品は古くから多くあります。
本作の原作小説である「異端の鳥」は、60年代に発表されており、戦争の名残がまだ深く、戦争の惨禍を記録する意義が求められていた時代に生まれたものと想像します。
こうした時代における記録小説や映像の意義を踏まえると、もはや何度も語り継がれてきた物語をあえて2019年に映像化することに新鮮さを感じました。また、このようなリアルで骨太な映画を製作し受け入れられる東欧の受容力の高さや映画に対するリスペクトを感じました。
一方で、戦争の記憶は薄れていても差別や分断が拡大する現代において、人間が生来的にもつ他者に対する残虐さ、冷淡さを描いていることはとても普遍的な作品だと思います。
加えて、アゴタ・クリストフ原作「悪童日記」で描かれる、生まれ育ちとは別の文化、暮らしを強要され順応しなければ生き残れない、という世界観に本作と通じるものを感じました。
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