「優れた問題作」異端の鳥 ミーノさんの映画レビュー(感想・評価)
優れた問題作
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ナチスの迫害からの疎開先の祖母の家に一人送り出された少年が、祖母の死後、あちこちを彷徨い、生きるために色んなことをし、様々な人に会い、戦下という誰もの苦境の中、人間の本性を見せられながら、生き延びようとする物語。情のある人も中にはいるが、いたとしても幸運は続かずに、転々と場所を移るしかなく、それが1つずつ描かれる。戦時下だし田舎だし、教育は受けていないと思われるが、持って生まれたものなのか、少年はろくな人間に出会わないにも拘わらず、善悪を見極めつつ、その場その場で判断し、自分を見失わない。しかしそれも終盤で人を殺めてしまい、顔つきも変化していく。終戦後、とうとう父親と再会するが、普通の服を着て純粋に再会を喜ぶ父親に、これまで自分が経験したことを思うと許すことが出来ず、これまで出会ったどのクズ人間よりも冷たく激しく父親に当たる。しかし父親の腕にホロコーストの番号が刻まれているのを見て、真実を知るのだった。
製作に11年かけ、舞台がどの国か特定しないようスラヴィック・エスペラント語という人工言語を用いて撮影したらしい。
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