「人間とは何か」異端の鳥 ワンコさんの映画レビュー(感想・評価)
人間とは何か
この作品には想像を超えた凄みがある。
モノクロのクリアな映像を通して見る少年や人々の大写しの強烈な表情が、頭から離れなくなる。
そして、作品は、人間の本性とも異なる、人間とは一体何なのか、根源的な問いを投げかけているように感じるのだ。
ユダヤ・キリスト教的に言えば、神の作りたもうた人間とは一体何なのかだ。
戦争の悲劇とか、ユダヤ人のホロコーストとか、戦時中を描いた作品によくあるテーマとも完全に一線を画す。
「地獄の黙示録」を初めて観た時にも突き放された感覚を覚えたが、その感覚を更に突き放す感じさえある。
少年の出会う多くの人は、どこか人間というより動物的だ。
チャプタータイトルの名前が、かろうじて人間であることを示していると言っても差し支えないほどだ。
心優しい人もいるが、早くに命を落としたり、少年の元を去る。
そして、人間の最も醜い部分が、獣のような部分が、場所や人を変えながら語られる。
女性の獣と交わる場面は衝撃だ。
そして、少年の変容。
少年は成長したのか。
この試練は神の望んだことなのか。
生きるとは何なのか。
人間が生きるとは何なのか。
オリジナルタイトルの、The Painted Bird の意味は、割と早い段階で示唆され、物語の暗澹たる行方をも暗示する。
だが、無垢な人間の本質は善であるのに対して、色塗られて、つまり、様々な経験を通じて変質してしまうという意味のようにも感じられる。
少年の名前は何か。
名前と共に少年は人間性を取り戻すのか。
この演出や映像を不快に思う人もいると思う。
人間の奥底に眠る「何か」に向き合う作品だと思う。
ワンコさん、やっぱり疲れました!
家に帰ってパンフ読んでたら、すべてを思い出してしまい・・・やはり凄いわ。しばらく記憶に残りそう。
直接的なグロ映像はなかったし、それなのにここまで残酷だと思うとは。やはり人間の中身を見てしまった感じかなぁ・・・
今晩は
私は、基本的には、鑑賞後に気に入った作品もしくは何か言いたくなった作品はなるべく早くささっとレビューを書く主義ですが、今作は”夜遅く見て、ボディブローのようにじんわりと効いてきて、疲れた”事もありますが、テーマが重くて、暫く”寝かして”いました。
けれど、作品自体は(不謹慎かもしれませんが)とても面白く、変な表現ですが”映画を観たぞ!”と深く感じた映画でした。
もう少し、的確でシンプルな表現でのレビューにしたかったのですが、又ダラダラと感想を書いてしまいました。
何となく、”何年たっても詳細まで覚えているだろうなあ‥”と思った映画でもありました。
では、又。