マリッジ・ストーリーのレビュー・感想・評価
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自分がしたいことをするために、人に人のしたいことをさせる、ということ
良い映画だった。好きなシーンは二つ。
アダム・ドライバーが新しくLAに借りたアパートで、スカーレット・ヨハンソンとアダム・ドライバーが喧嘩するシーン。迫力とか、涙目になるタイミングだとか、声のスピード、音量だとか、なんていうか凄くて見入ってしまった。
もうひとつはたぶんみんな好きだと思うけど、アダム・ドライバーがNYのバーで「Being Alive」を歌うシーン。切ない。歌詞がとてもいい。書き起こしてみよう
Being Alive
誰かが君をきつく抱きしめ 誰かが君を深く傷つける
誰かが君のイスに座り 君の眠りを妨げる
誰かに過剰に必要とされ 知られすぎている
急に引き上げられたと思ったら 地獄に落とされる
生きてる 生きてる 生きてる
誰かが僕をきつく抱きしめ 誰かが僕を深く傷つける
誰かが僕のイスに座り 僕の眠りを妨げる
僕は気づく 僕は生きているんだ 生きてる
誰かに過剰に必要とされ 知られすぎている
急に引き上げられたと思ったら 地獄に落とされる
そして僕が 生きるために支えてくれる 僕を生かすために
僕を混乱させて 褒め言葉で馬鹿にして 使い古しにして 日々を変えてしまう
でも孤独は 孤独でしかないんだ
生きているとはいえない
誰かに愛をもって求められ 誰かの面倒を見させられる
誰かの近くに呼び寄せられ 僕は君と同じようにおびえたまま
僕らが生き残るため 生きてる
僕は生きているんだ
歌い終わって拍手も歓声もないのがいい
自分を曲げない、自分を強く持っている、信念がある、人に何か言われても自分を貫き通す
それは格好良く、美しい生き方のように見える。
それは、守るべき人・もの、共に生きていく人・ものがない場合にはとてもシンプルなのだと思う。
自分がこうしたい、と思うのはいいが、それと同じかそれ以上にいつもとなりにいる誰かにもその人がこうしたいと思うことをさせるべきということ
こうしたい、と思うものが出てきやすい人と、出てきにくい人の違いはある。
それを誰か・自分と一緒にやりたい人もいれば、それを一人でやるための時間が欲しいと思う人もいるかもしれない。
ただ、程度の差、強弱はあれど、「私はこれがしたい」と思わない人なんていない
だから、自分に都合がいいようにではなく想像力を働かせて周りを見た方が良い、ということ
そうすることが、健全に、自分が自分を貫ける環境・土壌をつくっていくことにもつながるはず。
そう思った。
旬な俳優陣が魅せるまさにキャリアハイの名演
かつて映画女優として名を馳せたニコールとNYの売れっ子劇作家のチャーリーの夫婦が離婚へと踏み出した姿を描いたヒューマンドラマ。
2010年代終盤戦に発表された今作は、同時期に映画業界の二大巨頭MARVELとSTAR WARSにてそれぞれ主要キャストを務めていたスカーレットヨハンソンとアダムドライバーの2人によるキャリアハイともいえる名演を堪能できる作品として話題を呼んだ。
離婚調停の手続きが進んでいく中で垣間見えるニコールとチャーリー夫婦の戸惑いや後悔、お互いを許容したいと考えつつも何度も衝突してしまうことへの苛立ち、そして愛する息子ヘンリーの存在など物語の構成上控えめな演出ながら主演2人の演技力に引っ張られ、感情移入が止まらない点が印象的だった。
中でも終盤の殺風景なチャーリーのロスでの新居にてお互い戻れないところまで来てしまったと感じたニコールの提案により2人で話そうと切り出した約10分間の会話劇は映画史に残る名シーンといえると思う。
理性的に始めた会話がだんだんと熱を帯び、最後には感情剥き出しの罵り合いに発展していく様をニコールは悔しさと悲しさと怒りがごちゃ混ぜになったような表情で、チャーリーは大袈裟な身振り手振りで表現する様が素晴らしく、何度でも見返したくなってしまう圧巻な演技は必見だ。
多くの方が感想を述べている通り、観賞後大切な誰かと居たくなる気分にさせてくれる不思議な作品。
離婚劇のはずなのに『マリッジストーリー』という矛盾したタイトルがこうもしっくりくるのが秀逸。
2019年12月16日(月)1回目@Netflix
2021年09月15日(水)2回目@Netflix
夫婦の心象描写がぐさりとくる
冷めた想いもなぜか温かい
あなたにとって家族とはなんだろうか。
離婚調停で争う話なのに、どこか優しく温かい物語。一度想い合った人と人の絆はそうそう切れるものではない。「子は鎹」とはよく言ったもので、そこには子どもの存在が大きい。連れ添う当事者ふたりの問題ではなく、家族としての選択となるのだ。
核家族による生活スタイルが一般化し、子育てへの負担からネグレクトやDV、そして離婚に一人親家庭の社会問題が根深い現代において、拡張家族といったコミュニティで子どもを育てるというリベラルな考えも広がってきている。それでも、一緒にいることがすべてではないが、やはり子どもにとって実の両親は大切だと感じる。(生まれたすぐからの育ての親であれば話は別なのであろうか)
そして、離婚にもそれぞれのかたちがある。本人たちにしか分からないことで、周りが一概に否定できるものではない。形態はどうであれ、できる限りストレスなく幸せに生きていくことがなにより尊いわけだから。
それにしてもスカーレット・ヨハンソンが離婚の経緯を吐露する長回し&長台詞の演技には圧巻。リアルの舞台を観ているかのような臨場感だった。
アカデミー賞にも6部門でノミネートされた作品。(離婚弁護士役のローラ・ダーンが助演女優賞を受賞)『ROMA』につづき、ショーレースでもNetflixオリジナル映画の存在感が増してきている。
リアル過ぎて、引くわ!
マリッジストーリーではなく…
母 スカーレット・ヨハンソン
ゴーストワールドで、
サブカル女子ウケ一直線な感じにいくのかと思っていたけども、
すっかり、ハリウッド女優でスゴイね、スカーレット・ヨハンソン。
ソーラ・バーチは元気でしょうか?
しかし、最近は、すっかりお母さん役も演るようになって、
また、それが非常に良かったりして...。
ジョジョ・ラビットもめっちゃ良かったもんなー。
スカーレット・ヨハンソンって、いいなー。
アダム・ドライバーも良かったけど。
ただ、このご夫婦、クリエイティブ系だからなー。
わたくし夫婦経験ないから、周りの離婚した人たちと照らし合わせてみたけど、
ちょっと、コジャレ気味なんだよね。
嫁の家族の感じも苦手。アホっぽい。
この二人だから、あんなに子どもに甘いのかぁ...とか思ったり。
あと、他人様の強烈な夫婦の喧嘩を観せられて、ちょっとイラっとした。
まぁ、要はテーマが自分好みじゃなかっただけだな。
妻から、親しい他人になっていく過程
マリッジストーリーというタイトルと
YouTubeに挙げられている予告編で
てっきり、結婚するまでの過程のお話かと思っていたら…
結婚に区切りをつけて、離婚へと向かう過程を描いた映画です。
私がよく見る映画で
アダムドライバーはコメディで出てくるキャラクター役
スカーレットヨハンソンは、スーパーヒーロー役
と世間一般から離れたキャラクターを二人とも演じています。
本映画は、そんな二人が
どこにでもありそうな、大人の男女関係でこじれていく物語を演じております。
徐々に親しい他人になっていく過程で起こる
気持ちのすれ違い、意見の衝突を
二人の今までに見たことのないような
素晴らしい演技で見ることができます。
ぜひ見ていただきたいです。
魅力あるスターが演じた夫婦
TEDのネット配信でアダムドライバーの講演を聞いて感動したことがある。
とんとん拍子な印象をうける俳優だが海軍を経てジュリアードに学んだ。
その来歴を語っているのだが、鷹揚で理知とユーモアに富み、ゆたかな人間性が見えた。
かれはおそらくFrances Haで初めて見た。
それからスターウォーズや沈黙やパターソンなど──おや、ここにも──という感じで諸処で見た。
バームバックもジャームッシュもスコセッシも、ルーカスフィルムも彼を選んだが、起用される理由は明瞭だった。とても魅力的な俳優だと思う。
さいしょ造作の大きい人だと思った。背が大きい。鼻が大きい。口が大きい。耳が大きい。素朴で飾り気がなく、ハリウッド風のオーラをまとっていない。美男だが、容貌魁偉でもある。異彩があり、人混みに埋もれない。
加えて、ヨハンソンに関しては、ブロックバスターな大作でしか見ていなかったせいで、この映画で巧者なことを知った。
なんなんだ、やたら演技派じゃないか──という感じ。まったく目鱗だった。
普通人を演ると、ほんとに普通である。いじってない顔。ゆるい涙腺。目尻や鼻梁に寄る小皺。ナチュラルでmotherlyで、誰からも好かれるのが解る。
したがって、この映画を見て、妙な言い方だが、スターがなぜスターなのかが解った。
どうしても魅力的な二人だった。
どこかで見たような話だが、離婚のすったもんだ話が、普遍性を帯びてしまうのは、仕方がない。
バームバックが得意とする話でもあり、よく練られてもいるが、登場人物の仕事や立場が、バームバック夫妻と近いので、身売りゆえのリアリティがふんだんに感じられた。
また、映画は当事者の争いであると同時に、それぞれの弁護依頼人リオッタとダーンの対決でもあった。
気の滅入る離婚話なので、依頼人の人物像は思い切った誇張をしている──ように感じた。
ノラ(ダーン)は年甲斐もなくフェミニンで、ジェイ(リオッタ)は旧弊な頑固親父である。どちらも、持論に凝り固まっていて、自己完結していて、すごく強い。
レイリオッタはサムシングワイルドから惹かれている。饒舌になって紅潮してくる様子が笑えた。強面とトロい滑舌が好きだ。およそ世界一分かり易い短気顔で、高揚すると、こめかみに漫画チックな『井』が浮かぶ。
ふたりとも主役を食いそうな勢いだった。
ところで、きょうびの離婚は勘違いもしくは未成熟な結婚の末路が多い──ような気がする。
財産ではなく感情について、この映画のように、しっかりと向き合って争うことは、減っていくのではないだろうか。が、激しく争うのは相手のことを重んじているからに他ならない──愛に対して真摯な人たちだと思う。だから、こういう話は、自分のお粗末な離婚と比べてしまうせいで、なんかまぶしい。
夫婦の関係性
夫婦の関係性を土地や職業をメタファーにし、巧みに表現した恋愛映画
夫は妻を理想の妻であるよう指導する舞台監督であり、仕事で周りが見えない様はまるで真っ暗で外の見えない舞台の演劇場そのものだ。
また、子供のためにロサンゼルスには移住しようとせず、舞台の街ニューヨークに閉じこもる。
一方女優の妻は、夫の理想を演じることに疲れ、有名になることを望んで映画の街ロサンゼルスに住むことを決意する。
ニューヨークという閉じた街(歩く街)から、ロサンゼルスという開けた街(車で移動する街)に移住し、アメリカのスター女優になることを夢見る。
しかし、舞台監督と女優の間に生まれた子供が、本が読めず、数学が得意という点は負に落ちない。
心の機微が絶妙に描かれる
夫婦と恋人はイコールではない。
愛が残っているからこその離婚
離婚劇というよりは離婚の理由や夫婦の行き着く先を描いた作品。
スターウォーズのイメージが強いアダム・ドライバーだけど正直こんなに演技力があるのかと驚いた。
スカヨハとの喧嘩のシーンは本当にすごかった!喧嘩が進むにつれて意味もなく悪口を浴びせて、冷静さを取り戻した後の2人は本当の夫婦に見えたし。
一見まだまだやってける2人。離婚なんて勿体ないのにと誰もが思ったはず。
しかしそこには個人の抱える問題だったりが浮き彫りになって映画を観た後は離婚して正解だったな、と思えた。
愛が完全に無くなり夫婦仲が崩壊し子供や親にまで迷惑かけてドロドロ裁判。こんなのは確かに嫌だ。ならば崩壊する前に離婚した方がいい。そんなテーマを繊細なストーリーで紡いだ作品だった。
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