「結婚を夢見る人は決して見てはいけない」マリッジ・ストーリー いのゆうさんの映画レビュー(感想・評価)
結婚を夢見る人は決して見てはいけない
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タイトルはマリッジだが、内容は皮肉にも離婚の物語。舞台監督の夫チャーリーと女優のニコールは、お互いのキャリアの方向性などのちがいから、結婚生活を終える選択をする。はじめは友好的な別れのように見えるが、離婚協議のため弁護士を立てた途端に状況は一変する。一人息子のヘンリーなどを巡って争う弁護士同士の競争心は、離婚協議をビジネスとしてしか見ていない容赦ないもの。自分にもいつかこんなことが起こるのかもしれないと思うとゾッとする。友好的な別れなんてやはり幻想なのかもしれない。
個人的には、やはり元夫婦の2人が本気で口論し、罵り合う場面が見どころであるように思う。ニコールの姿がまさに自分と重なるように見えたのは、きっとわたしだけではないはず。他人事とは思えないその姿が、トラウマになるほど鮮明に脳に焼き付いている。
一度は生涯を添い遂げる決心をした2人が離婚に至るということは、やはりそれなりの理由やそれぞれの思いがあるわけで、離婚協議が争いと化してしまうことも、喧嘩がヒートアップすることも納得できるような気がする。それでも一度は本気で愛した相手なのだから、最後には別々の道を歩む新たな門出を祝福し合う、そんな関係になれたらいいのだと思う。とにかく、結婚経験者にはとても刺さる作品。
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