マリッジ・ストーリーのレビュー・感想・評価
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同じものを見ていても同じように見えてるとは限らないのよね。
「結婚あるある」を見事に表現した作品。男がとか、女がじゃなくて双方の思いに頷いたり胸が痛くなったり。
この監督の視点って、当たり前なんだけど当たり前じゃない瞬間を愛おしさが伝わる視線で切り取るところが好き。
夫婦って、所詮他人なのに時間と経験を共有することで家族になっていくと思うのね。でも、最後の最後はやっぱり他人同士だから全部が全部解り会えないし譲る譲らない問題になる。一番身近で制度上、密に人生の課題に取り組まざるを得ないから感情的ににもなるし忖度もするし、勝手に決めつけちゃったりする。こいつは絶対にこういうヤツだ!みたいな。
でも、夫婦って他人同士だから同じ時を過ごしても成長は等速じゃない。当たり前だよね、生きてきた文化も違うしその後の環境だって完全に同じじゃないもの。
はいはい、これは自分に言い聞かせてます。でもね、でもねなのよ。イライラしちゃうし、言いたくなっちゃうのよね。
あー、でもこれは向こうも同じこと思ってんだろね。
ツラいのに温かいストーリーでした。
一旦「違う」と感じたら、行き着くところまで行く結婚生活の末路
映画監督で脚本家のチャーリーは、ハリウッドでは人気女優だったニコールと恋に落ち、結婚してからはチャーリーの故郷ニューヨークで暮らしている。しかし、互いの価値観の違いから離婚を決意した2人は、当初は円満な協議離婚を目指していたが、別れるとなった途端、意識のすれ違いが俄然表面化して、各々が弁護士を立てて法廷闘争へ。これまでは、「クレイマー、クレイマー」がギリギリ扱っていた問題を、さらに、容赦なく掘り下げようとするのが本作。興味深いのは、離婚という個人の問題が、弁護士の手に委ねられた途端、全く異なる力学によって"劇場化"してしまう点。夫婦の諍いの原因が、ニューヨークvsロサンゼルスという、アメリカ映画が長らくテーマにしてきた土地柄と気性の違いにもあることを、露わにしていく点。何よりも、相手に対して感じた違和感を徹底的に追求した先にある、自分と他者の間にある溝の深さだ。一旦「違う」と思ったら最後、行き着くところまで行ってしまう結婚という行為のギャンブル性が、そして、人間という生き物の脆さが、深く身に沁みる映画である。
とにかく主演2人の熱演に圧倒される
当時は本作をあまりチェックしていなかったのだが、最近今さらではあるが主演の2人の魅力に惹かれてきたことと、第92回アカデミー賞6部門ノミネートで助演女優賞受賞との高評価により鑑賞。
ストーリーとしては、比較的一般的なヒューマンドラマではあるが、やはりこの主演2人の熱演が交差すると、その演技力の高さに圧倒される。そして、とてつもない切なさに胸が締めつけられるようだ。
特に、スカーレット・ヨハンソンの女弁護士への独白シーンと、アダム・ドライバーとスカーレット・ヨハンソンの罵倒し合うシーンは、何度も観直したくなるほどの好演技だ。セリフの多さも圧巻だ。
そんな中で所々コメディタッチに描いているところも良いスパイスになっている。
通常この手の親権争いはどうしても100%子供に同情してしまうものだが、本作は夫婦双方の肩すら持ちたくなってくる。この不思議な感情は、冒頭での互いの長所の映し出しと、やはり主演2人の演技力の高さに起因するものなのだろう。
本作は特別感動するとか目が離せないほど面白いとかではないのだが、とにかく胸の深いところまでグッとくる。
個人的にはアカデミー主演男・女優賞もぜひ受賞して欲しかったかな。
ディボース・ストーリーではなく、確かにそこにあったマリッジ・ストーリー!
冒頭に、相手の長所が流れる。朗読とともに幸せそうな結婚生活が描写されるが、まさか離婚に向けてのプロセスだったとは!
ニコールが、結婚によって自分という個がなくなっていくように思える気持ちは、同じ女性としてよくわかる。夫の浮気が一つの起爆剤だったかもしれないが、自分を取り戻すべく、離婚を決意したニコールに対し、夫のチャーリーが、寝耳に水な感じで、全くニコールの気持ちに気付いていないのも、女性から見た男性としてリアルだ。
スカーレット・ヨハンソンとアダム・ドライバーの演技が光る!涙を流しながら罵り合うシーンは、相手に対する憤りをぶつけつつも、本当はこんなこと言いたくないのに…という複雑な気持ちを表現している。
一方、離婚を決めてからも、至るところに夫婦愛が感じられるシーンが良い。決めきれないチャーリーの代わりにメニューを選んであげたり、ほどけた靴紐も結んであげたり…
最後にもう一度、ニコールが書いたチャーリーの長所が出てくる。息子とチャーリーによって朗読されるのを聞き、ニコールもチャーリーも涙ぐむ。夫婦だったんだな、と。でも終わってしまったんだな、と気づき、ふと悲しい余韻が残る。
ディボース・ストーリーではなく、確かにそこにあったマリッジ・ストーリーを、愛情深く描く素敵な映画だった。
見るのも苦行
主演2人が大好きな役者で、アカデミー賞の候補にもなってたので見た。
キツかった。
2時間の間に何度も罵り合うシーンがあり、見てるコッチの忍耐力も必要。
途中、何度も見るの止めようと思ったほど。
感想メモ
結婚って難しいな…
母親は自由に遊ばせているけど、あまり教育面に力を入れなさすぎな気がする、父親はその逆、子供からしたら、そりゃねって感じ
お互いに相手が求めるものが自分のやりたいことと違っているのに、我慢してそれに応えようとして不満を溜めている、言ったつもり、分かってると思ってたは危険!
主演2人が言い争うシーンは感情が乗りまくってて凄い、泣いてしまった
離婚の物語だけどマリッジストーリー、愛が無いわけではない、それがつらい。
互いの好きなところを書いた手紙、最初の離婚調停で読むはずだったものを最後に持ってくるのがずるい
夫婦のリアル
愛し合って結婚したはずの2人が互いに罵り合い離婚裁判にまで発展していく過程が見ていてつらかった。子供も我慢してる。お互いのいいとこも分かってるんだけどいつの間にか歯車が狂い、敵同士になってしまう。結婚って難しい。
最後の方で、夫のいい所をあげた妻の手記を夫が読む場面で、「出会って2秒で恋に落ちた」ってところは泣けたなあ。
スカーレット・ヨハンソンの演技がうまいなあと思って見ていた。
ぐぅぅ
体調悪くて、なんか心温まるヒューマンドラマを観たいと思って観たら、ちょっと違った…
コメディもあるけど、めちゃめちゃリアルな人生ドラマ…。はい、調べない僕が悪いです。
役者さん達の演技すごくて、みんな天才だなとは思いました。特に最後の方のドライバー兄さん。
でも、ちょっと長いし退屈かなと思ってしまいました。。が、エンドロールが出た瞬間に、なぜか2人の結婚人生が自分のことかのように思い出しちゃって
ぐぅぅぅ!ってなりました。急に良い映画だな!って思いました。
そうなんよなぁ!人生って、割り切れない、やりきれないけど悪くもないよなぁ!!どの選択がいいとか悪いとかじゃないんよなぁ!!
…と、相も変わらず昔の彼女を思い出してしまいましたとさ。
30過ぎの人にオススメです。
来月結婚するので、とりあえず、コミュニケーションはちゃんと取ろうと思いました。
長く一緒に暮らしてきたからこそ
わかる。こういう関係。
小さい不満が少しずつ溜まって、とうとう溢れてしまった
一旦こぼれてしまったものは元には戻らないし
思ってもみなかった最悪の不満も相手にぶつけてしまう
小さな不満はその都度ぶつけていればこんな結果にならなかったかもしれないけど、戻れない
その後お互いに幸せそうで良かった
一緒にはいられないけど
ニコールの長所「気まずい場面で相手を気遣える。人の話をよく聞く。家族の髪を切る。片付けや家事は苦手だけど、僕のために努力している。贈り物のセンスがいい。息子と本気で遊ぶ。負けず嫌い。映画スターへの道が拓けたのに、僕の舞台に出るためにニューヨークへ来てくれた。僕が一番好きな女優だ。」
チャーリーの長所「意志が強い。他人に何を言われようと、自分がしたいことをする。几帳面。映画でよく泣く。家事が得意。服のセンスがいい。負けず嫌い。嫌になるほど子煩悩。没頭する性格。劇団のまとめ役で研修生にも気を配れる。」
相手のことを尊重し合うとても理想的な夫婦の物語が始まるかと思えば、実はこれは離婚調停で弁護士が互いに書き出させたものだった。
別れる前にもう一度出会った時の気持ちを思い出して欲しいと。
しかし二人の仲は修復出来ないほどに壊れていた。
二人の間に愛がなくなったわけではない。それでも男女の間には一緒にいられなくなる理由が生まれてしまうことがある。
チャーリーは舞台の演出家、ニコールは女優だ。
よく芸能人がすぐに破局するニュースを目にするが、それはどちらも同じ業界にいて、夢を追う仕事をしているからではないかと思う。二人の間に格差が生まれてしまうと関係を続けるのが難しくなってしまう。
チャーリーとニコールの関係の悪化も、二人の仕事に対する想いの違いから始まってしまった。
ニコールは気づいてしまう。自分はチャーリーの才能を引き出すための道具になっていると。
思えば最初に書き出した互いの長所の列挙も、チャーリーはニコールが自分のためにしてくれたことを重視しており、ニコールはチャーリーの家族や劇団での人に対する接し方を重視しているようだ。
ニコールはチャーリーを自分勝手だと責める。
チャーリーもニコールが自分を家庭に縛り付けたと責める。
本当は二人とも弁護士を通さずに穏便に事を済ますつもりだった。
そして一人息子のヘンリーを巻き添えにしないと。
しかしどちらも親権を主張したために、二人の話し合いだけでは問題は解決しなくなる。
弁護士が介入したとこにより離婚調停は泥沼化する。
二人には喋らせないで、弁護士同士がいかに二人が親としてふさわしくないか罵り合う場面は観ていて痛々しい。
二人は嫌でも自分たちの恥部を見せつけられてしまうことになる。
歯止めが利かなくなるのは、二人とも負けず嫌いで、お互いが自分が正しいことを主張するからだ。
可愛そうなのは二人に振り回されるヘンリー。もっとも二人の深刻さをそれほどまでに感じていないようではあるが。
二人以外は劇団のメンバーもニコールの親族も、そしてもちろんヘンリーも離婚など望んでいない。
二人が話し合いを持とうと歩み寄るが、結局罵り合いになってしまう場面は印象的だった。
お互いにそれを言ったらおしまいだというぐらいに強烈な言葉を相手に浴びせるが、本当に憎み合っている者同士ならおそらく口すら利かなくなるだろう。
お互いに対する尊重の想いはあるのに、それでも一緒にはいられない男女の仲の複雑さを考えさせられる。
冒頭のお互いの長所を書き出したメモを、お互いが発表し合う機会はなかった。
けれど、そのメモが最後にとても感動的な形で使われる。
二人は一緒にはいられないけれど、これからもお互いを尊重し合える存在として、そしてヘンリーの良き親としての関係は続いていくのだろう。
一言「いろんな形が、あっていいんじゃ?」。
冒頭夫婦が、お互いの「良いところ・好きなところ」を手紙にして語る。
と思ったら、それは離婚調停前の儀式で。
子供のため・キャリアのために、お互い我慢して一緒にいたけど。
元に戻るのか、それとも。
覆水盆に返らず、ほころんだ糸は直せない。でも。
そんな思いを、調停前の弁護士との話し合いの中で。
色々思いだして、その関係を振り返っていくところ。
わかる気がする。一度は縁があって一緒になったんだからね。
終盤に、最初の「褒め手紙」がリフレインする箇所。
ああ、ここで使いたかったからかとズシン。
「君だけの居場所が必要だ、と言って欲しかった」。だよねだよね!。
調停の弁護士が、レイ・リオッタVSローラ・ダーンと豪華でした。
⭐️今日のマーカーワード⭐️
「私たちは話し合うべきね」
1度愛したもの同士
夫婦というのはどういう関係なのか、
私はまだ体験したことが無いけど、私の両親を見て思うのが1度愛して長く一緒に住んでしまえばお互い離れられなくなってしまうのではないかと思っています。しかも現代では夫婦には同等の権力があるのが当たり前だから。
共依存というか、、
それゆえ仲が悪くなってしまったり、相手にいちいち腹を立ててしまったり、素直になれなかったり。
でもすこし前までは愛し合い尊重し一緒に長い時間を過ごしてきた相手であって、でも今の夫婦間のモヤモヤだったりイライラを無くすことはできない。
一方的に断ち切れないほど強く結ばれた関係だし
そういう非常に難しい関係。
大人になれば色々あるのだなあと思わせられる。
没頭させられるスクリーンの形、フィルムの色、音楽、それに素晴らしい俳優たちのおかげでドキュメンタリーのようにも感じられた。
絶対おすすめの映画です。
アダム・ドライバーの芝居がリアルで、しかも歌ってる場面もあるので私のようなアダム・ドライバー推しにはピッタリだとおもいます。
駄目な母親は社会的にも宗教的にも許されない。 ユダヤ教とキリスト教の根底には聖母マリアだから
『駄目な母親は社会的にも宗教的にも許されない。
ユダヤ教とキリスト教の根底には聖母マリアだから。しかし、父親は天国に神としているからいつも不在。
母親は何時もマリアの様に完璧を望まれる。』弁護士ノラの台詞。
一度の浮気と壁ドンは男が悪い。男目線だが、ややフェミニストな離婚までのコメディ。面白かった。
夫婦ってこうなの?
離婚裁判がエンタメになるのか?
なるんですね。すごい。
後半の離婚裁判、なりふり構わない殴り合いの舌戦を代理人が繰り広げ、夫婦仲も壊れれかけてしまう?!の後の名シーンの後、裁判長が投げて送られてきた監察官の判定という虚しい決着。結果的には、本当に円満に、むしろ夫婦仲は良くなったんじゃないかなぁと思いました。子供は大変だけど。
改めて考えたら、これだけのものをよく圧縮したなぁと。
素人の世迷言なんですけど、
脚本と監督できて受賞歴があって天才奨学金貰ってるほどの実力者ならLAでも通用しそうだけど完璧主義者かぁ。
だけど、ブランクのある女優(元は映像)のマジワンチャン(確変で連チャン期待大)ていう設定もうまいなぁと思いました。
はぁ、腹いっぱい。
リアルな離婚を描いた作品
リアルな離婚間際の夫婦を描いた物なので、終始他人の喧嘩を見せられているかのような苦痛を感じた。役者の演技が上手く、良く出来ている作品だが、テーマが重いため自分には合わなかった。
自分がしたいことをするために、人に人のしたいことをさせる、ということ
良い映画だった。好きなシーンは二つ。
アダム・ドライバーが新しくLAに借りたアパートで、スカーレット・ヨハンソンとアダム・ドライバーが喧嘩するシーン。迫力とか、涙目になるタイミングだとか、声のスピード、音量だとか、なんていうか凄くて見入ってしまった。
もうひとつはたぶんみんな好きだと思うけど、アダム・ドライバーがNYのバーで「Being Alive」を歌うシーン。切ない。歌詞がとてもいい。書き起こしてみよう
Being Alive
誰かが君をきつく抱きしめ 誰かが君を深く傷つける
誰かが君のイスに座り 君の眠りを妨げる
誰かに過剰に必要とされ 知られすぎている
急に引き上げられたと思ったら 地獄に落とされる
生きてる 生きてる 生きてる
誰かが僕をきつく抱きしめ 誰かが僕を深く傷つける
誰かが僕のイスに座り 僕の眠りを妨げる
僕は気づく 僕は生きているんだ 生きてる
誰かに過剰に必要とされ 知られすぎている
急に引き上げられたと思ったら 地獄に落とされる
そして僕が 生きるために支えてくれる 僕を生かすために
僕を混乱させて 褒め言葉で馬鹿にして 使い古しにして 日々を変えてしまう
でも孤独は 孤独でしかないんだ
生きているとはいえない
誰かに愛をもって求められ 誰かの面倒を見させられる
誰かの近くに呼び寄せられ 僕は君と同じようにおびえたまま
僕らが生き残るため 生きてる
僕は生きているんだ
歌い終わって拍手も歓声もないのがいい
自分を曲げない、自分を強く持っている、信念がある、人に何か言われても自分を貫き通す
それは格好良く、美しい生き方のように見える。
それは、守るべき人・もの、共に生きていく人・ものがない場合にはとてもシンプルなのだと思う。
自分がこうしたい、と思うのはいいが、それと同じかそれ以上にいつもとなりにいる誰かにもその人がこうしたいと思うことをさせるべきということ
こうしたい、と思うものが出てきやすい人と、出てきにくい人の違いはある。
それを誰か・自分と一緒にやりたい人もいれば、それを一人でやるための時間が欲しいと思う人もいるかもしれない。
ただ、程度の差、強弱はあれど、「私はこれがしたい」と思わない人なんていない
だから、自分に都合がいいようにではなく想像力を働かせて周りを見た方が良い、ということ
そうすることが、健全に、自分が自分を貫ける環境・土壌をつくっていくことにもつながるはず。
そう思った。
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