「『つむぎ』」いつか… いぱねまさんの映画レビュー(感想・評価)
『つむぎ』
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“OP PICTURES+フェス2019”作品群の1作品。
2005年に公開した同監督作品の後日譚だということを、上映後の舞台挨拶で初めて知った。そしてその作品を覚えていないと多分今作を理解出来ないのではないだろうかとかなり不親切な内容だと感じてしまったのである。というのも、どうしてこのスナックの夫婦が今時点に行き着いたのかのきっかけや説明が薄ボンヤリなので、共感性を掴みあぐねてしまうのである。なんだか都合の良い心理の妻と、昔取り返しの付かないことをしでかした夫の関係性がもっとクローズアップというか細かい説明が欲しかったのだが、多分そのヒントが前述の通りなのであろう。知ってると知らないではその作品への理解度が雲泥の差になる作品なのではなかろうか。
それが最も顕著に表わされたのが、マスターが主人公の女の子に自分の過去の過ちのエクスキューズをする内容が抽象的な言い回しの為、真実を求めたいとする欲求をへし折られてしまう。端的に言えばついて行けなくなるのだ。そもそも主人公の捉えどころの無さ、空虚さ、実体としての自信のなさみたいなものは、過去作の主人公のそれと同じ設定であり、執拗に妻がその主人公を受容れようとする姿勢の異様さも又、過去作を鑑賞していれば納得するのかも知れない。そこから紐解くと、マストで過去作を鑑賞してないと理解出来ない仕上がりになってしまっているのが、どうも制作側の独り善がりのような感が否めない、困った作品であった。
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