キッチン
劇場公開日:1989年10月29日
解説
祖母を亡くし、天涯孤独の身となったみかげは、生前に祖母の知り合いだったという雄一の誘いで、彼のマンションに住むことになる。そこには、雄一の母・絵里子(実はゲイの父親)も同居しており、女ふたり(?)と青年との奇妙な共同生活が始まるが……。映画初出演のスーパー・モデル、川原亜矢子の透明感がハマっている。橋爪功の好演、松田ケイジの不思議な存在感も印象的。
1989年製作/106分/日本
劇場公開日:1989年10月29日
劇場公開日:1989年10月29日
祖母を亡くし、天涯孤独の身となったみかげは、生前に祖母の知り合いだったという雄一の誘いで、彼のマンションに住むことになる。そこには、雄一の母・絵里子(実はゲイの父親)も同居しており、女ふたり(?)と青年との奇妙な共同生活が始まるが……。映画初出演のスーパー・モデル、川原亜矢子の透明感がハマっている。橋爪功の好演、松田ケイジの不思議な存在感も印象的。
1989年製作/106分/日本
劇場公開日:1989年10月29日
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2024年8月31日こんなに多幸感に包まれるのは久しぶりです
(昔はよく映画を観ると多幸感に包まれましたが、大人になるにつれその感覚はどんどんなりを潜めていきました)
具体的にここが良かった、といつものように感想が書けません
頭の中は暖かいものに包まれてぽうっとしてしまってます
(こどもの時ビデオテープで借りて観た時は分からなかった事ごとが、今なら分かるシーンが多くて
ようやく、こどもの頃拾えなかった宝石たちをたくさん拾えたような、嬉しい気持ちでいっぱいです)
いつか感想が書けたらいいな…素敵な作品を再び視聴できて、ほんとうに有り難いです
橋爪功さん、女性姿が美しい。
スカートを穿いてマンションの部屋に入って来た時美しい女性にしか見えず
顔をよく見てわかりました。
役名も絵里子と女性名。
川原亜矢子さんも姿がさすがに美しい。
ゆっくりした喋り方が作品の雰囲気に合って
素敵なマンションの美しいキッチン。
ー 主演のみかげを演じた、川原亜矢子さんの事は今作で初めて知ったが、透明感ある化粧っ気のない姿が印象に残った。
この方は、ファッション・モデルとしてトップランナーとして活躍されているそうである。
成程。
”一時に通じる人は万事に通じる”を実践している方なのだなあ。ー
■幼い頃に両親を亡くして以来、祖母に育てられたみかげ。
その祖母も亡くなり、天涯孤独になった彼女は、祖母の友人であった雄一の好意で彼のマンションに住むことになり、雄一の母親で実はゲイの父親(橋爪功)を合わせた3人での共同生活が始まる。
◆感想
・今作は、今から30年以上前の作品であるが、雄一の高級マンションの内装など、あまり時代を感じさせない。
・森田監督の脚本は、原作の要素を残しつつ、大きく改編している。故に、ややバブル時代の要素を感じつつも、品性あるラブ・ストーリーとして屹立している。
ー みかげと雄一は、恋人になるまでは、丁寧語で会話を交わしている。ー
・橋爪功さんのゲイの姿も、「家族はつらいよ」の頑固なお爺さんの姿をやや想起させつつも、違和感がない。
<天涯孤独になってしまった少女を、自然に受け入れる親子の姿や、ピカピカに磨かれたキッチンで、みかげが作る料理の美味しそうなこと。
キッチンが綺麗で清潔な家で暮らす人は、キチンとした生活を過ごす、優しき心を持つ人なのである、と思った作品である。>
ひとはひとで、私とは決定的に異なる世界の存在。徹底して他人は他人なのだと、この希薄で生活感のない映画は見せてくれる。
二つのキッチンが映る ―
祖母の死んだ家の台所は極めて普通の、少し古い日本家屋のそれ。
対して雄一の函館のデザイナーズマンションのキッチンはスタイリッシュ。
どちらが人間の生活臭がするかと言えば、意外にも後者だろう。
祖母の台所は、もう使う人がいなくなった死んだ台所の姿になってしまっていたから。
火の気が無く、パパイヤにレモンを絞るだけの台所だから。
桜井みかげは
墓標のような冷蔵庫から水を飲み、祖母の仏壇にお茶ではなくガラスのコップで水を供える。
封切り時に原作も読んだが、天涯孤独のみかげの、火の消えた心象風景がよく描かれていたように思う。
原作者吉本ばななは、あの舌鋒鋭い評論家吉本隆明の娘だ。
評論家の家に暮らして、少なからずその影響を受けただろう。
即ち人間を突き放して冷静に観察する目だ。
何十年ぶりかに観たこの映画。
初見時は、新しい時代の匂いを感じてスクリーンに釘付けだった。
トレンディドラマの先駆的作品。
森田芳光の
「家族ゲーム」「刑法第三十九条」と「(ハル)」に続けて今回再鑑賞した訳だが、やはり共通して特徴あるあの抑揚をおさえた台詞回しがとても面白い。
監督が役者たちに求めるどこか学芸会ふうの構図。ぎこちない会話や、歩き方や、表情の見せ方は、森田らしくて好み。
現代美術館のような、実用には適さないように一見見える豪邸のキッチンではあるけれど、いやいやどうして、
・雄一のために母親になった絵理子さんの冒険と、
・助け・助けられる関係で料理を作り始める桜井みかげと、
・絵理子を邪魔者扱いして実家から出ていく決心をする雄一と。
キッチンを核に、食を共有することで命が再起動する感動は、十分に映し出されています。
ほら、みかげが最初に作ったのは、(病み上がりの病人に食べさせるための) お粥でしたよね。
シトロエンのステーションワゴン、
雄一の襟の刺繍、
浜美枝のごっつ魅力。
こんな新しい再発見もありました。
・・・・・・・・・・・
サウンドトラックのテーマは、本作に遡ること6年の「戦メリ」のテーマ曲(坂本龍一)に瓜二つなのだが、問題にはならなかったのだろうか。ちょっと気になった。