喜劇 愛妻物語のレビュー・感想・評価
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巷間の夫婦のありようとして面白く鑑賞できた
タイトルに敢えて「喜劇」とつけたのは「愛妻物語」だけだと大量のツッコミが入ると予想されたからだろうか。朝から晩までセックスのことしか考えていない夫は少なくとも愛妻家ではない。しかしこういう愛妻家がいてもいいでしょうという開き直りの意味での「喜劇」だとすればよく理解できる。ある本によれば男は52秒に一度性的なことを考えるらしいから、本作品の主人公豪太みたいな夫は強ち稀な存在ではないのだろう。手の届かない若い娘よりも、ヤラせてくれそうな吾妻さんにちょっかいを出そうとするのが哀れだ。
世の中の妻はどうかというと、これも夫と似たりよったりで、本能的であるところは変わらない。動物でも昆虫でも、メスは強いオスと交尾したがる。より強い遺伝子を選ぶことで種の保存を成し遂げたいという訳だ。人間の場合は少し違っていて、種の保存よりも自分の保存を重視し、そのために強いオス、経済力のあるオスを選ぶ。ママ友の自慢話は夫の経済力や地位、見た目のよさ、性的能力の順である。
ところが本作品のチカは、何故か強くもなく経済力もないオスを選んでしまった。メスの本能に反する選択であり、チカはこの選択をずっと悔いることになる。チカの凄いところは、通常は相手を傷つけるから隠すはずの本音を真正面から当の本人にぶつけ続けるところである。夫婦間ながらパワハラそのものである。そしてパワハラの被害者であるはずの豪太は自分の不甲斐なさに原因があることで、妻からの罵詈讒謗を甘んじて受ける。しかも罵倒されながらも妻とのセックスのチャンスを窺うという、恐ろしく強い精神性の持ち主である。
現実にこんな夫婦がいたらなるべく近寄らないでいたいが、物語としてはこういう典型的な本音人間を登場させるのは痛快である。他人を気にしながら生きているすべての人は、たまには傍若無人になりたいと願っているのだ。水川あさみは人格破綻したチカを思い切り演じていた。何しろ日頃は絶対に言えない言葉ばかりを大声で撒き散らす役である。さぞかし愉快だっただろう。
人間は自分が傷つけられないように、他人を刺激しないようにして生きている。他人に酷い言葉を投げつけたら、それ以上に酷い言葉をぶつけられる危険性がある。あるいは哀しそうな表情で無言に沈まれ、いたたまれない気持ちにさせられる。酷い言葉というのは結局自分と相手の両方を傷つける諸刃の剣なのである。
被害者意識がある間は、優しさを獲得できない。チカがその典型だ。思考の基本が損得勘定だから、どこまでも自分が損をしていると考えて相手を許せないのがこのタイプである。夫の豪太がチカから優しく接してもらうためには無限に与え続ける必要がある。しかし豪太にそんな能力はない。夫婦は最初から破綻しているのだ。
しかし破綻したままでも夫婦として成り立っているのが人間の面白いところで、だから「喜劇」なのだろう。破綻していても破局しない理由は豪太の我慢と妻への恐怖と稼げない引け目とそれに妻への性欲というのだから、笑えるというよりも泣けてくる。妻の前だとうつろな表情になってしまう夫を演じた濱田岳も、こういうわかりやすい俗物を演じて楽しそうだった。
愛妻家というと優しく微笑んで妻への感謝を口にするイメージだが、金の切れ目が縁の切れ目みたいな本音を出してみたらどうなのか、愛妻家の定義をいつまでも妻に対する性欲を失わない男のことにしたら面白いんじゃないかという発想で生まれた作品だと思う。こういう夫婦には誰が総理大臣になっても関係ないのだろう。巷間の夫婦のありようとして面白く鑑賞できた。
腰の回転飲んでみたい
年収50万円、嫁に相手にして貰えず2カ月童貞の売れない脚本家が、取材を兼ねて嫁と娘とともに香川県へ旅行に出かける話。
取材にしたって、ものすごい速さでうどんを打つ女子高生の映画って、個人的に興味がわかないんだが。と思っていたら出オチかよw
そもそも電話でアポとるときに確認しようよw
その年収で家事をすることをハードルが高いとか言っちゃうし、モヤシ料理にモンクをつけるし、愚痴もプライドも良いけどその前にやることやれや!な典型的ダメ男。
何かといえば嫁を誘い、嫁が好きで好きでならばまだ良いけれど、単に頭の中が桃色一色なだけだしね。
嫁も顔を合わせるたびにモンクばかりで手厳しけど、そのやり取りはもう見事な夫婦漫才。悪態つき過ぎでちょっとギスギス感強めだけどね。
なんだかんだ嫁さん優しいじゃん。感謝しろよ、と思いつつも自分に置き換えると、ちょっと身につまされるところもあったりしつつ、最初から最後までたっぷり笑わせて貰った。
観ていて決して気分がよくなる映画ではないけど
水川あさみがステキ
喜劇じゃない。悲劇 愛夫物語
悲劇 愛夫物語 というタイトルにした方が、内容的にはしっくりくるはずだ。
香川の旅の終わりに家族3人抱き合って、路上で罵りあって泣いて笑う姿は悲喜こもごもで、情けなすぎて笑うしかない悲劇そのものだ。
水川あさみ演じる妻は、映画の最初から最後まで、ずーっと怒ってる。
けれど、いつも幸せを呼ぶ赤い勝負パンツをはいて、実は夫の成功を誰よりも祈って経済的にも夫を支えて愛し続けているのだ。
濱田岳演じる夫は妻を愛しているのだろうか。女性目線で観ると、妻や他の女性への飽くなき欲情は感じたが、愛妻物語という程の愛情が感じられない。
喜劇というタイトルの割に1箇所も笑えないし、痛快で明るい話の展開ではない。
シングルの部屋に3人で泊まるため塀を乗り越えて忍び込んだり、3人でかけうどんを2杯しか頼まなかったり、貧乏ゆえの悲哀も感じる。夫の書いたシナリオは日の目を見ることはなく、まさに悲劇の連続だった。
お色気目線での見どころとしては、水川あさみの赤いデカパン姿のお尻と大久保佳代子の胸の谷間くらいか。その需要があるかどうかは別として。
その他には、夏帆のロングワンピース姿のみずみずしさも印象に残った。
テレ東の深夜スペシャルドラマ?
結婚や離婚を考えている人に見て貰いたい
「百円の恋」「嘘八百」などで知られている脚本家の足立紳さんが、自らの体験を脚本、自ら監督した作品。
正直に話すと、本作品の内容、内容をストレートに受け入れてしまえば、こんな夫は嫌、こんな奥さんとは一緒にいたくない、子供がうざいとなりますが、色々な見かたでみるのなら、ある意味、人間の幸せの有り方や考え方に関して考えさせられます。
見る人にとっては賛否両論になるだろうけど、私も食えない時代があり、小言を言われても懸命にサポートしてくれる家族がいるのはいいなと思うし、逆に考えれば、本当に好きでもないのに、お金だけある人と結婚して、そのステータスだけ味わっている人もいるだろうし、私自身、男と女はある意味、友情で結ばれる事はないと思っていますが、時にこう言った家族の話を見ると、男同士や女同士のような男女の付き合いもあるんだなと感心させられる。
結婚にしても、子供を作るにせよ、人生を歩むにしても、人間覚悟がいると思いますが、この夫婦は、ある意味、その覚悟の上で、夢や可能性を信じて、今の今ままで生活してきたのかな・・・・・
私的には、羨ましくなります。
男性の本音、女性の本音も見れて私的には、面白かったな・・・・・
良い映画と言うよりも、今、離婚をしようと思っている人や、結婚を考えている人にこの映画を見て欲しいかな・・・
結ばれた者同士の覚悟や思いやりの根っこのようなモノがあると思うね。
笑って泣ける映画ではなく、笑いながら泣ける映画
大声を出して笑いながら、胸が締め付けられて涙が止まらない。
ごく稀にそんなシーンに巡り合います。
私の場合『SING』の洗車のシーンや、『ビフォア・サンセット』のラストのダンスシーンなど。
表面的な“出来事”として捉えると可笑しくて笑えるシチュエーションだけど、そこに至る二人の思いが胸に迫って泣けてくる…
そんな、主観と客観が同時に自分の中に入ってくる感覚に、ものすごく興奮するのですが、
これって映画ならではの体感ではないでしょうか?
『喜劇 愛妻物語』も、そんなシーンがある映画でした。
しょっぱなから、水川あさみのパンツのアップ!!
くたびれた毛玉に目が釘付けww
ものすごい生活感は、近所にいそうな感じで引き込まれます。
男の「ヤリたい!」気持ちの熱量は理解出来ないものの、妻とのセックスに向けての計画と努力の空回りが笑えました。
原作が小説なので、主人公の心情がナレーションで語られるのですが、その声がモロ『W座』
ホントやめて〜〜〜!!
WOWOWに『W座からの招待状』という番組があって、毎週ハズレ無しの厳選された映画を堪能しています。
番組の冒頭に、その日に放映される作品からの招待状が届くスタイルなのですが
文:小山薫堂、絵:信濃八太郎、声:濱田岳、音:阿部海太郎
なんとも贅沢な招待状で、とくに濱田岳さんの声は、普段より抑えたトーンの中に穏やかな温かみがあって、心地良く映画の世界に誘ってくれます…って、まさにその声で!!
W座の素敵な声が、セックスしたい男の心の内を切々と語る!
キモさ倍増〜ww
そんな、妻とのセックスに向かってあの手のこの手を駆使する夫に対して、もはや反射神経で拒否する妻の斬れ味が鋭いww
不甲斐ない旦那に愛想が尽きている妻から
スラスラ出てくる暴言は、酷過ぎて笑えます。
美人でしっかり者の妻は、苦しい家計をやりくりする一家の大黒柱。
酒の飲みっぷりもカッコイイです。
立て板に水の罵詈雑言マシーンと化した妻の聞くに耐えない言葉を、セックスしたい一心で受け流す夫。
上辺だけのご機嫌取りは、負のスパイラルにハマっていきます。
でも、愛想は尽きても、愛は尽きていない。
むしろ才能を認めているからこそ苛立ちも強く、罵詈雑言も奮い立って欲しいと思っているがゆえ(?)
それなのに、チャンスを逃しても愚痴るだけの夫に対してついに…!
好感度が下がるであろう、濱田岳のエロに必死な演技が凄かったww
そしてラストの何とも言えない表情も絶妙!!
笑いながら愛しさに包まれる映画でした。
追記:大久保さんのグイグイ来るエロスと、夏帆ちゃんの匂い立つエロスも見どころです。(^^)
水川あさみの怒りっぷりが最強!☆!☆!☆!
2019 32nd TIFF
河合優実さんが出るので観ました。
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