劇場公開日 2022年5月27日

「映画はクリエイトからクオリティの時代へと」トップガン マーヴェリック シューテツさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0映画はクリエイトからクオリティの時代へと

2022年6月18日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

本作の感想と言えば“面白い!!”の一言で終わってしまい書くつもりはなかったのですが、鑑賞後時間が経ち色々と思うところが出て来たので、遅ればせながら感じたことを書き綴らせて貰います。

前作の『トップガン』('86)って、恐らくリアルタイムで観てはいますが、個人的には何の思い入れもなくて、今回も観るかどうか迷ってはいたのですが、余りにも世間の評価が高かかったので、映画好きとしては観ておかねばと鑑賞すると、これが面白かった!!
これぞハリウッドエンタメメソッドマックス作品であり、よく使われる定番コピー「世界よ!これがハリウッド映画だ!」の見本の様な作品であり、これぞ“ザッツ・ハリウッドムービー”“ザッツ・エンタテイメント”の様な作品でした。

で、何故こんなにも前作に思い入れが無いのに面白く感じたのだろうと考えてみたのですが、恐らく私の映画鑑賞歴が多分に影響しているのだと思います。
私が映画を本格的に観出したのは1970年代からで、特にその当時ムーブメントでもあったアメリカンニューシネマに影響されて映画好きなっているので、80年代からのバブル期のアメリカ映画に対してはどうしても軽く見てしまっているし、70年代の反社会的作品から80年代の“アメリカ万歳”に対する抵抗があったのだと思います。
なので同じ80年代のヒット作『愛と青春の旅だち』('82)なども面白いと思っても私にとっては重要な作品では無かったし『トップガン』も全く同列の作品とみなしていました。
そういう意味では本作も前作と同様に“アメリカ万歳”の映画ではあるのに、何故こんなにも楽しめたのかという事になってくるのですが、これはもう私自身の映画に対する価値観の変化でもあるし、社会の価値観の変化でもあるのだと思います。

これだけ長く映画を観続けていると、映画を一作品だけで見るよりも歴史の流れとしての価値観で観てしまう傾向にあり、最近Netflix制作の映画を観ても感じてしまう事と共通しているのかも知れません。
Netflix制作の映画を観て何一つ目新しさは感じられないのに、資金力によって俳優であったりスタッフ・技術にお金を出し、高品質な作品提供により観客への満足感を提供している様に感じられました。
本作にもそれは感じられ、その様に考えて行くと20世紀までの映画は創造であり、21世紀以降の作品は高品質若しくは洗練であるように感じている自分がいます。
日本映画の庵野秀明の“シン・シリーズ”然り、最近の娯楽映画コンテンツの傾向は概ね確立されていて、目新しさは殆ど無いが、長い歴史による技術的進歩により、より高クオリティで完成度の高い作品が増えてきているように思え、本作などは(あくまでもハリウッド娯楽映画としての)現時点の最高品質の作品であり、誰にも文句を言わせない強度を見せつけ、世界の映画ファンをねじ伏せたのだと思いますよ。

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シューテツ