「【大根エイハッパ(大本営発表)】」海辺の映画館 キネマの玉手箱 ワンコさんの映画レビュー(感想・評価)
【大根エイハッパ(大本営発表)】
もう随分前に映画館で観て、上手い言葉が見つからなくて、レビューを書いてなかった。
それに、これはレビューとは呼べないかもしれないし、僕のスコアは評価のスコアとは違う意味もあります。
このちょっと長い大林宣彦作品は、強いメッセージが込められていると思う。
録画していた番組を整理しようと思って、NHKのクロ現プラスの大林宣彦の特集を改めて観て、いくつかあった大林宣彦の言葉をレビューに記録したくなった。
黒澤明との約束。
「戦争のいかがわしさを直接知った世代の人間として伝えなくてはならない」
大林宣彦は、この約束を果たすべく、残り短い命の火を、この作品ために燃やしたのだ。
「映画は風化しないジャーナリズムだ。
過去をしたたかに記憶し、記録するだけじゃない記憶のジャーナリズムだ。
表現で過去は変えられないが未来を変えられるんじゃないか。
未来を作る人間の可能性を信じたい。
映画は歴史を変える事は出来ないかもしれないが、未来の歴史を変えることが出来るのではないか。」
「若い人たちは未来を生きているのだ。変えてみせようよ。人間である俺たちよ。それが生きているってことだよ。」
大林宣彦の言葉は重い。
対して、日本の政治家や保守系右派連中の言葉は軽い。
コロナ禍で、自分の言葉で語り、メッセージを届ける諸外国のリーダーとは大違いだ。
責任を他人(ひと)になすりつけ、攻撃し、言葉を曲解し、言い訳を厭わない。
子供たちには決して見せられない😁。
さて、映画で使われた大林宣彦の生家に残っていたピアノ、調律もせず、そのままで。
これは、あるがままで残さなくてはならないものがあるのだという強いメッセージでもあると思う。
良いことも、ダメなことも。
クロ現プラスでは、大林宣彦からメッセージを受け取った岩井俊二のインタビューの言葉も紹介していた。
「クリエーターに何が出来るか分からないが、想像力には限界はないのだから、この世界は変だということを伝えられるかもしれない」
と締め括っていた。
これを見て思い出したことがあった。
最後に紹介したい。
A級戦犯の絞首刑に日本人で唯一立ち会った仏教の教えを説く教誨師・花山信勝氏が、東條英機の語った言葉として、
「人間の欲望というものは本性であって、国家の成立というようなことも『欲』からなるのだし、自国の存在だとか、自衛というようなきれいな言葉でいうこともみな国の欲である。それが結局戦争となるのだ」
と伝えていたのだ。
絞首刑が決まってから、4度目の面談で語られた言葉らしい。
花山氏の講演会の記録テープによるものだが、これを紹介した住職・青木さんは、「宗教的見地から、戦前は気付かなかっただろう『戦争の正体』を指摘した発言は重い」としている。
これを聞いて、人々は何を感じるだろうか。
自ら爆弾や魚雷となった兵士、病死、餓死した兵士、沖縄戦で犠牲になった民間人、空襲・原爆で命を落とした一般の人々、そして、こうした人々の家族、友人、知人は何を思うだろうか。
ワンコさん、毎度どうもです。
ツイッター見てたら、もっと単純な言葉がありました。
「自分のことしか考えないから戦争が起こる」と。
なるほどなぁ~と感じました。
深読みすると、国についてもその決定権を持つ者に忖度するとか、自分の立場があったりして、決して国のためではない。また、相手の国の痛みだとか国民が被る痛みだとか考えてない。ましてや敗戦なんてことも考えてない。
「映画は風化しないジャーナリズムだ」というのもいい言葉ですね~