「自由を渇望した大林監督のエネルギーに圧倒される」海辺の映画館 キネマの玉手箱 DEPO LABOさんの映画レビュー(感想・評価)
自由を渇望した大林監督のエネルギーに圧倒される
<あらすじ>
広島・尾道の映画館「瀬戸キネマ」のラスト上映で居合わせた3人の男が、落ちた雷
をきっかけに戦争映画の中に入り込んでしまう。
3人は戊辰戦争から広島の原爆の投下までの歴史を目撃しながら、場所場所で出会った女子や人たちを、戦火から守ろうとするお話。
▼大林監督のエネルギーがとにかくすごい
▽映画のふつうさをぶっ壊しまくってる
▽亡くなる直前にこれを制作されたのか・・・とひたすら圧倒される3時間
▽監督の熱量に応える俳優さんたちの体当たり具合もすごい。
(ひとりで何役やってるんだっていうのもある)
▽大林監督自身が戦争の時代の不自由さを体験していたことから、自由を渇望する欲求が反動としてあるのではないかなぁと想像した
▽だから描いているものは古いけど、感性がめちゃくちゃ「若い」
▽そういう若さを維持しながら生きていくって素敵だなぁと思い知らされる。
▽「戦争のない時代に生まれて未来がある若者に賛美と憧れをもってこの映画をつくった」とナレーションで語るほどだから、有難く生きないとなぁ。
▼戦争映画ってきいて、戊辰戦争まで遡ることに驚き
▽日本の戦争の価値観というか、権力構造と支配欲求に諸悪の根源は坂本龍馬の時代からあるという指摘はなるほど!と思った
▼戦争映画というとちゃんとドラマだったりドキュメンタリーベースだったりという作品が多い
▽アヴァンギャルドな切り口で戦争の悲惨さを伝えてくるから、刺激されたことないところをガンガン攻めてくる感じ
▽70%以上はグリーンバックで撮影して背景合成したり、モーショングラフィックや、コラージュ盛り盛りの戦争映画って、誰もやったことないんじゃないか。いやぁすごい。。
▽ただナレーションやテロップなどの添加物が盛り盛りなので、史実を伝える映像としてはプロパガンダ色がかなり強いので、注意は必要かなと思う
▼いつの間にか泣かせられているのもすごい。