「「あなたはどこの国の人間?」」国家が破産する日 Imperatorさんの映画レビュー(感想・評価)
「あなたはどこの国の人間?」
密室で、少数の人間が、勝手に国の将来を決める。
それが成り立つには、モラルや能力が要求されるはずだが、実際には「あなたはどこの国の人間?」と言いたいような、酷い連中が決めているのだ。
隣国の他人事ではなく、公文書が勝手に廃棄される日本においても、いろいろな局面で現在進行形の話だろう。
「知る権利」が根本のテーマであって、市場原理主義が是か非かは、次の問題だ。
特定の情報にアクセスできる人間(インサイダー)が、上手く立ち回って得をしている。
作為も、“意図的な不作為”も、すべて思いのままである。
とはいえ、この作品は、“インサイダー“と“庶民”、支配者と被害者という二項対立の単純な図式では収まらない。
アウトサイダーである、経験豊富な金融コンサルタントのサイドストーリーが、作品を多面的なものにしている。
だが、情報を握る者こそが有利という状況は共通している。
後半になると、アメリカが背後にいる、IMFの痛烈な「火事場泥棒」ぶりが描かれる。
かの国の“国鳥”である、猛禽さながらの迅速さとすさまじさ。
バンバン視点を変えて煽るような映像も、韓国映画では洗練されており、ストーリーに合っている。
先日観た映画「黒金星と呼ばれた男」にはガッカリしたが、本作品は、観る前の予想に反して、“当たり”だった。
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